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 damim 4「ときしらず その自由の矢」

 @中野ザ・ポケット(2001/7/25-31 9ステージ)
 全指定 前売り4000円 当日4300円
 
 作:宇梶剛士 演出:内藤裕敬[南河内万歳一座
 美術:加藤ちか 美術助手:薫坂奈奈 照明:桐山元− 音響:原島正治
 衣装:小里幸子 舞台監督:海老沢栄 宣伝美術:JOYS
 チラシの絵:うつみのりこ 制作:damim
 出演:
 ダイアモンド☆ユカイ[RED WARRIORSボーカル]:天乃時矢(休職中サラリーマン)
 岩尾万太郎[キングモンキー]:荻島(天乃の同期、友人)

 内野智  [元劇団3○○]:石田部長(駄洒落好き)
 友寄有司 [元劇団3○○] :桜井課長(日和見)

 宇梶剛士 :中道(天乃の元上司)
 真家瑠美子:ナオコ(中道を慕うOL)

 飯塚澄子[元唐組]:奥さん、女子社員
 重定礼子[南河内万歳一座]:子供、女子社員

 宮本裕志        :作業員・作本
 吉田淳[南河内万歳一座]:作業員、北見
 平野貴大        :作業員、社員
 石田メロン1500     :作業員・社員
 深井順子        :おばちゃん、吉岡
 石原のぶたか      :建材屋、社員

 安宅慶太[南河内万歳一座]:乾(いぬい 社員)
 田辺一凛         :佐伯(社員)
 菅川裕子[東京乾電池] :木ノ下遊(社員)

 寺本佳世:女子社員
 隅田亜矢:女子社員
 林 伸子:女子社員
 仁田百恵:女子社員
 稲田 錠:社員69

 2001/7/28(土) 2:05-4:15PM(2'10) 最前方より 客席8割(130人)
 客層:老若男女。女性7割、結構おばさんも。バンドファンもちらほら。
 客入れ:当日券不明、後方空席あり。多彩な出演者故か、ロビーに花たくさん。
 適時客席誘導あり。折り込みパンフ。配役表のみ。ちょっと寂しい。物販。
 パンフ(□20cm 700円) 役者紹介、一問一答中心。

 早くも四作目の宇梶剛士・主宰ユニット。旧知の内藤裕敬に念願の演出依頼とか。
 舞台。高くグレーの金網パネルで囲まれて三方。後方左右には踊り場ある
 小ステージ。

 お話。かつてやり手のリーマン・天乃、今はむやみに休職中。なんとか首が繋がっ
 てる営業部。天乃の元上司は病気で降等、日陰の身。変わり、駄洒落好き、
 理不尽仕打ちの部長+腰巾着・課長が牛耳り。課員達は不満も、がまんがまん。
 天乃は終日寝てばかりで、文字通り夢うつつ。亡くした家族・母、妹と再会、
 夢中の2人は天乃が忘れてくれないことに困ってたり。心配に家を訪ねてきた
 天乃の同僚・萩島もまた困り果て。好きなだけ寝てろ、の萩島の甘言、優しさに
 会社にいく決意をする天乃。

 会社の新人歓迎会。だじゃれ好き部長は俺を笑わせろと、課長経由でうざいうざい
 元部長は、慕う若いOLに甘えるな、自分は名を変えた、ここではないところに
 いくと中座。新人の禁句破りに端を発し、本音の鬱憤晴らしの場となる宴会場。
 ここではないところに居たいのは、社員も同じ。感動を演出するTVにありがちな
 歌にダンスで青春するお人形社員達。その有様にむかつき、逆切れた社員はバット
 を手に取り、みな殺し。一匹オオカミな「ときしらず(河にもどらない鮭、放浪
 中に脂がのって極上、希少品)」してた新人、天乃、中座した荻島を除いて。
 
 傍観してた部長。ふざけんな、面白くもない、俺を笑わせろ、と逆切れ社員を
 バットで撲殺。天乃、立ち上がり、部長を問いつめて対峙。狩るための「矢」を
 部長に向けるが果たせず。かえってきた荻島は惨状、とん挫した天乃を見、
 自分の中の「ときしらず」な狩人を奮い起こす。バットを部長に振り落とそうと
 するが、彼もまた迷い果たせず。あわただしい会社人生、日常が何事もなかった
 ようにまたはじめる。疲れ果てた荻島は布団に横、今は休眠に時、闘うためのと。

宇梶さんの今の憤りと悩みがストレートに。胸をつかれるけど、舌足らずで?な
 とこに困惑ねこ。演出は万歳一座・内藤らしく。モブ総員での動き、割台詞。
 猪突猛進な台詞回し、肉体派演技、止まれ夕日に哀愁なオレンジ照明とか、まんま
 また、全役者を常時板付き、背後に控えさせて都度表舞台。一匹狼「ときしらず」
 な主人公をモブと対比させて印象。

 家族、自分の喪失を描いて、内藤作品と共通も、ちと暗め。融和して個を失い、
 抗うことを暴力に転ずる若者と、なすすべのない大人を延々描く。虚無感漂い、
 陰惨ともなろうとこを演出は工夫。撲殺される若者を人形めいた演技、おやじ
 ギャグ部長のマンガキャラぶりとか。

 ラストは再生とせず、休眠。その慎み、誠実さに好感も、煮え切らなさもあって
 うーん。荻島と天乃、家族の現実と夢の関係がよくわからないのもうーん。
 不断の優しさに、宇梶作品の魅力を感じるけど、困っちゃったねこ。

 役者。ダイアモンド☆ユカイさん。大丈夫かな?な不安定さあれど、朴訥とした
 男の魅力があって○。飯塚澄子さん。あの口調、表情変わらず、ひたむきで
 優しい様が○。今後とも役者を続けてほしいねこ。岩尾万太郎さん。彼もまた
 優しい目線が魅力。

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