＠小竹向原 アトリエ春風舎（2022/07/11-19 9ステージ）
全自由 前売 一般3500円 学生2500円 高校生以下1000円
プレビュー公演1000円引き（学割との併用可）当日500円増 配信：3500円
鈍色遊楽 第二十五本公演「岸田國士戦争劇集」赤組公演
作：岸田國士 構成・演出：谷賢一[鈍色遊楽］演出助手：刈屋佑梨、石井泉
美術：濱崎賢二 映像：松澤延拓（株式会社カタリズム）映像助手：イノウエタケル
照明：緒方稔記（黒猿） 音響：佐藤こうじ（ Sugar Sound）
衣裳：友好まり子 所作指導：石原舞子 協力：アゴラ企画、アトリエ春風舎
助成：公益財団法人セゾン文化財団
立ち方（登場順）白組／赤組
「動員挿話」1927年9月発表
従卒太田 ：函波窓［ヒノカサの虜］／松戸デイモン
少佐夫人鈴子：石田迪子／原田理央[柿喰う客]
宇治少佐 ：古河耕史／越前屋由隆
女中よし ：倉橋愛実［鈍色遊楽］／齊藤由佳
馬丁友吉 ：石川湖太朗［サルメカンパニー］／ふじおあつや
友吉妻数代 ：伊藤麗／渡辺菜花
「戦争指導者」1943年4月発表
流頭（ルーズベルト）：古河耕史／東谷英人［鈍色遊楽］
茶散（チャーチル） ：荒川大三朗／松戸デイモン
「かへらじと」1943年6月発表
志岐行一 ：國崎史人／阿久津京介［鈍色遊楽］
柏原茂（教員） ：石川湖太朗［サルメカンパニー］／ふじおあつや
稲葉明子（旅館の娘）：伊藤麗／渡辺菜花
大坪参弐 ：函波窓［ヒノカサの虜］／松戸デイモン
志岐ふく（行一の妹 ：倉橋愛実［鈍色遊楽］／齊藤由佳
きぬ（行一の母） ：石田迪子／原田理央[柿喰う客]
大坪老人（参弐の父）：荒川大三朗／越前屋由隆
結城少佐 ：古河耕史／東谷英人［鈍色遊楽］
声の出演（白組、赤組共通）：
矢部新助：宮部大駿
小菅三郎：石井泉
巽比良久：小幡貴史
三雲日了：椎名一浩
青年甲 ：小野耀大
青年乙 ：勝沼優
川添基 ：溝渕俊介
上島通 ：服部大成
北野守男：田中リュウ
飯田虎松：間瀬英正
2022/07/13（水）曇 7:11-9:13PM（1'58）最前方より 客席ほぼ満員（50人？）
客層：2世代、大人より、男性過半数。
客入れ：感染対策。検温、手指消毒。開場時15人ほど。雛壇にパイプ椅子5列、
後方はやや出入りしにくいところあり。諸事情で開演やや押し。当日パンフ A4両面。
「白組」は誤植。シール プレあり。物販。台本500円 パンフA4 2000円 Tシャツ
3000円 DVD予約4000円。カーテンコール1回。
「岸田國士と戦争」をテーマにした、鈍色遊楽〈DULL-COLORED POP）企画上演第一弾。
舞台。神社の神楽舞台のよう。正面にすだれ幕、半透過で奥側も重ね見せ。支柱の
一部は木っ端で焼け落ちている体。客席間の広場に座布団を敷き詰めたりもし。
構成。戦争の時代と岸田國士のクロニクル映像を挟み、「戦争指導者」を幕間狂言に
短中編2話を上演。大政翼賛会文化部長を引き受けて、戦後はGHQから公職追放を
下されと、戦争協力者だったのね。作品からすると意外。
「動員挿話」
お話。陸軍少佐からの戦地同行の誘いを、妻の拒絶によって断った馬丁の夫。夫婦の
すれ違いと葛藤を描く。
勝ち気で愛情深い妻・渡辺菜花、情けなくも優しい夫・ふじおあつや 凸凹ぶりが
愛らしいほどに、やるせなさ募り。少佐、とりわけ少佐夫人の柔らかい人間味が見て
取れる演技、演出が心沁み。
「戦争指導者」
瞬間政治ギャグ、沸く笑い声ＳＥ、少し寒いのが可笑しい。
「かへらじと」
国策演劇団・松竹国民移動演劇隊への書下ろし作品とか。
お話。志岐と大坪 幼馴染の親友2人を軸。志岐は幼い頃大坪の目を傷つける事故を
起こし、長じて兵役につけなかった事を気に病んでいる。その志岐が徴兵され出立
するその夜、大坪に心境を吐露する。二幕では戦死した志岐の死に様を皆で聞く会の
模様を描く。
戦意高揚を目的にした外側に、人間味あふれる内側が重ね見えて、胸を打つ。
「死ぬまで戦う」の裏には、志岐の私的な贖罪の意識があり。汲み取った上官の言葉
でも語られ。悲劇の傍らには志岐の妹と大坪の恋情が未来としておかれる。全員野球
とばかり、細やかな演技が全員に行き渡り、小空間でなお迫る演出とも堪能するねこ。
汲めど尽きぬ岸田國士の魅力。無慈悲で無粋な戦争、しなくともいい生死の苦労で
より浮かぶ、柔らかく微妙な人間関係の妙。奥深くて、プリズムのように多面体。
彩度高めでプレゼンスのよい演出、前述の全員野球で一人一人の血が通った好演で
堪能するねこ。
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