遊気舎 ２０００年初仕事公演「鉄格子」
＠大阪 スペースゼロ (2000/2/4-6 5ステージ）
全自由（整理番号付)前売2,500円 当日2,800円
作・演出：久保田浩 舞台監督：塚本修[スタッフ空海] 照明：柿嵜清和
音響：ヨシモトシンヤ[劇団Ugly ducking] 美術：篠垣雅男 衣装：平野佳寿代
小道具：佐藤広美、二宮いづみ 宣伝美術：太木裕子 宣伝写真：安代倫子
演出助手：萩原弓佳 制作：伊藤恭子ほか
出演：★＝新人
山本忠 ：犬ジジィ（隠遁者。元従軍カメラマン）
まついきよし：こうへい（子供。犬ジジィの友人）
西うらしんじ★：考平 （大人となったこうへい。服役囚）
西田政彦 ：元村 （記者）
みきあすか★：母（こうへいの母） 植田有紀★：バン （子供。こうへいのご近所友達）
稲田真理★：みかん （同上）
菊丸 ★：スエヒロ （同上）
田中香奈 ：ジャスコ （同上）
二宮いづみ：般若 （同上） 魔人ハンターミツルギ：ドン十郎（笑い声のやけに軽い人。実は吸血鬼らしい）
工藤まき ：張り子（ドン十郎の恋人）
魔瑠 ：ほうらくや （張り子の父。煙草屋のおやじ） 小川十紀子：黒川（女子学生。サークルでキャンプにきた）
バカボン ：川由 （同上）
峯素子 ：筒井 （同上） 史野サロウ：佐野（学生サークル・上級生）
篠垣雅男 ：松本（学生サークル・リーダー） 森野久美子★：相川（女子学生。サークルでキャンプにきた。新人）
根岸千里 ★：中野 （同上）
斉藤麻英子★：藤原 （同上） 楠見薫 ：ショウイン・レディー（コマンダー）
うべん ：コウナイ・ハピネス （コマンダー）
岡田美子 ：ミソニコミ・スズカ （コマンダー）
2000/2/5(土)晴れ 3:35ｰ4:50PM(1'15) 入口側舞台脇より 客席満員(130？人）
客層：20-30才代中心、女性過半数。川村大洋さんら関係者もちらほら。
客入れ：専門学校の地下にある小劇場。劇場前で荷物預かり（全員お願い）。その
まま３階の学生ロビーで待機。ジュース自販機、テーブルやら完備でしばし。２０
番ずつ呼んで劇場へ誘導。当日券（ブルーのチケット）は20-30人ほどのよう。
３段のベンチシートと桟敷。桟敷は枡席状に区切り、広めであぐらも楽ちん。
遊気舎・年４回公演、その１。半券を全部揃えると、なんかくれるらしい。
舞台。劇場中央に鉄格子。その中央に扉。開演中は客席も仕切るシャッターに。
六角形舞台、（入口からみて）鉄格子の向こうに未完成の細長い箱。客席は３６０
度設置。反対側と目が合うと、恥ずかしい状態。
お話。こうへい子供時代。大人達が毛嫌いしていた犬ジジィには秘密があった。
従軍カメラマンとして地獄をみた彼はカメラを捨て、隠遁生活を送っていたのだ。
カメラは武器という犬ジジィ。犯した罪の苦しみから逃れる、いや救いの道を見い
だそうとするかのように、自らの棺桶を造り。また気味悪がれる始末。しかし、
こうへいだけは、犬ジジィのもとを離れなかった。こうへいは大人となり（考平）
今や囚人・罪を負う身となっている。この世の恐怖、愚かしい人の哀しさを見聞き
した彼もまた棺桶を造り始める。静かな微笑みと共に。
子供こうへいの目、また記者の目を通して浮かばせる、犬ジジィ話を主軸。不条理
な恐怖に彩られたいくつかの世界＊をクロスして描く。＊得体の知れない寄生生物
が仲間にも！？と疑心暗鬼、逃げ回るキャンパー。戦いの目的、現実感を失いなが
ら殺戮を重ね、しだい狂っていくコマンダー。ドラキュラと道ならぬ恋をした娘、
周囲の圧力（同和問題）。鉄格子は恐怖を封じる手段。しかし、内心の恐怖は如何
ともし難く、逆に増長の皮肉。棺桶造りは犬ジジィ＞考平と繰り返される無限地獄
（と儚い希望）のよう。
と、ねこが受け取った内容にいまさら感。古風なテーマに期待はずれの演出。
鉄格子を使って、絵になる場面たくさん、動きある演出は○（下記参照）。
でも、肝心の犬ジジィ、考平話しが印象薄し。併走する地獄話しは本編との、恐怖と
哀しみのリンク不鮮明。ごちゃごちゃでよくわかんない、感じられない。不満ぷー、ねこ。
役者。ベテランは少ない出番もちゃんと仕事。コマンダー・楠見の鬼気迫る演技は
このくらいできて当然か。山本忠の細かい表情がお楽しみ。「大胆起用」の新人。
モブ中心でもひとつ。折角だから、全体に大きな役まかせればいいのに。
主な進行（鉄格子の「向こう」は入口と反対側、「こちら」は逆）
１逃げ来る人々。ＢＧＭスペクタルな映画音楽。鉄格子の向こうへ。近所の子供達は
大人に忌み嫌われてるらしい、鉄格子の向こうの犬ジジィと仲良し。名前の謂れは
犬といつも一緒だから。ひかり号で向こうにいった話しにすご〜い。そこに手帳を
もった記者風の元村。あちらで虫のブローチを売っている。今造っているのは、
自分の棺桶。子供達どっひゃーん、と驚き。よもやま話しなど。
２コマンダー三人が緊迫して、鉄格子の向こうから通り抜け。
３学生風の２人が大わらわで逃げてくる。生きる死ぬかのときに、なんか漫才会話。
仲間の体に怪物がパラサイト、どひゃーと頭がぶっとんだ。むにゃむにゃしたその
怪物から逃げてきたのだ。互いが寄生されてないか、疑心暗鬼。
４恋人２人の会話が鉄格子の向こう側で。こちら側で漏れ聞く子供３人。ラブラブ
会話になんかこわいよ。男は女の煙草屋おやじがニンニク臭くて苦手とか話し。
５子供はけて、こちら側に学生キャンパー女性３人。もとの鉄格子（バリケード）に
戻ってしまったと嘆く（ジジィの姿はいつのまにか消えている。）
６鉄格子の向こうのジジィに子供ら質問。犬はどうした、逃げてしまった。
７こうへいとジジィ、大人の孝平と記者。子供の目を通した犬ジジィの回顧。
８コマンダーが緊迫の面もちで、鉄格子をいきすぎる
９鉄格子のこちら側。逃げてくる新人キャンパー。場所を地図で確かめようとするも
できず。バリケード（鉄格子）の反対側には先輩松本らの声だけはする。寄生生物
に殺されたゲバ先輩。最後の言葉のイントネーション変だった（へろへろ声を流す
）。新人の子達のイントネーションも変！？。疑い高まり、鉄格子（バリケード）
を閉ざす先輩、締め切られる新人。新人、そちらに行きたい、チューしてもいいです
よと（部長の職権乱用？）。だめ。苦しまずに死ねるように祈ってる、と後輩を見捨
てて、鉄格子（バリケード）の向こう奥に逃げる先輩達。
１０鉄格子の向こう。コマンダー１人（楠見）、２人合流。いまいつでここはどこか
いい顔してるか？と戦友に聞く楠見。いい訳がない。何人殺した顔なのだこれは。
新人キャンパーの声が鉄格子の向こうから。恐慌に襲われ、銃を乱射するコマンダ
ー。鉄格子越しに見えてないキャンパー達は撃ち殺される（ＢＧＭバーバーのアダ
ージョ）。鉄格子を開けて、死亡を確認するコマンド。民間人なのに愕然とする。
基地に淡々と報告。大丈夫だと（しかし、なぜこんなことにと茫然自失モノローグ）。
１１鉄格子の向こう。記者に犬ジジィは陸軍撮影部隊にいた、いろいろ見た。語られる
あまりに悲惨な被写体のこと。語るのを押し止める記者。フィルムは？、すべて
燃えた、家毎。でも武器をもたずにすんでよかったですねと記者、いやカメラも
武器なんだと犬ジジィ。
１２鉄格子を挟んで、囚人服の考平と記者。棺桶は犬ジジィにはなんだったのか、
死による逃避か。いや、かれはどこかへいくために造っていたのだろうと、孝平。
１３鉄格子の向こう。犬ジジィは記者に語る、戦場で女の子を撮っていた、そのとき
彼女の瞳にシャッターを切る自分が映っていた。それをみてカメラを捨てたのだ。
１４鉄格子のこちら。ドラキュラな恋人２人は口喧嘩。自分を捨てて家にかえれと
男。女のおやじが鉄格子の向こう側にやってくる。帰らないという女の体にはすで
に変異が。そんな歯なら、歯医者にいって抜いてもらえと男。２人の出会い、なぜ
かオカルト好きの女、廻りから孤立した２人が出会った回想。男はペンシルバニア
に帰ると告げる。女の父親に送ってもらうことを希望。おやじ了解、鉄格子の向こ
うからこちら、ふたりの側へ。ネギで十字架をつくって、男を苦しめながら追うように
退場。
１５鉄格子を抜けて、学生キャンパー達は逃げる、すぐ後をコマンダーが駆け抜ける。
１６鉄格子のこちら。こうへい、銀行強盗が近所にいるかもと騒ぐ。ギャングに興味
あるのかと母親。鉄格子の向こうから、子供達がドラキュラの仲間がいるかもと
恐怖しながら登場。その後からコマンダーがやってくる、血塗れでモンキーダンス
を踊る新人キャンパーを引き連れるように。鉄格子のこちらでは子供達、ギャング
か！？とパニック。その声にコマンダーは銃を乱射、子供達はみな撃たれて倒れる。
その様子を陸軍カメラマンの犬ジジィが撮る。鉄格子のこちらで考平とこうへいが
残り、鉄格子の向こうのコマンドをみつめる。考平「もやしのひげじゃ」と一言。
１７ドン十郎、ぼーさんが屁ををこいたと退場（だったかな）。
１８鉄格子の向こうに犬ジジィとこうへい。棺桶に最後の釘を打つ、犬ジジィ。
中に入る犬ジジィに神々しい光。ＢＧＭ？のレクイエム・サンクトス。
１９鉄格子を挟んで、向こうに記者と、こちら側に囚人服姿の考平。近々移送される
と考平（死刑？執行が近いのか）。君も犬ジジィのようにどこかにいくのかという
記者。木切れを出して、笑う考平。ええ、かんおけできたらいいな、と記者。
２０鉄格子の向こう、久保田登場、鉄格子のこちら側にはキャンパーがうずくまり。
まっとてんで、とぶーぶー文句いわれる久保田。みんなでバリケードを解体する。
（ここでなんで行方不明の先輩・久保田が登場するか、不明ねこ）
カーテンコール、ぐるぐる回りながら挨拶する久保田。
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