大人計画「Heaven's Sign」
＠下北沢・本多劇場(1998/7/29-8/10 16ステージ)
全指定前売り4200当日4400 問い合わせ 劇団03-3327-4333
作・演出：松尾スズキ 美術：加藤ちか 映像：藤田秀幸、井口昇
出演：宮藤官九郎、池津祥子、阿部サダヲ、山本密、顔田顔彦、宍戸美和公、
宮崎吐夢、猫背椿、皆川猿時、村杉蝉之介、田村たがめ、松尾スズキ、新井亜樹
井口昇、植田裕一、荒川良友
1998/8/9(日)晴れ 7:35-10:15PM（休憩10)前方より 客席ほぼ満員(380人)
客席：20才代中心に幅広く。女性過半数。ソワレのせいか、舞台の鬼畜ぶりにも受
けがいい客席。物販は松尾スズキ本のみ。
周辺：珍しく前売り券でゆくねこ。開演１時間？ほどまえに、劇場前でパフォーマ
ンスがあったよし。観られず残念ねこ。客席にＴＶカメラが入っていたので、放映
されるのかしら
いつもの過剰なグロさと冴えた理性な視点、堪能。すっきり構成に欲求不満。
倉庫然とした鉄な壁がそびえ立つ装置。広い舞台を仕切、圧迫感を与え。
人を操る術に長けた巨頭症の父に育てられたメイジ（山本）。生死の倫理感がない
かのように人を操作、今日も殺人。とある日忍び込んだ精神病院で、ねこ殺し、
自殺癖のあるユキ（新井）と出会い、駄目さ加減が気に入り。彼に死ぬなと「呪い」
を掛けられたユキはいかれたお友達と「愉快」に遊ぶ日々。そんな健常な振る舞い
が気に入らないご近所と卑屈なりまくりの父（村杉）。猫殺し、迷惑千万なことし
ながら楽しげにしてんじゃねえと、満面笑顔の影に悪意丸出し。一方、メイジは大
衆劇団の若団長と結託、団員らを催眠操作で思いのまま。来る世界の終わり「ノア
の箱船」に同乗させる、お気に入り駄目人間を選別開始。叔父（松尾）に犯されて
ること、自殺予告などをホームページに公開、閉塞してるわりに目立ちたがりなこ
とが明らかになってく、ユキ。父は自分を追いつめて自殺、とそこに代理母（池津
）登場。駄目なユキの再生にきたという。そのための死んじまえ攻撃にさらされる
ユキ。駄目人間の自覚いやがおうでも。そんなこんなも催眠暗示でした、と笑うメ
イジ。なるも、クスリ中毒で狂乱のたしあたま（阿部）が予期せぬ皆殺し。メイジ
の操作で崩壊した世界。たしあたまと二人きりのユキは楽しかった思い出走馬燈。
で、暗転、いっさいの虚無。巨頭症のキャラって、ふくすけ（悪人会議'91）かし
らん。
怒濤の重奏、いきつもどりつする構成、じゃなし。すっきり世界は１つ構成。最近
の物語指向の延長線かな。くるくる転がり、重なるの好きなねこにはちと不満。「
狂ってない人なんていない」の台詞どおり、狂人（異常な人か）ばかりというのも
ワビサビに欠けるような。正気との対比の構図とか、ほしかったねこ。後、不満と
いえば、ちとたよりなげな若手役者ふえて、若干レギュラー欠員。鈴木麻王、伊勢
志摩らはいずこに。
悪意まるだしなグロさは相変わらず。嫌いな人は辟易な外観。もろん、それだけじ
ゃない知性あり。連呼される死ね！は逆説、自殺は生きてる証、殺人は生きる痛み
の解消・癒し。死にピースするのはそのためなのね。面白い。生と死があっけらか
んと等価に扱われ、「生き損ない」中途半端ユキの痛みはそのままクールに描かれ
る。その冷めた視点と理性◎。さすが松尾スズキなり。
新井亜樹。不安定な表情、演技が絶妙ですばらしい。舞台背負い。山本密。得体し
れない無表情さ◎。阿部サダヲ。いつも通り、はちゃめちゃでキュート。池津祥子
エネルギッシュな猥雑さ◎。
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