OMSプロデュース「ここからは遠い国」
＠六本木・俳優座劇場 （1999/3/26-30 7ステージ） 指定前売り3500当日3800
スタッフ、出演：下記
1999/3/28(日)晴れ 5:05-7:20PM(2'15) 中段より 客席8？割(250人)
客層：大川興行ファンか、きゃいきゃいしたお客も。あとは普通な演劇ファン。
客入れ：ビデオ、カメラ撮影禁止注意ビラあり。5PM開演を勘違いか、遅れてくる
お客もちらほら、 ちゃんと誘導あり。パンフ(800だっけ？）。プロデュース公演
の経緯、役者プロフィールなど適度適切な内容。
扇町ミュージアムスクエアの同戯曲賞・'97大賞作を内藤裕敬が演出、関西の役者を
集めてのＰ公演。
舞台。塗装業者の倉庫なガレージ。中央の軽トラックを囲むように種々資材、ビン
類を置いた棚。ごたごたと物量一杯な。上手に戸外と隔てるシャッター、その奥に
事務所。下手棚の間の階段を上り、母屋に至る設定。上方向に積みすぎな印象、
違和感感じたねこ。軽トラックは回り舞台に乗せられ、見る角度を変えたり、ぐるぐ
ると早くまわしたりとダイナミックに演出。
音楽。井上陽水の「夢の中へ」など、歌詞がはまるよう巧く使う。「三人姉妹」の
楽隊の音が「だんご３兄弟」なのは、今の現実とわいえ狙いすぎのような。
お話。とある宗教団体から逃げてきた、その家の長男はガレージのトラックに寝泊
り。いまだ跡取りとして望みを捨てていない父親と彼は顔を合わせれば、対立ばか
り。家業にも陰りがみえ、家計が苦しい長女は気をもみながら、いらだちを隠せな
い。兄を慕う下の妹はそれでも気遣いを忘れず。そんな家族の優しさも、望みが絶
たれた息子には気詰まりなばかり。そんな折、事件を起こした宗教団体の信徒達を
調査に公安がやってくる。長男の回想、妄想と現実がないまぜとなって進行。
初演舞台を解体、再構築して様変わり。絶望が生む意志を崩壊家族の姿から、普遍
のものとして描いた岩崎演出。内藤演出は酷い世界の現実と絶望を今なリアルなもの
として提示してく。オウム真理教の事件を思わせる場面や人々が終始舞台に。その
即物的表現は事実がもつ（知るものには）力があり。でも、あんまりべた過ぎて、
生理的に受け入れがたいねこ。特に終始いる信徒など、直接見せずとも家族のやり
取りから、その影の大きさを伺わせたほうが好みねこ。演劇好きな子（渡辺神奈子）
が信徒達が踊る場面を演出する、ラストは○。それまで見せた舞台のリアルを芝居
であると示し、逆にお客個々がもつリアルを思い浮かばせる。巧みで○。
行き場のない焦燥感をもつ長男を、必死の演技で松本さんは熱演。判らないながら
受け止めようとする父親として、荒谷さんはがぶり四つに組んで応える。2人が対
する場面の訴えかけ大。でも、なんか家族の個々人がばらばら、分かり合えない群
像な印象もあり。外圧な事実の強さばかりが目立ち、家族の内側の関わり合いが初
演より見えず。「三人姉妹」の台詞が、左右の耳を素通りして聞こえたのが残念ねこ。
ほか役者。達者な人多し。佳梯かこさんの母親役。希薄な浮遊感が哀しくて○。三
女友人役の渡辺神奈子さん。凛とした、楷書体のような佇まいが印象に残ったねこ。
期待の一色忍さん。まず、彼女が出ているのかが！？。いつもの健気な少女イメー
ジとはちがう、気が強い美人お姉さんぶりには、ほよよねこ。
東京初演 今回
'97-3/1-2 '99/3/26-30
2ステージ 7ステージ
Ｐグローブ座 俳優座劇場
3000円 3500円 作：岩崎正裕[199Q太陽族] ←
演出：岩崎正裕 内藤裕敬[南河内万歳一座]
美術：今井弘ほか 加藤登美子
照明：徳田芳美 桐山元一
音響：金子進一ほか 堤野雅嗣
舞台監督：池田ともゆき 久保克司
音楽：− 藤田辰也
制作：安積智子ほか 松下安良ほか
出演：
長男・義正：森本研典 松本キック[大川興業]
長女・信子：北山あき 一色忍[ジャブジャブサーキット]
次女・礼子：篠原裕紀子 重定礼子[南河内万歳一座]
三女・真理：金田典子 井上三奈子[ププラ・モーチカ] 父・仁：南 勝[俳優詩房] 荒谷清水[南河内万歳一座]
母・智子：岸部孝子 佳梯かこ[プロジェクト･ ナビ] 従業員・日向：高木稟 大野垣論＊
真理の友人・園部カオリ：藤堂麻里 渡辺神奈子＊
真理の友人・別所ユキ：上宇都理恵 青空まるこ＊[つつじ満開座] 信徒・兼光：奇異 保 内野智＊[元劇団３○○]
[虚航船団パラメトリックオーケストラ]
公安警察・小松：工藤俊作 木之内頼仁[元転位・２１] 信徒：北岡啓考、佐藤めぐみ 久保内亜紀＊[元劇団３○○]
青山麻紀＊[２ＴＢ]
大西智子＊
安宅慶太[南河内万歳一座]
前田晃生[南河内万歳一座]
松苗伸彦[南河内万歳一座]
＊：オーディション合格者 ［月間一覧］ |