ＥＮＢＵ[演劇＆映像]ゼミナール 2001年度 演劇科演劇コース
ケラリーノ・サンドロヴィッチ クラス公演「青十字」
＠天王州 スフィアメックス(2002/4/27-28 3ステージ)
http://db.tennoz.co.jp/art/default.htm
全自由 前売り1000円、当日1200円
作・演出：ケラリーノ・サンドロヴィッチ[ナイロン100℃] 舞台監督：松下清永
舞台美術：長田よしこ 照明：関口裕二[balance,inc.DESIGN]
音響：水越佳一[モックサウンド] 振付：長田奈麻[ナイロン100℃]
歌唱指導：安沢千草[ナイロン100℃] 演出助手：西永貴文
KERAクラス HP： http://www16.u-page.so-net.ne.jp/fa2/rinna/5.html
出演：
中尾貴宏 ：カネコ（喫茶エデン マスター。革命組織上層部）
長谷川有希子：トキコ（喫茶エデン勤め。革命組織上層部）
大島怜也 ：メザキ（村民。村田の手下。不幸、たがが外れている人）
内田 龍 ：ヨシヲ（挫折して東京よりＵターン）
小林英郎 ：ハナモト（村民。革命組織の汚れ仕事をやらされている）
植原綾子 ：テテコ（村民。ハナモトの妻。妊婦・臨月）
吉村明子 ：アケミ（カネコ妹。監禁状態）
星河恵美子：レイナ（村民。カネコ子飼のスパイ）
丸川雅也 ：ムラタ（大阪弁をはなす革命組織幹部。東京より逃走中）
秋山一生 ：ヒビ （村民。村田の手下）
木村 悟 ：クロサワ（ロケハン隊。セカンド助監督。小太り。）
福田里菜 ：キミジマ（ロケハン隊。記録）
佐藤真義 ：ウエハラ（ロケハン隊。フォース助監督。さわやか顔）
中泉裕矢 ：古賀龍之介（ロケハン隊になぜかいるスター俳優）
和田美津子：チエ （ロケハン隊。衣装）
中川 円 ：ヒサエ（古賀龍之介ファンクラブ 地区会長）
佐々木キミテル：タイゾウ（心中男。いつも生き残る）
志賀聖子 ：サキエ（タイゾウと心中旅行中。）
小田嶋陽子：霊Ａ（タイゾウと過去心中して死亡。なぜか水着姿）
大門郁子 ：霊Ｂ（タイゾウと過去心中して死亡。なぜか着物姿）
2002/4/28(日)晴れ 6:02-8:15PM(2'13) 中段より 客席満員(170人)
客層：20歳代中心、男女半々。ときどき中年層。
客入れ：事務局、ぴあ(200番台。末尾二桁番号）の順で交互一列に整列させ、呼び出し
入場。場内誘導随時あり。全椅子席、後方雛壇。折り込みパンフ。卒業アルバム趣向。
本紙と文集の２分冊。先生の言葉、寄せ書きほか掲載。物販なし。
生徒の熱意にほだされて、ゼミ修了公演・KERA書き下ろし作品。たった400人観客の
レアもの公演。
舞台。田舎のスナック。ベニアの安普請木造、屋根と戸外もしつらえ。入口に
「喫茶エデン」の看板。壁にスーパードライ水着ポスター。右手にカウンターバー、
ベルベットのスツール。左手、丸テーブルにブルーベルベット椅子。手前にも
テーブルあり。床は赤。周囲。上手にパースした柵。手前、文字が薄れたバス停標識
とベンチ。
お話。携帯圏外、山間のスナック。東京でもどりの若者とお店のマスターら世間話
中。映画ロケの先発隊、青い十字架掲げた「十字館」に逗留中。人気俳優なぜか
同行、奇行のよくない噂あり。心中旅行の男女が死に場所探し中、でも、なんか
しゃこ料理に未練と煮え切らない。おまけ、当の男ばかり生き残り、心中死した
相方女達の亡霊が女のアドバイザーとして随行。心中男は地元ジュースミックス飲ん
で幻覚ミュージカル、ひゃっほー。
疲れた地元男がスナックへ。作業服に血。総括、同士刺殺、十字館裏手で墓堀。
殴ってる方がつらいんだよとか、会話が交わされ。知られたと誤解されて、心中男は
刺殺され。ロケハン隊がセット設営に十字館の裏手を掘り起こすと聞いて、革命戦士
な村人達大慌て。心中男の連れ合い女は、地元妊婦のもつ紙バックに手首みつけ、
逃げだし。妊婦の夫＝疲れた地元男は心中女を追いかけ、一目惚れの浮気心で始末
済みと仲間に嘘つき。
革命戦士・喫茶店マスターの妹、足不自由、は監禁中。兄の過度の愛情故か。東京
からおわれて、幹部村田さん帰郷。トイレの心中男死体にびっくり、激怒。しつつ、
ファンクラブの子とスナックにきた人気俳優にミーハー。
役者はそろって、裏切り横行、セクト利用やら抜けたいの本音やら。刺殺男から
（だったかな）喫茶店マスターの裏切りを知らされた幹部村田。裏切り仲間の東京
出戻り青年の警告電話は届かず、マスターは村田に射殺され。喫茶店内、回りっぱ
なしで録音のファンクラブの子のテレコあり。刺殺男、裏切り証拠会話を、東京
でもどり青年に聞かせるけど、中身はさわやか「ゆず」の歌。故障？なんで？、
とんちんかん。逃げ出した妹からマスターが殺されたことを知らされ、あたふたする
東京でもどり出戻り青年。さらなる追い打ち。地元妊婦は夫の浮気をしって、ほか
いろいろあって、トイレでリストカットし、自殺。見えないところの死体はこれで
３つ。
地元妊婦の夫は心中女に迫り、彼女のアドバイザー霊達もだめ回答（このあと、
ミュージカルシーンだっけ。）ロケハン隊、助監督は運がなくて、首の危機おまけに
喧嘩で怪我。彼をぼこぼこにした助手、さわやかに悪意表明。俳優の悪い噂も助監督
を陥れるための嘘と。そんな清々しく告白されてもねえ、と助監督嘆息。
おもしろくも難しい高レベル作品に、生徒果敢に挑戦。生硬なれど、やり場ないもん
もん閉塞感をかもしていい感じ。陰惨な現実をどう描くかで、KERA暗黒面の魅力◎。
日常とは予定外と衝動の繰り返し。そのずっこけはシリアス顔も場違いな笑い生み。
非日常の惨劇は見えないところで起き、隣り合わせの危機感しらず。そんな日常、
非日常の同居を巧みに描いてさすが。ミュージカルとは突然なるものと、突発する
ダンスシーン。無意味に活性化されて愉快。毒気も忘れず。「ゆず」のさわやかな歌
をことさら嫌らしいものとしちゃうとか。
役者。不器用、器用ととりどり。巧拙はともかく、枠に嵌らないものをもっと観た
かったねこ。刺殺男役、大島さん。よく読めぬ表情に得体の知れなさ感じさせ。
心中女、志賀さん。どことな華やかで目立ち。喫茶店店員、長谷川さん。くっきり。
［月間一覧］
|