宇宙堂 第3回公演「りぼん」
＠渋谷 青山円形劇場（2003/9/2-11 12ステージ）
http://www.aoyama.org/
トークゲスト 9/8m永井愛 9/10m鈴木裕美 9/11m木野花
全指定 前売5500円 当日5800円
＠横浜赤レンガ倉庫一号館 8/30-31 3ステージ
作・演出：渡辺えり子 作曲・演奏：近藤達郎 振付：菅原鷹志
美術・衣装・小道具デザイン：加藤ちか 照明：宮野和夫 音響：原島正治
ヘアメイク：馮啓考 歌唱指導：深沢敦 演出助手：河合範子
舞台監督：榎太郎 宣伝美術：ＪＯＹＳ 企画・製作：（有）おふぃす３○○
出演：
木野 花：芙蓉、向田春子（夏江の義理の娘）、掃除婦、ベンチ
渡辺えり子：アザミ、夏江、掃除婦、ベンチ
小崎友里衣：ヘプバーン(直助の飼い猫）、花絵（春子の娘）
土屋良太：橘はじめ、大林潤一（花絵の息子）、真下貢（春子の夫）、医者
北村岳子：上田すみれ(同潤会の住人、同級生）、女中、米兵
高谷あゆみ：榎本百合子(同潤会の住人、同級生）、女中、米兵
杉嶋美智子：岡島桜子(同潤会の住人、同級生）、女中、米兵
田根楽子：馬場幸子(同潤会の住人）、女中、掃除婦、ベンチ
観世葉子：田川撫子（先生）、梅（撫子の母親）、米兵
坂本岳大：浜野りぼん
矢沢 庸：係員、米兵、出田良子
北原雅樹：修、牧野（夏江の恋人）、関口誠(馬場の恋人)、神田守（百合子の恋人)
、川上正也（すみれの恋人）、ジロー（桜子の恋人チンパンジー)
野笹由紀子：時夫（すみれの弟）
近藤達郎：薫(ピアノ)
川波幸恵：みどり(バンドネオン)
岩城淳也：強(ギター)
坂本ひとみ：少女、黒沢
奥山 隆：雪夫、学生
秦慎二郎：少年、霧、学生
木村絵里：少女、学生
吉田裕貴：直助、学生
落合哲郎：少年、霧、学生
佐々木耕平：博、学生
多賀健祐：少年、霧、吉岡先生
藤澤太郎：少年、学生
梅原晶太：少年、学生
木嶋久実：霧、学生
熊倉一美：少女、学生
柴田寛子：霧、学生
田辺愛美：しのぶ、しのべ
谷口幸穂：少女、学生
2003/9/6(土)晴 2:00-4:21PM(2'17) ロビー側ブロック 客席満員(320人)
客層：中年層半数、25歳以上の大人客席。おばさま中心に女性8,9割。
客入れ：当日券あり、詳細不明。バンド用１ブロックを除いて、ほぼ完全円形客席。
開演定時5分前から役者板付き、定時開始なので遅刻注意。
折り込みパンフなし。物販。パンフ(A5 80ページ 1000円)雑誌体裁。全役者と渡辺
えり子のトーク。渡辺えり子×美輪明宏、中村勘九郎対談。小説版ストーリー説明。
背景となる建物など解説。など盛りだくさん。サントラＣＤ2500円。手ぬぐい800円。
渡辺えり子の年一公演ユニット、ごく若手〜ベテランの幅広い俳優を集めて。
舞台。完全円形。天井に梢のリング、中央に大きなぼんぼり。巣の中の卵とも、下部
の黒丸から眼のようにも見え。装置は椅子程度、持ち込み式。
お話。昭和39年横浜 修学旅行の中学生達。右往左往する内に現れる、同級生すみれ
の幾重不明の弟と、直助の死んだ飼い猫。気がつくと根岸の外人墓地に彷徨い出て。
時代は遡り戦前。裕福な家の娘・夏江と苦学生・牧野は身分違いの恋。将来を懸念し
た教師・黒沢は二人を諭して、その仲を割いてしまう。牧野は、りぼんを夏江に贈り
去っていく。14年後、夏江の義理の娘・春子の婚礼前夜。りぼんの由来を話す夏子。
夏江は女中達にりぼんを分け与え、家をでる決心をする。
昭和49年。亡き祖父の日記を頼りに同潤会アパートを巡る潤一。母親の遺骨を庭に
埋めたというのだ。青山の同潤会アパートには海棠（かいどう）の古木があると、
もしかしてその下にと、偶然であった住人の女性達。訪問の約束後、もの思いの内に
気がつけば、横浜にいる潤一。出会う、浜野りぼんと名乗る、謎の女装青年。自分を
捨てた母親を探すために、娼婦だった母親の格好で手がかりを探しているという。
春子の夫が抑留されていたシベリアから17年ぶりに帰ってくる。あの頃の姿のままの
妻・春子の腹部は、妊娠に脹らんでいた。想い出走馬燈、でもこの裏切りは一体…。
りぼんで妻の首を絞める、とそこに現れる春子。少女は実の娘であったのだ。春子の
夫は絶望の内に去っていく。
現在。取り壊される同潤会アパートに集う一同。そこで明かされる恋物語の行く末。
浜野りぼんの正体。戦前〜戦後にかけ暮らしを見守ってきたアパートを中心に、大正
生まれの老女達の現実と記憶が入り乱れ、繋がっていくオムニバス。
ぼろは着てても心に錦、肌身離せぬ「りぼん」の願い。役者の動きと達者な演技を
頼りに布ら簡素な装置、照明で彩り、くるくると時空転換。その物語る勢いに渡辺
えり子健在を感じて、ちょっとうれしいねこ。歌が沢山、ほとんど音楽劇の様相。
悲しみを胸に、高く望む歌詞と優しいメロディに心和むねこ。
戦前〜戦後を通し、壊される街と人生模様。それでもしたたかに生き抜いてきた女性
達。生き死に沙汰の中も守ってきた「りぼん」は人の心の象徴、とりわけて恋の思い
物質的には復興なるも、精神の焦土と化しつつある殺伐とした今、渡辺えり子の危機
感と意志が強く伝わり。未来への希望がために何を考えなければいけないか。生死に
関わらないが「りぼん」のように大切なもの、人の心を「演劇」でどう描いていくの
か。古風もエバーグリーンな物語る舞台に、その思いが強く感じられたねこ。
役者。ベテラン女優を要においてしっかり。実年齢に近い(まではいかない？）演技
に味わいあり。木野花。真摯で熱い演技。この作品への愛着と理解が伺え。少女な
邪気のない演技はご愛敬。渡辺えり子。美味しい役所は自粛し、要所を締め。
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