文学座〈6月アトリエの会〉「クロイツェル･ソナタ」
＠信濃町・文学座アトリエ (1998/6/3-14 14ステージ)
全自由前売り3000当日3500
作：岩松了 演出：藤原新平
出演：山崎美貴、大原康裕、片渕 忍、白鳥
哲、香月弥生、富沢亜古、関 輝雄、
八木昌子、村治 学
1998/6/12(金)晴れ 7:00-9:00pm 前方より 客席満員(160)
客層：中年層中心に幅広く。支持会員多？。女性過半数。
客入れ：常時誘導あり。舞台が高く立ち姿勢の芝居中心なので、後方のが○。
新進気鋭作家シリーズ、第５弾。
舞台。会社の保養所設定。明るい戸外に面した、ちと古びたホール。中央、白い開
放的な扉、から広がる澄んだ空つうか虚空。階下への階段。上手窓からも同様の眺
め。屋内。ニス塗りの床。下手にアップライトピアノ。壁は下板張り、上モルタル
？（スモーク橙色）。壁沿いに片づけられた椅子、テーブル、ビールラック。天井
に簡素なシャンデリアと壁ランプ。
お話。湘南、海を見おろす高台にある会社保養所。若い、リストラの果ての管理人
要次（大原）と孝子（山崎）の結婚１年目にしての披露パーティ。要次の知人・佐
久間の妻君だった孝子を、いわば寝取っての結婚だっただけにようやくの披露の事
情。二人の家族、友人、恩師、隣家の管理人、佐久間の同僚らのぎこちない導入会
話もそこそこに、秘めた思い、憎悪、不安が密かに立ち現れるパーティ前。とりわ
け、孝子は先夫来訪の知らせに動揺、長の疎外感、不安極まり、不安定さを増して
ゆく。二人を結びつけたクロイツェル・ソナタの熱演に高揚するパーティ。しかし
これからと思われた関係は、孝子の突然の出奔に脆くも崩れ去るのだった。
人の結びつきの脆弱さへの不安な気持ち。一層岩松了してる舞台。日をしっかり当
てたよな、明確な表現、メリハリ演技と得体しれない感情流れるテキストの対比が
おもしろい。嫉妬、やっかり、嫌悪、ラブラブ、片恋、不明、じゃれ合い、疎外・
排他など、人間関係のこれでもかの絡まり。裏相関図を書くお楽しみありなそれに
は出歯亀気分ねこ。特に虫殺さぬ顔でひどい女・傷つけられることを嫌いながら、
無自覚に自己中心に人を傷つける、孝子が興味深い。ぽつぽつある分析的、内省な
非日常台詞はチェーホフ作品の人物彷彿。それで？の先がない、実を感じさせぬと
こは共通するよな。
タイトル曲の演奏が劇中あり。高ずる気分を感じさせ、役者さんの演奏とは思えぬ
熱演。演出意図か劇団カラーか、楷書で描いたような演技する役者さんには違和感
ねこ。みるうち慣れたけど。
役者。しっかり演技とアンサンブルで安心。隣家の管理人、孝子恩師に思われる未
亡人役・八木さん。妙にかわいいとこがあるおばさん好感。子犬みたいに動いて、
なんか一人よがりで変な、要次弟役・白鳥さん。いままでの岩松芝居キャラのエキ
セントリックさあり、笑うねこ。
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