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 PARCO制作「マヌエラ MANUELA−燃える上海 恋する女−」

 @渋谷・PARCO劇場 (1999/1/3-31 34ステージ 14貸切18休演)
 全指定前売り当日共7500
 脚本:鎌田敏夫 演出:佐藤浩史 音楽:加藤和彦 美術:島川とおる
 照明:成瀬一裕 音響:本間明 ヘアメイク:角田和子 殺陣:國井正廣
 衣装:渡辺園子 振付:川崎悦子 舞台監督:松坂哲生
 プロデューサー:中山和紀ほか 制作:尾形真由美 主催:フジテレビジョン
 出演:
 天海祐希 (マヌエラ=永末妙子)
 伊原剛志 (和田海軍中尉)
 春田純一 (村岡部長、貿易商社社員、実は陸軍憲兵隊 諜報部員)
 高橋理奈 (リューバ、元ロシア貴族のダンサー、妙子の同僚)
 岡田真澄 (パスコラ、上海の芸能を取り仕切るユダヤ人振付師)
 小宮健吾 (杜月笙 秘密組織・青幇の幹部)
 伊藤明賢 (陳 パスコラの恋人、タップダンサー、実は共産党のテロリスト)
 浅野 元 (中国共産党員)
 石山 穀 (里見甫 満州通信社社長、実は阿片の密売人)
 附田政信 (ボリス 元ロシアの青年将校。現杜月笙の用心棒。リューバの恋人)
 グレッグ・デール(ホール支配人) 井口綾子、岡千絵、水谷菜穂子、渡部照代
 ヴァネッサ・ファブレガ(以上ダンサー)

 1999/1/4(月)晴れ 2:00-4:10PM(55+休15+60) 最後尾から 客席満員(450人)
 客層:女性7,8割。20ー30才代中心におばさまも多く。
 客入れ:当日券開演1時間前発売。ねこは開演間際に購入して、最後尾補助椅子。
 本席の発券状況は不明。パンフ(1500)、写真、文章ともヴォリュームあり。時代背
 景説明、存命されているマヌエラこと永末さんの回想録つき。

 「金曜日の妻たちへ」などの鎌田敏夫氏初めての舞台脚本なそう。
 舞台。黒色で統一されたクラブステージ装置。中央2Fに円形の張り出しステージ
 両側に生バンドボックス、下方フロアまで幅広い両階段。下手中途には黒いアップ
 ライトピアノ。フロア奥に入口ドア。

 お話。上海、日本の入り込めないフランス租界。ミステリアス・マヌエラと呼ばれ
 た国籍不明のダンサーを歴史の中で描いて行く。国に何事にも囚われるのが嫌さに
 不倫の駆け落ちに乗じて、日本脱出したSKDの若きダンサー妙子(天海)。頼みの男
 にもあっさり振られ、心機一転自由の都・上海へ。舞台はここから始まる。ダンス
 ホールのダンサーに。外観の美しさもあり、敏腕振り付け師(岡田)の目に止まり
 「マヌエラ」として一流クラブにデビュー。意志強く、自由な彼女に海軍軍人・
 和田(伊原)は密かに心引かれ気に掛ける。しかし堅物な軍人気質ゆえ、彼女とは
 すれ違ってばかり。その頃、軍部は米の参戦阻止の準備を進めていた。その為の上
 海侵攻の企て。憲兵隊は彼女と周囲を共産党の抗日活動に組する者として目をつけ
 ていた。疑いの手が及ぼうとしたとき、和田は彼女を救い出し、結局受け入れられる。
 舞台はここまで。

 この後2人は日本に帰国。彼女は日比谷に高級クラブを開く。和田は妻子を捨てて
 彼女の元へ。ドイツ送還の手から逃れた振り付け師も彼女に保護される。そして、
 彼女の元にはハリウッドからスカウトが訪れるのだったが・・。
 パンフにあるように永末妙子さんは87歳で存命。クラブ跡地に建てた日本料理・摩耶
 にはオーナーとして時折姿を見せられるそう。

 時代の中、翻弄される人々の群像、その潮流に一人立つ女性を浮かばせるな。ひと
 昔前の少女マンガ、運命の出会いなロマンティックさあり。「ダンスは体で表現す
 る愛の物語」なんて恥ずかしげな台詞や、ラストで和田を受け入れるマヌエラの衝
 動愛とか。甘く弾むバンド演奏、滑らかなダンスシーンとか。一方、国の名のもと
 の私利私欲に蹂躙される人々の史実暗部を背景を割いて描き。全体は後者に重き
 を置いた印象あり。それに応えた、手応えある役者演技は○。でも、マヌエラ、和田
 の交流場面を始め、断片的でもひとつ物足りなく、心情の動きが判りがたいとこあ
 り。映画予告編をみているよう。手堅くまとめて印象深いとこあるけど、細かには?な。

 とわいえ、華がある天海さんは◎。観られて幸せ。すらっと長駆のかっこよさ、切れ
 がよい動き、芯があり張りのある声。なんつうか吟醸酒な雰囲気。前半の中性的
 な出で立ち、気が強い物腰がさりげに似合って○。ダンスな動きはもっと観たいと
 ころ。ストレートプレイなのがいいやら物足りないやらねこ。岡田さん。人格者な
 ユダヤ人、ゲイのダンス振り付け師、元ダンサーのテロリストが恋人な美味しい設
 定。おねえ台詞にも気持ちがしっかりしんみりと入っていて○。春日さん。最後ま
 で得体知れない役、嫌悪感をもようさせる下司野郎ぶりが○。伊原さん。堅物演技
 はよけれど、もっと機微をみせてほしかったねこ(演出故?)。高橋さん。華がある
 人、天海さんとの偽キスシーンも妙に色気があって○。

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