星屑の会「ある晴れた日の自衛隊 〜愛と動乱の娯楽室」
＠下北沢・本多劇場 (1999/2/18-28 13ステージ) 全指定 前売り当日共4200
作・演出：水谷龍二 美術：松野潤 照明：五十嵐正夫[シアタープレーン]
音響：原島正治[囃組] 舞台監督：青木義博[THE ACT] 殺陣：岡本隆史
振付：めるも デザイン：江川初代[hatch.Inc.]
制作：近藤弘道[石井光三オフィス]ほか
出演：（あえて階級順）
篠井英介：加東千春 ／一佐（業務隊長） ；物腰が上品、理想主義者。
小宮孝泰：長谷川貞道／二佐（業務隊副隊長）；接客対応の業務隊員。気が短い
ラサール石井：宮本潔／三佐（業務隊） ；同上。如才ない。
菅原大吉：稲垣誠一郎／一尉（中隊長） ；辛い中間管理職。気が弱い
新納敏正：白鳥英二 ／二尉（小隊長） ；誠実でまっすぐ、部下に慕われる
でんでん：大場実 ／曹長 ；義侠心強い。淋しい男？
安田博美：田中ゆかり／曹長（教官） ；誠実でまっすぐ、鬼教官と嫌われる
朝倉伸二：牟田定男 ／万年三曹 ；怠け者、嘘吐きと疎まれる
江端英久：及川正勝 ／三曹 ；若い隊員。自衛隊の明日を憂う
築出静夫：小沼秀樹 ／三曹 ；ちょとしつこいおじさん
柏進 ：柴田三郎 ／士長（業務隊） ；元白鳥の部下。業務隊に馴染めない
森しのぶ：中村雅子 ／一士（業務隊） ；きゃぴきゃぴした子
やすこうちなお：関智美／一士（業務隊） ；同上
三田村周三：米山巧造 ／元・准尉（曹長より上）；駐屯地喫茶室マスター。苦労人。
1999/2/26(金)晴れ 7:05-8:55PM(1'50) 中段より 客席ほぼ満員(370人)
客層：おじさんがそこここに。おばさんがあちこちに。開演前はお茶の間状態。
２０才代女性はいつもどおり。老若男女がともに笑い合うな、いい感じな広がり。
客入れ：今回、補助椅子はなし。当日券は毎回用意しているとのこと。携帯注意
あり。物販。パンフなし（織り込み４Ｐのあり）。ラサール石井、１０才時の写真
グッズの販売あり。キャンドル1200、Ｔシャツ2500、ポストカード（２種）150。
まことちゃんみたいなラサールさん○。あと、篠井さんの本、戯曲。
2.5年ぶり、シリーズ４回目・完結編なそう。ねこ初見。
舞台。壁は黄ばんで古びた講堂雰囲気。アーチを描く天井梁が時代感じさせ。中央
大きなガラス窓、からは戸外の木立がみえ、国旗が掲揚。上手が一段高く手すりあ
り、テーブルと椅子の喫茶場所。ジャズ好きのマスター趣味か、マイルス？の写真
レコードプレーヤー。チーズケーキあり、飲み物は全品200円の掲示あり。下手に
ＴＶを挟んで長いすと長机。禁煙なんで灰皿はなし。その奥に卓球台、その上に
洗濯物が干され。奥の棚にはたて、賞状。隣に古びた巨大エアコン。アイロン台。
部屋の入り口は下手手前。
お話。弁論大会を控え、第二中隊も優勝をかけて取組中。大場曹長の母の思い出を
綴った弁論が、白鳥小隊長は心感じてお気に入り。がしかし、管理職な上官は自衛
隊がためのの趣旨と合い入れないと突き返す。それより以前、部外接客担当の業務
隊の放埓ぶりに、地道に勤務する隊員と白鳥は言い出せない不満を抱えていた。そ
んな折、若い隊員が隠していた弁論原稿・業務隊の不正を暴いたもの、が発見され
大騒ぎとなる。
理想と現実のギャップ。すぱっと切り込もうとする「日本男児の生き方」が浮かぶ。
国＝家族、仲間、自分を守るため、志高くあろうとする者が疎まれる社会。私利私欲
、保身を前に、なよなよと崩れる人の悲しさ。お客の世代それぞれに、わかって
いても、だめな自分、忘れていた志を呼び起こす舞台。共感な難しいジレンマが、
ラストですっと胸に落ちつく任侠ものな味わいもあり。極端な理想主義者の業務隊
長は、気高く強い自衛隊を目指すといい、対して白鳥は「実戦に出ず定年をむかえる」
のが理想という。白鳥は、更迭覚悟で現状への意見を訴えさせることを決意する。
母への思慕を訴えた大場の論説、流れる「オーバー・ザ・レインボー」：お家が一番、
幸せはそこにある、なオズの魔法。攻めるためでなく、大事に思うものを守るために
生きて戦う、を体現する白鳥に、なんだかんだいっても快哉しちゃうねこ。
聖人君子じゃないだめなキャラとりどり。とっても人間くさく、個々がちゃんと生きて
いるのはいつもどおり。気が弱くて、ダメな中隊長に共感ねこ。組織第一、けど一人
の人間としての部下のも大事の板ばさみ、もちろん自分も守らなきゃいけないの
ジレンマあり。腰砕けな様がなんかとっても頷けて○。
さりげな音楽はモダンジャズ中心。前半のマイルスがなんか陰謀ありげな緊迫をち
ょっと伺わせ。後半はトゥーツ・シールマンスの渋いハーモニカでしみじみ。こちらは
白鳥の心中を伺わせて○。また、それぞれの恋愛感情も背景にちゃんと伺わせ。
細かい職人芸みたい、味わいましてて○。
役者。新納さん。黙して語らず、男気そこはかな存在感○。ゲスト、篠井さん。柔ら
かな物腰から狂的雰囲気を醸すラストの変化にぞくり。朝倉さん。いやーな小悪党
ぶりを好演。ラサール、小宮コンビ。2人”SPEED”にせよなんにせよ、狂言回しと
してもご苦労様。
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