ポかリン記憶舎 Pocarine Reminiscence Troop #5 「Pictures」
＠代々木・FUJITA VENTE (1999/3/26-28 5ステージ）
自由前売り2300 当日2500 ※10歳以下の入場不可
作・演出：明神慈 音楽：木並和彦 照明：木藤歩 音響：田中邦昭
衣装：工藤恵子 映像：柳淳夫 舞台監督：海老沢栄 制作：PRT
出演：篠永 洋、池川真人、坂井珠真、田上智那、後藤飛鳥
1999/3/28(日)晴れ 2:10ｰ3:30PM(1'20) 前方より 客席８割(100人)
客層：20-30才代、女性中心に老若男女。
客入れ：いつもの（本格着付の）和服美女達が受付、客席案内。なんか贅沢な気分
折り込みチラシ、事前注意でパンフ、荷物を椅子下に置くようお願いあり。サント
リーホールとかみたい。針が落ちる音も聞こえるような、静寂感大事の舞台ゆえ。
グッズいろいろ。劇中使用音楽ＣＤ(1000-1200)、買えばよかったと後悔（作家の
HPで聞けるけど http://www.catnet.ne.jp/kinami/welcome.html ）
あとチラシに登場の”ぽっぷり（犬？）”人形(4800）も販売。
独特の浮遊感ある舞台、和服美女の出迎えで評判の劇団。未上演の旧作：平成9
年度（第20回）文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞作品 を遅れ馳せに上演。
舞台。まるで能舞台。一面ベージュ。白でもなく、黒でもない、微妙な中間色。一段
高くなった雛壇、下手に通路、後方に衝立３葉。合間から後方通路の一部がスリ
ット状に覗く。床が微妙に違う３つのトーンなのに、ふーん。冒頭、暗転から明りが
入ると、中央に白布を顔に掛けられた女性の遺体が斜に寝かされていて。
音楽。ピアノの穏やかで静かな音と逆回しのループ音が客入れ時から。劇中もずっ
と小さくバックグランドで流れ、音による静寂感を醸し。ＥＣＭ系の音楽を思わせる
透明感、そこはかとないやすらぎを感じさせて◎。好きねこ。
お話。同棲している女性が急死、その家に集まる故人の姉、同性相手男性の弟とそ
の恋人（故人と面識あり）。仮通夜のような夜。同棲していた２人は互いのいつか
至る死を見つめ、遺書代わりの映像、死装束を用意済み。故人の姉もまたそう。死
を安らぎと融和の楽園と考え、それまでを無為に過す時と捉える彼らに、弟は違和
感をぬぐえない。彼は疎外感を胸に、故人と２人きりにしてもらう。彼女への秘めた
思い、１度だけ背中越しに抱いたときの受容の感触を蘇らせる彼。その記憶は彼と
彼の中に今も生きる彼女と共に、闇の中に優しく溶けて行くのだった。
ここでなく、あそこでもない浮遊した空間から、ひとつの生のありようを描き出す。
喪服じゃない、姉のモスグリーン服からも伺える、死を無為な闇とは考えない奇妙
な人たち。無という形での完全な同化、つう究極愛みたいなもの。なんにも無くな
ることの快楽。に違和感もちつつ、無所属の思想に心地よいもの、あこがれを感じ
るねこ。クールに淡々と進む舞台。ラスト、弟の告白は淡色にさす紅色のよう。死
での同化も、今を生きる人の思いあればこそと感じさせる、余韻ある幕切れで○。
役者。自然体の現代口語会話。間が多くありながら、不思議と緊張感がない、ニュ
ートラルさを醸すのは難しそう。無駄のない演技でなした役者達◎。とりわけ、訝し
げな目線や黙したときの影ある表情で、そこはかとなく違和感を表した、弟役の人が
巧い。
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