前頁 ] ホーム ] 一覧 ] 次頁 ] 


 花組芝居「奥女中たち」

  @下北沢 ザ・スズナリ (1999/6/24-7/18 30ステージ)
 休演=7/5(月) 全指定4800当日5000 ※学生3800・男性4600(7/1(木)〜7/18(日)のみ)
 なりきりメイドさん割引(当日のみ)あり。6/24-6/30はスペシャルプライスデー
 スタッフ、出演:下記

 1999/7/1(木)晴れ 7:30-9:48pm(2'15) 中段壁際より 客席満員(200人)
 客層:ほとんど女性、20-30才代。他、野郎、おじさんおばさんと幅広く。
 客入れ:平日は残席あり、土日売りきれ。当日券は両脇と最後尾で20-30席ほど。
 開場時で残席あり。ネヴュラ前日予約も余裕でとれたねこ。
 階段桟敷状客席。後方4列以外は背もたれ無し。客入れ誘導は随時。席の前後間隔
 はまあまああり。中央通路がないので、奥側(若い番号)の人は早めの入場が○。
 劇場のトイレは開演中使用不可(タウンホールのを使用)と注意あり。冷房の効きに
 場所によってむらあり。体調が悪くなった人の退場協力依頼、肩掛けの貸しだしと
 親切な心配り。壁際の席は、壁伝いに冷気が降りてきて寒く、備え要。
 物販。パンフ(800)。雀右衛門×加納さんの対談、おおやちきによるイラスト付役者
 あいさつ文あり。りぼん以来変わらない作風でなんかうれし。ほか、台本(?)、
 今舞台写真(会場のみ販売)。

 舞台。金色に大輪の薔薇な蒔絵。をはめたぶっとい柱、鴨居な壁がぐるり客席四方
 正面、黒床に舞台一杯の御簾。まあ、ここはどこかしら?な、客席舞台一体の奧御殿
 の有様。天井やロビーにもなんかほしかったかな、と強欲ねこ。

 お話。どうやら奥様と女中らしい2人。やがて、恨み辛みな言葉をもって女中は奥様
 に復讐の刃で迫る。と見えたがこれは茶番劇。主人・尾上の出世に嫉み、恨みの
 下女の鬱憤はらしなり。じゃまに入ったのは奥方・梅の方腰元達。ここでも虐げら
 れて、哀しい2人。とそこにばばあ・置霜登場。やはり尾上の出世を快く思わない
 彼女。悪魔のささやき:尾上暗殺に荷担せよと2人に無理難題。夢物語が現実!?
 躊躇しながらもうなずく2人。かの岩藤の亡霊をも加勢に呼び出だして準備万端。
 しかし、ラッキーな尾上は毒杯やら罠をかわして、ぜんぜん平気。こまったじゃん
 物語な人となり大願成就、の夢潰えた2人。お勝は南無三宝と毒杯を仰ぎ、ドラマ
 チックヒロインへ捨て身の掛け、あの世でお初化。取り残されたお辰は亡霊の岩藤
 に刃を向けた(つもりに)。ここではなく、あちらの物語はそうして始まり終わるのだった。

 ザ・スズナリをゴーカな大名家の奥御殿化。ジャン・ジュネ「女中たち」と河竹黙阿弥
 「加賀見山再岩藤」(かがみやまごにちのいわふじ)つう、メイドさんは苦労が
 絶えませんよ作をモチーフに92年初演(5周年記念公演)。当時、劇団最高作の
 声もあった作品。スパニッシュ強めのアランフェス協奏曲の哀愁と情念の開幕も
 同様、まんを満たしての再演。

 楽しくて、とりわけ切ない。悋気晴らしの夢物語、その願いは現世では決して叶わ
 ない。加勢するかに見えた主人たちの「物語」も結局は2人を裏切る、なおさらの
 残酷。勝は死によって夢物語の主人公となり、お辰はこちらに取り残される。結局
 なにも変わらない。逝く人を見送り、どこにもいけず、呆然とするだけの人生。
 私たちの世界をまんま体現。「物語」が派手やかに脳天気であるほどに増す、寂寥感
 にしみじみねこ。「物語」のなかで怨恨の夢叶わぬ岩藤、そして物語る舞台に期待
 する客席の関係も相似形。重なり見えてくる構図にうーんと感心ねこ。

 奧ならぬ「表」の物語はお茶目忘れず。お花らしい楽しさあり。歌舞伎パロ、所作の
 数々。岩藤の骨寄せイベント。逞しい「岩藤娘」。贔屓役者はと登場人物に問う
 など定番のちゃり。「女中たち」パートも歌舞伎の口跡で違和感なし。ファンサービス
 あちこち。なんか隅で遊んでいたりのジェット細かく。いい形に決まる場面に
 客席大向こうが(かけ声)でとちり、ダメダヨ〜と再度チャンスをあげてリプレイして
 あげるとか。扇を踊り落としても、笑って自己フォローとか。やたら親しみなアドリブ、
 ダメだしにもとほほな親近感。携帯がどうにかしたらしい、内緒事。餃子弁当を
 本番(仕事)前に食べた自覚の足りない女形役者の反省とか。
 
 役者。外部出演で中堅どころが薄い今回。とわいえ、役者の気迫が全体に感じられ
 ていい感じに引き締まり。若手も健闘してるし。その中で、座長・加納の自由自在
 ぶりが印象的。肩からいい具合に力が抜けた様は、10年後には唐十郎・女形版な
 存在になるんじゃ?と思うほど。雰囲気な岸田今日子のナレーションが「奥」を醸し
 てて◎。

           初演        再演
           '92/10/15-11/15  '99/6/24-7/18
           上演時間2'00    2'15(〜30?)
           36ステージ    30ステージ 
           ザ・スズナリ    ←
           他 大阪、京都 
           列指定3800     指定4800
           ベンチ3300
      スタッフ:
      作・演出:加納幸和      ←
      舞台美術:川口夏江      ←
        照明:橋本和幸      ←
        音響:清水吉郎      ←
        衣装:阿部朱美      ←
       小道具:?         石井みほ
      舞台監督:安田美知子     ←
        制作:大宮夏子      赤崎城子ほか
        殺陣:山下禎啓      ←
      宣伝美術:八代進一      矢吹かおり
      イラスト:八代進一?     おおやちき  
        出演:
     二代目尾上:北沢洋       ←
尾上の女中・妹、お勝:佐藤誓       桂憲一
同上    姉、お辰:原川浩明      水下きよし
    尾上の腰元衆:植本潤       森川理文
           大井靖彦      嶋倉雷象
           小森谷徹      松原綾央(新人)  
    奥方・梅の方:水下きよし     八代進一
    梅の方の女中:桂憲一       高荷邦彦
           中脇樹人      横道毅,7/9松原綾央7/10〜中脇樹人  
           八代進一      各務立基(新人)  
  お殿様・多賀大領:溝口健二      ←
     中老・奥山:山下禎啓      ←,7/9〜休演 代役:横道毅
     年寄・置霜:広田豹       大井靖彦
         犬:木原実       秋葉陽司(新人)  
     岩藤の亡魂:加納幸和      ←
    ナレーション:ーー        岸田今日子[演劇集団 円]  

   

月間一覧