古舘伊知郎 TALKING BLUES 13th「何を見ても何かを思いだす」
＠渋谷 PARCO劇場(2000/11/28-12/4 7ステージ）
＠静岡2/6 名古屋2/7 大阪2/8 福岡2/10 カウントダウン公演12/31場所未定
全指定 前売り当日とも6,000円
作・出演：古舘伊知郎 総合プロデュース：秋元康 ブレーン：田中知二、後藤和夫
音楽プロデュース：高見沢俊彦 演出：堤幸彦 演出補・舞台監督：長嶋太郎
作・演出：山本宏章、川野孝弘、樋口卓治、富永一郎、山名宏和
舞台：並木勝道 照明：永井雅彦 音響：山本浩一 プロデューサー：小曽根広一
制作：佐藤孝ほか 企画製作：古館プロダクション、フジテレビジョン
2000/12/2(土)晴れ 7:10-9:25PM(2'15) 中段より 客席超満員(470人)
客層：20ｰ30才代女性多数に老若男女。おじさんおばさん結構数。
客入れ：当日券。整理券配布(5:30-6:00PM）6:00PMから抽選。４３人列。補助席
１２、キャンセル待ち１０。間際で列んで当たったねこ。無駄なくラッキー。
壁際、上中下段に補助椅子。折り込みパンフ。Ａ４折り込み式の例年スタイル。
事件と既成概念のこととか。物販なし。
年一で13回目、今世紀最後のマシンガントーク。恒例となった大晦日公演もあり。
今年は無料、場所未定とはゲリラライブなのかしら？！。
舞台。まったくの素、黒い空間。中央に黒く高いバーテーブル、水をいれたコップ
が一つ。ここ数年の趣向まんま。
削ぎ落として、しゃべり一本。それも芸でなく本音な素でして、近年の傾向一層。
今の日本、ねばならぬのおかしさを鋭く指摘する今回。生来、善ではない人を歯に
衣きせず、シニカルに語っていく。どうしようも現状から立ち上がる、絶望と
ほのかな希望はまさにブルース。
冒頭の哲学者プロレス実況をのぞき、ほぼフリートーク。ＴＶではできない特別な
場にしたいのはわかるけど、数年続くと趣向に変化もほしくなるねこ。新世紀の
初めにどうするか、とか年一のお楽しみねこ。
主な進行（記憶とメモ元につき、誤りと抜けを予めお断り）
０恒例・注意アナウンス。13THと発音練習、いまいちの気を取り直し。ようするに
１３回目ってこと。客席で匂いのきついもの。よっちゃんのイカ、銀杏を食べない
でください。カメラ、テープレコーダ、盗撮、法廷でするよなスケッチ禁止。
遅刻してきた人にはスポットライトをあてますので、手拍子で迎えてください。
途中退場は倍返ししてもらいます。携帯電話は自宅で受けてください。それでも
鳴ったら、先生は悲しい、腐ったミカンです。歌謡ショーではありません。
会場での名刺交換は終演後行ってください。最後に木村拓也さん、工藤静香さん、
ご結婚おめでとうございます。
１ハープな協奏曲。客席手前から立ち登る光の幕。落ちると、黒衣の古館。プロレス
実況口調、ギリシャ哲学とはなんでありましょうか。ここコロシアムで行われる
哲学のガチンコ勝負。ギリシャＶＳドイツ。哲学ブームとはなにか。意味と目的、
そもそも身近な行動の目的が意味ではないか。人は死ぬことを目的に生きるという
ものもいる。哲学＝非生産行為のすばらしさであります。まず、コミッショナー
・デカルトの挨拶。吾思う〜、場内唱和。エゴイスト、生けるあいだみつおであり
ます。
ギリシャ勢登場。ソクラテス、プラトン〜。ドイツ勢。先頭はカント、続いて
ヘーゲル。それぞれのスキャンダラスなプロフィールと学説紹介。レフリーは
孔子。試合開始。イデア攻撃、ロマンティックな思想であります。もろものは
「ソフィーの世界」からパクリっております。セコンドのパスカルの隣には
バカボンのパパが。西から登った太陽が東に沈む、それでいいのだ。完全肯定の
哲学であります。キルケゴールがまくしたてる。頭大丈夫か学説であります。
カントからヘーゲルへ。アウフヘーベン攻撃。かつて全共闘が。重信もがんばる
からねであります。ソクラテスはなんでなんだ攻撃。アウフヘーベンのよいところ
はハワイと温泉、どっちもいきたいなら、旧常磐ハワイアンセンターがいい、と
いった正対論の統一にあります。
リング下では、チンポまるだしのフロイトが。みんなチンポのせいにした男で
あります。ところで日本人はいないのか、遠く道元が〜。さあ、場内は騒然として
まいました。混沌から人は救われないのであります。
２白々と明かり。よっしゃ！と古館気合い。青春ノイローゼ状態とか。政局から。
男らしい山○のおかしな髪型のこと。芸能。木村拓也と工藤静香ができてるらしい
みんな善人ぶるな、ここから１時間３０分は偽善なしでいく。少年犯罪、今のまま
でいい。いわれていることはみんな偽善。減らそうと思うならアメリカに学べ。
大人の犯罪がすごいんだから。この頃主婦の犯罪が多い。身近な物で殺しに目覚め
てきたのか。いまに台所のものをなんでも使って殺すぞ。なぜ、おやじ達は痴漢を
するのか。トゥナイトの冒頭がすりこまれているにちがいない。コミュニケー
ションをしたいだけ、で考えてる内に手がでちゃう。女子高生も話かけてあげれば
いいのに。自分も見ず知らずの人とふれあうことがない。
おやじにドーピングを。ちゃぶ台をひっくり返すの復活。優しい偽善的な父親は
信じられない。家族復活のためにひとつの手がある。父親が子供ビデオを撮ること
を禁止すればいい。あれはまるでエロビデオのはめどりだ。子供は自己愛を高めち
ゃう、いい子の演技をする。そしてぱんぱんにふくれあがった自己愛が現実の前に
しぼんじゃう。大人になって子供は裏切られ思いから、親に復讐する。
実は自分も撮っていた。ビデオでスローにすると主役気分になれる、リプレイで
やり直しができる。でも現実はそうじゃない。子供に愛情を掛けすぎる、適度な
不良が一番。自分は子供にバイクをあたえようかと思っている。でも買ってやるん
じゃない。家から８００ｍ離れた処にバイクショップを開店して、親がやっている
とは知らせずにバイクを盗ませる。
人は殺し合う本質をもっている。愛と平和は×なようにできている。石原慎太郎が
若者に人気らしい。はっきりいうから、刺激的だから。みんな退屈している。
その内、退屈しのぎ遺伝子が発動する、これは将来人ゲノムで解明されるだろう
遺伝子（のはず）。でどうなるか、戦争だ。みんな、なんかあったら名刺折り曲
げる人になりたいとおもっているんだ。
子供達の不登場は当たり前。引きこもり１００万人といわれている（どうやって
数えたんだ引きこもっているのに。）日本が豊かな国になった証拠だ。そうじゃ
なきゃ、引きこもって生きていけない。学校崩壊はまちがいなくおこる。
みんな退屈。携帯をかけながら、気ぜわしく暇つぶしをしている。スターバック
コーヒーがなぜ人気なのか。あの緑色は温泉の卓球台の色、ノスタルジーなんだ。
これから国際化していく、外国人労働者が増えていく。学校もそうだ。身を持って
国際化を体験することになる。みんなはらはらして、やっと結束する。森首相、
ばかといわれているが、それでみんな得している。みんな優しくしてあげよう。
ジョークセンスがあれほどない人も珍しい。主導権なんぞ、とられた日にはおし
まい。自衛隊や警察の発動が遅れた、結構じゃないか。間髪いれず、現れたら、
これはこわい時代になる。次の総理にはクリントンはどうか。外国人の起用。
かっこいいぞ。ブッシュ・父というのもある。アメリカに勝てるぞ。
日本の古里ってなんだ。みんなインスタントの愛国者になる。オリンピックで
ゴールコール２８回。いいけど、もうすこしやり方を考えるべきだった。昔は
生まれた地域から動かなかった。古里の感覚は明治時代以降、ごく最近のことだ。
家族の崩壊は当たり前。昔の大家族が結束していたのは、共通の目的があったから
それは労働組織だったからだ。今は家族分業。外に団らんを依託する。家庭内の
行事を増やすべき。予定調和が必要。昔のおやじは良かった。自分のおやじは
すき焼きを仕切っていた。よくわからなかったが。まだ崩壊のほうがいい、最近の
仲良し家族は変。
玄関表札になぜか子供、ペットの名前まである。変。昔、夫婦離婚が少なかったの
は、１人じゃ幸せになれないと思われていたから。夫婦喧嘩でよくいわれる台詞。
わたしはあんたの女中じゃない。なにをいっているのか。男は女中のほうが興奮
するんだ（場内笑いと拍手）。自分なんか、やぼったいＯＬのほうが興奮したり
する。男は１人「角海老」、格闘技とソープ。女は偉いよ。向上心で生きている
から。磨きをかけてもかわらないけど。「だからあなたも生き抜いて」って本の
タイトル、あれは変。あなたは かあなたは生き抜けないじゃないのか。
ゲームがだめと子供にいう、なぜか。大人のする将棋とどこが違うのか。ボタン
一つで世界を動かす、大人のほうがうおほどやっている。進化じゃなく、退化。
世の中はプッシュ電話になって変になった。１１９番、昔はダイヤルが戻る間に
考えることができた。便利になっているが、狂ってきている。
ＴＶ番組への批判がよくある。はっきりいいたい。無料のメディアに期待して
くれるな。放送は送りっぱなし。知識を得たいなら、本を買って読んだほうがいい
ＴＶで安易に済まそうとするな。
大人の絵本ブーム。なんか許せない。昔から絵本好きはいた。ベレー帽、伊勢丹
のチェックのバック、で鼻の下にうっすらヒゲのある女。実は自分は「葉っぱの
フレディ」で泣いたんだ。ここで引用。読み終えて、庭をみた。かみさんが高枝
切挟みで葉っぱを切り落としていたので、滅多打ちにしてやった。ところで
ダニエルってなんだ、フレディと同い年なのにやたら悟ってるし。むすめに
情感たっぷりに呼んで聞かせた。感想をきいたら、モー娘のチケットとれないか
と聞かれた（がっかり）。自分はみんなを疲れさせたい、終演後夜風にあたって
終わった余韻を感じるのがいいんだ。
二学期になると、美大で霊感がつよくなったと言う子が多くなる。みんな自意識が
つよい、一学期、自分より才能が有る子がたくさんということを知り、自信を保て
なくなる。霊感で自分をごまかすんだ。こじゃれたカップルが変。レストランで
よくシェフに質問。フレンチカジュアルとか。どうやってつくるの？、聞いて
どうする。ダイエットブームもいい加減に。続いているのは大抵失敗しているから
節食している女ほどデブ。健康ブームもそう。
みんな固定観念で考えている。世の中にはいろいろな人と考えがあるというのに。
日本は無宗教の国だと思っていた。違う、神はいる。それは交通信号機だ。みんな
従う、日本人には個人主義は無理。先日、新宿で芝居をみた帰り、久しぶりに
山手線で移動しようと駅にいった。すごい音でびっくり。ホームごと、テープと
人のアナウンスでわけわかんない。ここで実況する（場内拍手）。だれも聞い
ちゃいないことにもっと驚いた。俯瞰してみると、箱の中でみんな一緒に動か
されている。ユニクロってなんだ。フリースって素材のもとはペットボトルだぞ。
ユニクロのＣＦ、かっこいい。でもなんだ、ユニクロの利点は安さだろう？。
かっこつけるな、実は自分もでたいんだけど。でたらいうね（とヨドバシカメラ
の口調で宣伝）。
ミューヒハウゼン症候群。自虐する人が増えている。自分を傷つけては、疑われる
頃合に医者を転々とする。今は子供に代理させる傾向がある。看護する立派な
母親、そうじゃないと自己確立できないんだ。森光子症候群、ＳＭＡＰ症候群も
ある。ペットをみると、飼い主の老人よりペットに話しかけるのはなんだ。
自分の未来をみたくないんだ。毒舌を吐きながら、老人とコミュニケーション
してる、毒まむし三太夫のほうが正しい。ハリウッドもそう。批判をすると
干される、遠いアフリカの飢餓救済にすり替えたりする。女性アーティストが
コンサートで愛してるよと。それはない、正解は今だけ愛してる、だろ。
選手が夢をありがとうとファンに。これは自分に感謝だろ。
居酒屋で男どもが夢の話。みんな儲け話、金のこと。以下、しょうもない夢の
ばか話。キャッチアンドリリース。キムタクから工藤静香をリリースする。
大橋巨泉はカナダからオセアニアにリリース。椎名林檎、朝のホーム（だっけ）
で煙草の吸いがら増やしたからリリース。入浴剤、地元の温泉にいっていれて
「戻して」あげようと現地。もどしたら、混じらない、造り物か。女将がすぐさま
あらわれた。なんで、沸かし湯で循環しているせいか？。
なにものからか、キャッチアンドリリース。日本にはマイカーはない。みんな税金
だ。土地も三代まで。国家に上手く泳がされているんだ。ロシアの潜水艦沈没。
クルーの母親が注射をうたれた。実はあれ、ホントにおかかえ医師が鎮静剤の治療
を打ったらしい。代々続くスーパーエリートの家族だから。そんなことより、
エリート達を全員見殺しにした国家のほうがすごい。国家権力、ぜひ世界遺産に
してほしい。
遠くにいきたい。でも旅は遠巻きにパックされている。手荷物検査、なんで名刺
ケースがだめなんだ。機内の食器、ナイフフォークのほうが危ない。機体にポケ
モン。正直に金とＳＥＸのシンボル、ヴィトンのバックとおめこの絵を書いたら
どうか。エコノミー席ってなんだ。日本語にすると〜。（客席に舞台から降りて
、後方へ。中央通路で吠える古館）禁煙席について。（禁煙席を設けた）エアドゥ
のってやる。トイレで煙草をすって騒ぎを起こした同僚プロデューサーのこと。
煙草を吸いに後方席にいこうと誘い、アンケートを募ったのに、でもだれも賛同
してくれないとか。席にもどって煙草すってもいいですか、と隣の女性にいって
断られて、とほほだったとか。
ばか丸だし日本人。海外にいって、なんで急に美術館巡りをするのか。梅干しを
持参したり、結局、日常をもっていくのだ。危険なところにいくべき。それが
ほんとの地球の歩き方。ヨーロッパはいまでこそ平和そうだが、あそこほど戦争
した地域はなし。Ｆ１の帰りにイスラエルによった。街の廻りは荒涼とした風景。
あそこでは生きることは、戦いを意味すると実感。日本は世界の松岡修三だ。
戦後なんて言っているのは、日本だけ。
退屈だから戦争をする。日本は大丈夫、代理戦争を他国にやらせ始める。国内では
同国人で殺し合いだ。最低の国民になるだろう。ジョンレノンのイマジンが聞こえ
てくるじゃないか。ヨハネパウロ二世が誤った、言うことがすごい。十字軍で
攻めてごめんなさいだ。みんな誤ればいいんだ。でも、日本だけは決してあやまら
ないだろう。
宮古島へいった。南下した人々がふきだまってる。昔ながらの古い集落がある。
道を隔てると、言葉が通じないほど文化が違っていたりする。一番古いといわれる
集落には神様がたくさん奉ってあった。美しい海、浜辺にでるとゴミがたくさん
世界中から流れ着いたゴミ。本の紹介。柳田国男の本を読んだ。年表に２３才、
ヤシの実をみるとある。日本人のルーツ探しをライフワークとした彼は北国の浜辺
にあるヤシの実でピンときた。大陸からこぼれ、流れ着いたのが日本人であると。
それを島崎藤村に聞かせできたのが有名な歌。だから年表にのっている。
（この辺から古館へスポット、しだいに絞っていく）。
日本人には個はない。顔はへのへのもへじだ。ある一線状をリズムを刻みながら、
親子へと繰り返し、受け継がれていく。そのことを忘れよう、隠そうとしてデコ
レーションしてきた。その事に気づいてももうもどれない。詩の朗読、親の前は
親ばかり、この前は子ばかり、血に染まった地球には神のバトンが落ちている。
（古館の顔だけを照らしていたスポット、暗転。）
カーテンコール。５日目。遠くからきている人もいる。早めに初めて終えたいが、
遅れてくる人もいるしとか。
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