PROJECT NAVI PRESENTS 66「処女水」
＠三軒茶屋 シアター･トラム（2002/2/8-10 4ステージ)
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/
全指定 前売り3000円 当日3500円 中高生 前売り1000円 当日1500円
SePT倶楽部会員 前売り2700円 世田谷区民 前売り2800円
＠伊丹AI･HALL10/6,7 ＠名古屋市芸術創造センター10/19-21
作･演出：北村想 舞台美術：北村想 照明：石原福雄、安藤昇益
作曲：ノノヤママナコ 音響：ノノヤママナコ、細川ひろめ 衣装：ZAPPERS
小道具：Galerie Rose 舞台監督：永井徳二、小林隆朗 宣伝美術：下東英夫
制作：あべかずえ、金原裕三子、中島由紀子 企画・制作：プロジェクト・ナビ
出演：
スズキナコ ：ワタル （研究所施設によくくる少年）
千葉ペイトン：愁さん （目の不自由な清掃員）
段丈てつを ：リンタロウ（ワタルの学校友達）
小林正和 ：青木 （元刑事）
中島由紀子 ：茨城 （その部下の刑事）
井上美穂 ：研究員 佐藤
土居辰男 ：研究員 篠田
あべかずえ ：研究員 須藤
小林隆朗 ：研究員 瀬古
冨田亜希 ：研究員 園田
金原祐三子 ：橘 （研究室の副主任）
木村庄之助 ：中村 （研究所の所長）
中西康一朗 ：赤野 （探偵）
佳梯かこ ：玲子 （死亡した研究員・清川景子の姉、根本主義クリスチャン）
平塚直隆 ：大石（研究員。清川景子の友人）
田中知砂 ：二宮（研究員。清川景子の友人）
2002/2/9(土)晴 :3:05-4:39PM(1'35) 前方から 客席7割（180人)
客層：いぶし銀。20才代後半〜40才代中心の大人客席。男性過半数。
客入れ：当日券不明、端側に空席あり。いつものように劇場スタッフ親切。
折り込みパンフ。B5 4ページ。配役、エッセイ掲載。次回公演。4月平塚直隆作品
6月新作、8月「殺人事件」再演(以上、ナビロフト）。10,11月「想稿・銀河鉄道の夜」
再演@AI･HALL@ナビロフト）、12月「悪魔のいるクリスマス」@ナビロフト。
物販。終演後、著作本多数。今回戯曲(B5 1000円）。それぞれ、その場で北村氏が
サインして手渡し。
久々の東京公演。今年は公演目白押しだけど、東京は今回だけ。淋しいねこ。
舞台。コンクリートの部屋。下手1/2〜上手に掛けてプールがあるのか、腰掛けられる
高さの立ち上がり。上手に上方ドアからの階段。背景に波紋、床に天窓からの明かり。
高くぽかんとした空間、冴えた空気感が、らしくて○。タイトル・処女水は、原始生物が
誕生したとき生成の水、研究室の施設プールをかつて満たしていた設定。
お話。今は使われていない研究施設・大きなプール。少年は自分や父親の日記を読み
にしばしば立ち寄っていた。ある日、来訪者の一人、刑事という男からプールに女性
の変死体が浮かんだ事件を知らされる。彼女・景子は施設の研究員、不可思議なほど
美しかった死体、自殺か他殺か迷宮入り。回想回顧に、進化の研究者と、生命は変わり
得ないとする根本主義者＝景子姉・玲子のディペード、残された人と逝った女性研究者
の秘めた思いが浮かんでくる。
進化に悲恋。つらい現実から望む人々の姿を、やさしい進化論に重ねて描く。変死体の
謎めきなミステリーでお話牽引。少年の日記、事情聴取、残された人々の推理、ら
周辺から考え巡らせての運びが巧み。結果、奥深い真相をしみじみと胸に残る味わいが
○。死を積み重ねて成る進化と、死に取り残される身近な喪失感を遠近におく、距離の
取り方がくっきりと、すゞやか。そのほの哀しさにしみじみねこ。
その考えの訳の底をつなげて、ふーむねこ。死を賭して、陸に上がり進化した生き物の。
変わらない永遠の命を唱える玲子の。成らない恋の行く末を望み、進化を試みて逝って
しまった景子の。いずれも、理不尽で不平等な現実の見えぬ先を夢見、また復讐しよう
とした想いの現れではないかしら。
平易ながら心沁みる、北村想な言葉に感動ねこ。冒頭、ハムスターを喪った少年の
モノローグ。戸惑いと不安の不条理な現実を拙くも深く語らせ、秀逸。そして、ラストの
ワタルと玲子の会話。ワタル；永遠に生きられるとは思わないけど、進化して人以外の
モノになりたくないです。玲子：（微笑）そう、そのとおりね。静かながら、確かにある
力強さに感動ねこ。「想稿・銀河鉄道の夜」終幕の感触を思い出したりもして。
役者。出過ぎないアンサンブルの妙。お茶目心な役者芝居がぽつぽつと頭を出して、
ほほえみねこ。
［月間一覧］
|