弘前劇場「今日もいい天気」
＠駒場東大前 こまばアゴラ劇場(2003/8/2-3 3ステージ）
http://www.letre.co.jp/agora/
＠青森弘前 スタジオ・デネガ 7/19-21 4ステージ
全自由 前売3500円 当日3800円 学生1000円（劇団のみ）
作・演出：畑澤聖悟 舞台監督：野村眞仁 照明：濱名理良 音響：藤平美保子
舞台美術：三浦孝治、石橋彩子 装置：鈴木徳人
製作：佐藤誠、デボラ・モリス、有限会社弘前劇場 監修：長谷川孝治
出演：
長谷川等[浪岡演劇研究会] ：石澤良平(64)（一家の主。定年退社。趣味は囲碁）
山田竜大 ：石澤和也(24) (長男。目下、専業主婦）
福士賢治 ：福山万次郎(45)（良平の娘婿。サラリーマン）
高坂明生 ：福山亨(20) （良平の孫。万次郎の長男。大学生）
永井浩仁 ：浜田長助(34)（良平の甥。タウン誌記者）
青海衣央里 ：川崎千鶴子(23)（和也の恋人）
森内美由紀 ：笹原めぐみ(?)（自称家政婦）
畑澤聖悟 ：穴吹常明(40) （僧侶）
2003/8/3(日)晴 2:05-3:31PM(1'26) 下手前方より 客席超満員（90人）
客層：老若男女。20-30才代中心、中年層も多い大人客席。男女半々。
客入れ：整理番号順に入場。いつものように荷物預かりあり。緩い雛壇の全ベンチ席
舞台装置の座敷が下手半分なんで、上手端はちょっと見にくかったかも。中二階にも
お客をいれた満員の盛況。折り込みパンフ。B5 3ページ。配役、スタッフ、中西理氏
の寄稿、予定掲載。次回公演。長谷川孝治新作。9月弘前、10月東京（オリベホール）
もう一人の座付作家である、俳優・畑澤聖悟新作。
舞台。小庭に面したお茶の間。下手半分に八畳間。丸ちゃぶ台、向こうを向いた古い
ＴＶ。正面壁に、エプロンとなんか衣服？が掛けられ。左手の開口から台所の設定。
中央正面奥に廊下、右が二階、左が玄関の設定。お茶の間上手端にキャットフード皿
がある縁側。そのまま玉じゃりをしいた庭。立てかけたよしず、棚に見事な枝ぶりの
盆栽２つ。庭横を通る渡り廊下から寝室の設定。
お話。虚しい男所帯に降って沸いたファンタジー。日曜夕方の国民的アニメの登場
人物がモチーフとか。青森の地方都市。明るく陽気だった長女は亡く、次女は東京へ
行ったきり。取り残されたような男４人はぱっとしない。家長は一人で将棋ばかり、
わがままな孫は甘やかされ放題。いまや家事を取り仕切る（主夫志望）長男は勝手な
二人にいらいら。家計を支える婿養子は煮え切らず、いらいら募り。自信作の味噌汁
をだしても、反応悪いし。もっとも、漬け物とおみおつけだけの一汁一菜じゃあね。
長年の飼い猫たまが出ていったきりなのも心配。猫は死に際をみせないと、縁起でも
ないことを聞いたし。
月曜を控え、あれやこれやで憂鬱な日曜が始まるのかと嘆息。彼をよく理解してる
バイト後輩の女の子へたびたび報告したり。とそこに女性の訪問者。家政婦紹介所から
一日モニターとしてきた、家事はまかせてほしいと親しみ顔で。聞いてないと戸惑う
男達。でも、猫まんまなあり合わせでも美味な昼食、将棋の良い相手、気が利くあり
さまに、男達はすっかり虜。はしゃぐ彼らに、長男は料理の腕じゃ完敗だし、自信を
無くして泣きたい気持ち。ほかの男達は足が遠のいていた長女の墓参りをしたり、
婿養子は自分の墓のことを考えたり、前向きだけど。来たときと同じように、女性は
帰ります、もう限界と突然。思わず、すがりそうになる長男に、死に際をみせられない
、さらに長男の揺れる心を叱咤激励して、謎めきにでていってしまう。また、男だけ
四人所帯に戻り。でも、暮らしは以前とはちょっと違っていて。
「家族の喪失と再生」を奇想にのせてコメディー調。重めの長谷川孝治作品から、
多少ぐつついても梅雨晴れな軽妙さが楽しい。いいお茶を飲んだ後な心地よさあり。
活きた言葉、演出と役者◎。囲む食卓で食事が楽しく美味しいこと、なんでもない
会話が交わすこと。欠落したそんな日常を埋めていくことで、家族と暮らしがなにか
を浮かばせてく。上気ぎみも、暮らしの有様と心の機微を確かに描いて上等。誰も
いないお茶の間にさえ、生活と人の息づかいが感じられるほど。上滑りなドタバタに
笑いつ、それぞれの寂しさやらに思い入れ、しみじみねこ。人にあらざるものが登場
するお話は、なんかＪＪＳ＠名古屋、彷彿させ。不思議を考えることが、今の日常へ
の自問となっていく仕掛けが巧み。
役者。山田竜大さん。心細さからイライラ男子な役を素直らしく。男のばかかわいさ
を好演して好感ねこ。
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