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 弘前劇場「季節のはざま」

 @六本木 オリベホール(2003/10/3-5 4ステージ)
 http://www.oribehall.com/
 全席自由 一般前売・予約3500円 学生前売・予約1000円 当日券3800円
  @青森弘前市 スタジオ・デネガ 9/22-25 5ステージ

 作・演出:長谷川孝治
 舞台監督:野村眞仁 照明:中村昭一郎 舞台美術:三浦孝治 装置:鈴木徳人
 制作:(有)弘前劇場 主催:(有)弘前劇場
 東京公演共催 特定非営利活動法人アートネットワーク・ジャパン
 助成:文化庁 平成15年度芸術団体重点支援事業 協賛:アサヒビール株式会社
 後援:浪岡町
 出演:
 森内美由紀:稲葉秋子(32才 長女・役場職員)
 藤本一喜 :稲葉春子(28才 次女・劇作家・劇団主宰)
 杉原文子 :稲葉夏美(25才 三女・大学生)

 福士賢治 :佐久間俊雄(50才 稲葉家隣人・無職)
 デボラ・モリス:佐久間デビー(35才 佐久間俊雄の妻)

 佐藤 誠 :堂島悟 (29才 数学者)
 石橋彩子 :佐々木れんげ(25才 堂島悟の恋人)

 長谷川等[浪岡演劇研究会]:高橋清(55才 建設会社経営)
 青海衣央里 :高橋由美子(24才 高橋清の妻)
 
 畑澤聖悟 :大和俊和(40才 鳶職)
 山田竜大 :若桜 均(23才 鳶職)
 永井浩仁 :林金太 (40才 八百屋)
 沢のえみ(客演):猫 (?才)

 2003/10/4(土)晴 7:05-8:50PM(1'45) 前方下手より 客席6割(90人)
 客層:男性7割。おじさん多めに幅広い年齢層。
 客入れ:六本木駅ビル8階のホール。地下と2階から直通エレベータあり。ソファが
 潤沢にあり、ドリンクカウンターもあるロビー。劇場より広くてタッパがありそう
 空間に、ほよよねこ。弘前劇場ならそのまま芝居できそう。劇場はフリースペースに
 雛壇(17人×9列)の客席をしつらえ。どこでも見やすそう。
 折り込みパンフ。B5 1枚。スタッフ、配役、予定掲載。いつもあるあらすじはなし。
 次回公演。「家には高い木があった」再演 1月弘前 2/19-22東京芸術劇場。
 6月弘前、東京にて畑澤聖悟新作。10-11月弘前、東京、兵庫、高知にて別役実新作を
 長谷川孝治演出にて。
 
 舞台。中庭に面した座敷。斜に置かれた6畳にちゃぶ台3、上手に鉢植えとか置きそ
 うな雛壇。前側縁側に下駄2、女物サンダル1。ちゃぶ台の多さは物置部屋か、家族
 なメタファーか?。正面に、廊下の一部を覗かせた開口、白壁に黒い柱。
 上手に小庭。黒壁に白い柱、正面の外から続く壁は灰色に赤い柱、それぞれベンチ2
 と1。上下袖側に角材を組んだ赤い仕切りあり。
 
 お話。北の地方都市。裕福な旧家の三人姉妹。上から秋子、春子、夏子と季節にちな
 んだ名前になぜか冬はない。末の夏子は別に暮らし、出会ったのはごく最近。その
 せいか、性格か、ちょっと二人の姉とは生活ぶりが違っている。次女の春子は劇作家
 、このたび官費で海外へいくこととなった。出発の前夜、姉妹は名残の日本食・そう
 めんをともに食べる。
 
 次女はもう家に帰るつもりはなく、長女はそれと察している。三女は自分のことや、
 世界の謎で手一杯のようだ。次女が家をでるのは、父親の庇護、学者との実らない恋
 から逃れるためか。そうした中も、姉妹にうれしい思い出・父親が晴れがましく家に
 いてくれた、餅つき行事が今年も行われる。舞台では喪服の二人と次女が最後の会話
 を繰り返す。「最後の日」「世界の終わり」の言葉が暗示した、追想のように。
 そんなディープな物語に、おばけな好漢・鳶らと姉妹の無駄口や恋心を絡ませた会話
 を載せて、賑やかに綴っていく。

 いつにない演劇的+生理的仕掛けに、ほよよねこ。長回しのリアルタイム・ドキュメ
 ンタリー調が多い作家に、なにがあったのやら。前後半の会話の繰り返しが珍しい。
 特に後半は明かりが入った庭で本格的もちつき大会、ろうそく灯な屋内で姉妹の想い
 出や次女の思いの丈会話、モノローグが延々と同時進行。その間、学者と次女が視線
 を注いだり、「猫」を入り込んだりと時々双方が交差したり。

 屋内を終始暗くしたのは、明るい方が先行して感じる人の生理を刺激。追想、記憶で
 あることを実感させる演出かしら。力強い餅つきの協調は、姉妹、とりわけ次女の
 孤独と疎外感を切々と感じさせるし。決然とした様はどうあれ世界はあり続け、人は
 生活を続けなきゃならんと。「猫」の無為さ、ひも同然に有閑亭主な隣人はそれら
 逆説?(○×で割りきれないけど)。かと思うと、箸休め的に、昼下がりのセクシー
 主婦と純朴おばか青年の漫才会話があったり。そんな畑澤作品ならあるかもな、戦略
 的な演出やお遊びがあれこれ。知的な考えさせる会話、シンプルで美しく心揺さぶる
 照明など、持ち前の魅力に新たな裏切りが加わって、これからが楽しみねこ。

 役者。山田竜大。ブライテストに芝居を陰で支えて(変か?)○。

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