ベターポーヅ「おややヒューマンスイヰッチ」
＠新宿 THEATER/TOPS(2003/9/25-29 7ステージ)
http://theatertops.at.infoseek.co.jp/
全指定 前売り3000円 当日3300円
作・演出： 美術監督・宣伝美術：東大路道恵 舞台監督：上林英昭
照明：大塚之英[ストーリー・レーン]
音響：水元健一[プランニングアートリミテッド] 衣装：キタサコ製作所
装置協力：蒲田演劇工場 スズランテープ提供：シーアイサンプラス(株)
美術助手：藤原孝子、市川菜穂、井上真理、辻本直樹 演出助手：花房ちはる
制作：亀川朝子
出演：
松浦和香子：ちま子（乞食姉弟・姉 スケッチ冷蔵庫を携帯）
猿飛佐助 ：星児 （その弟。遊びが判らない。）
山崎和如 ：芋倉 （おばあさんの葬式にきた、お金持ち）
西島 明 ：無量小路（地元のお金持ち・教師）
吉原朱美 ：香織里（その妻）
渡辺道子 ：久美子（その友人。ゲームで負けて奴隷になる）
加藤直美 ：美佐子（その友人）
大日向美名子：堀井（その友人。眼鏡転じて眼鏡バーとなる。）
2003/9/28（日）晴 2:01-3:54PM(1'52) 最前列より 客席満員(120人)
客層：20-30才代中心、女性過半数。中年層ちらほら。
客入れ：当日券、開演定時45分前から。詳細不明。開場・定時15分前から。座席の
仕掛け、趣向は別途掲載。不安顔あれど、問題はないのでご安心を。美味しい席は
最前方だけに限らず、後方席も期待でき。今回はスタッフの女優・阿部さんが荷物
預かりしてくれ。あんま大きな荷物は持ち込まない方が○。誘導は適時あり。
折り込みパンフ。B5 4ページ。挨拶、スタッフ、配役、役者インタビュー。今回から
正式メンバー吉原さん、大日向さん挨拶。次回公演。来年6/15-20シアタートップス
にて。物販。既ＣＤパンフ。
体感型の仕掛け趣向が特徴な今回。
入場と座席設定。入口は梱包用銀色テープで分厚く仕切られ。ジャングル探検と
ばかり、密林をかき分けて劇場内へはいると、劇場前方に椅子はなし。緑テープで
碁盤の目（１３×９）に仕切られ、１人用枡席状態。テープをまたぎながら、それぞれ
「座席」に立ったり、座ったり。まもなくアナウンス。今回の公演はスタンディングと
お願いされ。（２時間と聞いていたので）まじスか、おひおひな声なき、不平不満、
不安と期待感がごっちゃに漂い。
舞台。入口と同じ銀色テープでレリーフ状文様をつくった壁が三方。いずれも円弧を
描いて迫るものあり。緑色の床中央に白く瓢箪型の模様。客席側上手に椅子三脚を
列べた花道。
オープニング。ぐりぐり客席を舐める照明、ループするファンク音楽。上手花道に
３人のお姉さん。洋もののポルノ雑誌を読み。黒づくめのお兄さんと絡み、１ページ
を切り取り。舞台に男性のあれを連想させなくもない、円筒をつけた男性と、シュレッ
ダーをもった女性。雑誌ページをシュレッダーで裁断し、円筒にいれる。とブロワー
に吹き上げられた雑誌断片が宙を舞い。音楽は一転宗教曲。お姉さん３人は男性
客１を舞台にあげて取り囲み、洋もの雑誌を捧げながらの儀式。続いて、女性客も
同様に儀式。ここで１０分休憩、その間にお客達でパイプ椅子の座席を設定。座れて
よかったの声なき安堵感と、段取りがうざったいけどしょうがない感が漂い。
お話。乞食姉弟は食欲に駆られ、さらに弟は遊び欲に我慢ならず。出会った金持ち達
に奢られつつ、吾知らず、彼らの欲望を煽り立てていく。詳細は下記参照。
２時間なんじゃこりゃ。なに考えてるのか？！な不可解なお話とアイディアの連続
とも、面白さ全面。今回、戦略的な仕掛けを投入し、惑いつ、裏切られる楽しさを
プラス。キャラ立ちまくりの役者芝居は見物三昧。悶絶セクシー・猿飛。いい感じに
くねくね・山崎。しれっと顔とつるりん声・西島。いつになく赤裸々・渡辺。高飛車
きわまりない・加藤。あどけない不良少女風・松浦。新人２人も健闘。威風堂々の
馬耳東風ぶり・吉原。野生の感・大日向。できれば、リピートしたかったねこ。
２時間は即物的に長めだけど。
主なお話
（ウオータースライダー装置登場。ポテトチップスを袋毎、流して、足で踏みつけ
クラッシャーな女性達。）
乞食の弟・星児は、遊びがわからない、けど遊んでみたい。同乞食の姉・ちま子は
遊んだことあるよ「爆弾花嫁」：爆弾もって花嫁を…。それって遊び？。「喧嘩」も
遊びだよ。姉は弟に喧嘩をするようにけしかける。ジャガイモの皮は声にいいん
だよ、歌手になって喧嘩しなよ！、世間と、とか。乞食姉弟は、金持ち・無量小路
旦那様のもとへ。乞食が食べ物をくれとやってきた、働かざるもの食うべからずと、
得しているのは乞食の彼らだと、奥様は怒って姉弟をむち打ち。どしゃどしゃと
逃げる姉弟。庇う旦那様。土砂災害に見舞われた、姉さんなんて蓄膿、蓄膿のような
土砂災害だったあ。姉弟が怠け者の延長でなく、災害のために乞食になったのだと
旦那は納得。妻の料理を召し上がれ、とケチャップとマスタードを、ホットドックの
ように生腕に塗った「妻の手料理」をふるまい。もうマリアのような妻ですから。
食べ終わっておそまつ様でした。実はおそ松いうのは旦那様の名前。なんだおそ松
なのかよ、と見くびった乞食姉は、弟に喧嘩をふっかけさせようとする（未遂）。
スミレの花咲く頃〜と歌いながら、旦那様夫婦のお友達がやってくる。歌声にもちつ
もたれるやってきましたのよ。「生チョコ」をほんのお口汚しと、おみやげ。カール
おじさんのように口元を汚す旦那様ら。奥様は名前を間違えてばかり。板東玉触郎？
違ってます。裏の家のおばあさんが95で亡くなったそうだ。それはずいぶん小さい。
縮み率はどれくらいかしら、とおとぼけ会話。
船の模型をかぶった黒づくめの「かっこいいお兄さん」が姉弟の前に登場。両脇に
紅い線が入った紙を見ながら道を尋ねてくる。喧嘩を売る乞食姉弟。６３．３％の
縮み率でなくなった女性のお葬式にきた、私は彼女の孫とか。紙はなにかと聞かれて
ＦＡＸ用紙の最後のところ。姉弟がＦＡＸを知らないことに、ガガーリン、恐るべし
と驚くお兄さん。紙が電線のなかを通って？！と姉弟びっくり。おばあちゃんのよう
な彼らもリモコンは知っている。姉を操る弟。ブレイクダンスだ、見物料をせびる姉
その強欲な乞食ぶりにガガーリンと驚くお兄さん。被っている船を欲しいといわれて
、おばあちゃんの形見と断るお兄さん。
お兄さんの名前・芋倉を中腰で呼びながらやってくる女・久美子登場。中腰で来た
ので、中腰料金をちょうだいって、なんと強欲なカツアゲですか。香典を狙っている
のか、恐るべしとお兄さんびっくり。出しませんと断ると、マジで？金は天下の回り
ものとメチャを言う久美子。金の執着ぶり、恐るべし。
右や左のお仕事をする乞食姉弟。これは遊ぶと「ちごうよ」と弟に教える姉。教師
美佐子がやってきて、聞きとがめる。逆に耳がどうかしていると言われ、ショックを
受ける音楽教師・美佐子。乞食姉は下りのエスカレータを登って、じたばた。
「危のうございました」と雅な言葉使いをするのを聞いて、美佐子はもしや乞食姉弟
は高貴な家の出身？！、世を忍ぶ仮の姿？！と訝り。
妻・香織里は、穴が開いたビンに、はちみつをいれ、こよりとともに持参。姉弟に
みせて、どうやってありつけるのか、と興味津々に観察。穴からこよりをいれて、
舐め始める弟。「遊ぶものと食べるもの」だったのかあ。もっと喧嘩をしないといい
歌手になれないよ、と弟を励ます姉。その姉は蓄膿なので、歌手はだめなのだった
喪服の旦那様夫婦。葬式に行く前に牛乳を飲む旦那様。一緒にお風呂へいって牛乳を
飲むつもりだったのに！と妻に文句を言われる旦那様。お風呂へいって、人魚になる
という妻についていく旦那様、それってなんかの比喩？！。お葬式。おばあさんと
お別れ。棺桶を開けて顔をみると、ダッコちゃん、しかも木彫り。軽く焼かれていて
、おばあさんが大事にしていたとか。銭湯へ行き、さっぱりしたところで、妻は街へ
いくことに。旦那様も接待で行ってるでしょう？、と「ノーパンしゃぶしゃぶ」行き決定。
風呂屋の前で別れた乞食姉弟は、はぐれてしまう（探す姉をよそに、弟はゴースト
バスターズを志願して踊り。）
乞食弟を掴まえた久美子。奴隷にしてやる、これで気分が清々したとか。（なんで
だったか）正しいの字でなんかを数える弟、字は正しいのに乞食はだめだ、と久美子
片足だけ洗ってきた旦那様。どこをカイテきたんだと、嫌らしい邪推をする久美子。
足に鉄球をつけて、誰が奴隷かを決める椅子取りゲームをしよう。大人の遊びだ！と
、嫌がってた乞食弟も「遊び」に興味を示し、参加することに。結局、久美子が負け
て、彼女が奴隷に決定。すみやせんと遠慮がちの任侠言葉で謙る久美子。お兄さんの
ことを師匠呼ばわり、師匠じゃないのに。乞食姉は行方不明の弟のことを、お兄さん
に尋ねる。馬賊と一緒に、ゴーストバスターズになるといっていたと教えるお兄さん
お兄さんは、船上パーティにみなを招待する。
小学校。授業参観、堀井さんいじめ問題を取り上げる教師・美佐子。父親が乞食、
母親がスチュワーデスなんてありえないよ、堀井のお父さんはプリン色、プリン男と
虐める同級生達。そこに旦那様先生が慌ててやってくる。勢いで美佐子先生の垂れた
肛門を踏んづけてしまう。それどころではない、堀井の父親が事故にあったという
知らせ。事故の瞬間、強い光が出たそうだ。「原子力発電は悪魔の子、科学の子では
ありません♪」とカエルの歌の替え歌合唱。父親の翼（翼を下さいの歌をシーン冒頭
に歌い）は原子力反対派の活動家をしていた、と堀井の回想終わり。美佐子はぼんや
りしている堀井に、長い垂れた肛門を差し出し、胃カメラを入れてやろうと凄み。
眼鏡の堀井はこれから眼鏡バーにする。眼鏡を拭いて、バーで働く？眼鏡バー。
奴隷の久美子より、眼鏡バーの方が身分は上。奴隷に船上パーティは相応しくない。
お前はどぶさらいでもしていなさいと、久美子に言い渡す美佐子。
眼鏡バーより下になってしまったと、奴隷弟に当たり散らす久美子。姉とはぐれて
しまった弟は、久美子に誘拐されたと思い込み、返せと迫る。真珠をもってきたら
返してやるとヤクザな久美子。結構、真珠が高いので愕然とする弟。そんな彼を
お兄さん、遊んでいかないかと誘う旦那様。その腹には箱があり、なかを触ってみろ
という。長くて、柔らかくて、なんだと気持ち悪がる弟。手探り遊び、妻は高級マン
ゴーを取り出す。でも匂いを嗅ぐのはお客様！と客席へ降りる旦那様妻。
船上パーティ。乞食姉は弟がいるかと思っていたが、おらず。馬賊と居たと聞かされ
る。ミニスカ女子高生制服でやってくる、美佐子と堀井。きばってきました。
芋倉をイメクラと間違ったよう。こんな時には眼鏡バー。眼鏡を拭いているかグラス
を拭いている（客席の眼鏡を拭きに行く堀井）。コンタクトは眼鏡バー的には敵ね。
その頃、旦那様夫婦はウミガメのスープを食べ。海に連れて行ってほしい、お前達は
へそ長族だろ、秘密をばらすと脅し。海へいって真珠を見つけると飛び込む弟。
知らないと損をする５００の本発見。土砂災害で亡くなった人達と遭遇。
船上では美佐子がチョコころげ、手割りの儀式パフォーマンス。柿の種をほっぺに
つけた女、もののけ姫が行きすぎる。海中では本より真珠と弟。姉は美味しいものを
書いたスケッチブック＝冷蔵庫をもっていた。姉に再会するまで一生懸命歌います、
鯛や平目の前で。歌えて嬉しい、と弟、曲はビューティフル・サンデイ。
船上の姉は本当に弟が来るのか疑い始めるが、お兄さんはそんなことよりボーノボー
ノ、食べて出しましょうと促し。甲板では久美子がカモメの糞掃除。すっかり奴隷、
奴隷扱いをされて、おだてないでください、ごちそうをみたらびっくりしますから。
ごまプリンをもらう久美子。これで私はものもら〜いになる。久美子は奴隷弟に姉が
奴隷船から落ちたと嘘をつく。
船上ではみな食べたものを吐きまくり。お兄さんは吐いたものから電池をつくる、
ボーノボーノもっと吐け、このスイッチを押すともっと吐くと狂気乱舞。なぜか、
乞食姉だけは吐いておらず、船から逃げようとする。お兄さんの夜食を奪って食べて
しまう姉。それよりも、パーティの食事を食べてないことが気に入らないお兄さん。
スケッチブック＝冷蔵庫からおもち型の爆弾をだして威嚇しつつ、海中に逃げ出す
姉。姉の歌：矢野顕子「ラーメンたべたい」 その頃。弟はごまプリンで一財産。
花いちもんめとかで遊ぶが、全然面白くない。
「十貫坂上」＠中野のバス停。最終バス。奴隷弟は久美子のもと、奴隷を強いてしま
ったことを侘びにくる。お詫びの印にごまプリン。心を入れ替え、仲直りする久美子
ごまプリンを食べながら卑屈になっていく、久美子。私だって、ナイフとフォークを
使うと、持ってきてごまプリンをナイフとフォークで食べ始める。旦那様の妻がやっ
てくる、彼女にごまプリンの商売はもうやめると弟。妻は原料のごま（へそのごま）
が夫のとブレンドしていたことがばれたかと、言い訳。そんなことではなく、つくる
資格がなくなったと弟。姉のスケッチブック＝冷蔵庫の絵をみつけ、姉を生きている
のだと知り、びっくり。突然、久美子が苦しみ出し、毒をもったなと弟に詰め寄る。
しかし、死なない久美子。怒りのあまり、弟をナイフで刺し、自身の「エキス」が零
れたのなんのと大わらわする久美子。
姉はスケッチブック＋冷蔵庫をもってくる。そこに、電池一個ずつに名前をつけて
売っている、美佐子とお兄さんがやってくる。しゅっと電池を擦って、食べ物の絵を
見ると…とマッチ売りの少女に想を得たという商売。頭を下敷きでさすり、静電気が
ご飯という。乞食姉を商売に誘い、快諾もらい。甘党に目をつけて、書くこととする
姉弟は再会するが、久美子に刺されて弟は重傷。遊んだけれど、どれも面白くなかっ
たのは、なぜ？と言い残して、弟は逝ってしまう。旦那様夫婦、昔真珠を取りに、
海へ飛び込んだ男がいたことを思い出す。探しているときは見つからないもの。
哀しいような懐かしい、妙な気持ちとなる一同。
［月間一覧］
|