＠下北沢 駅前劇場（2004/6/23-29 10ステージ）
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全自由（整理番号付） 前売2800円 当日3000円 28m前売当日共ﾆ2500円
学生割引2000円 高校生以下当日のみ）
脚本・演出：三浦大輔
照明：伊藤孝 音響：中村嘉宏 舞台監督：清沢伸也 舞台美術：田中敏恵
小道具・衣装：福本朝子 衣装：佐川恭子
小道具・衣装補佐：鷲尾英彰、富田恭史、石井裕太 演出助手：西島玄
映像・宣伝美術：富田中理 写真撮影：曳野若菜 運営：三好佐智子
協力：日和庵 企画・制作：ポツドール
出演：
米村亮太朗 ：菅原（自殺した両親の夫妻を負ったハンサム青年）
仁志園泰博 ：遠藤（その同級生。借金を肩代わり返済）
小林康浩 ：久保（その先輩。同上）
古澤裕介 ：杉山（その同級生。半分の肩代わりを申し出）
安藤玉恵 ：江口（その同級生。ヤンキーの体）
坪内有子 ：関根（その同級生。遠藤の恋人）
大西智子[あなざーわーくす]：岩田（その不倫相手の人妻）
富田恭史 ：男１（東京勤めの友人）
石井裕太 ：男２（同上）
鷲尾英彰 ：男３（同上）
タニノクロウ[庭劇団ペニノ]]：田嶋（借金取り）
高多康一郎[RONNIE ROCKET]：岩田の夫
2004/6/27(日)晴 2:36-4:15PM（1'39) 後方より 客席超満員（160？人）
客層：20-30才代中心におじさんちらほら。男性やや過半数。概ね地味。
客入れ：１０番ごとにお客さんにプラカードをもってもらい整列。ちゃきちゃきと
入場、入口で荷物預かりあり。桟敷４列、緩いひな壇にベンチ４列、最後尾関係者用
を含む椅子席２列。間口一杯に二部屋装置設置。下手が表、上手が裏。ぼそぼそ会話
と肉弾芝居を間近でみたい向きは前方、全体の動きを知りたい人は、後方が○。
折り込みパンフ。A4 ３ページ。挨拶、配役、スタッフ、予定掲載。次回公演。
10/8-11＠三鷹芸術文化センター。
1年半と忘れかけ始めた頃合いの久々公演。
舞台。築30年超の木造平屋。玄関を中心に、二部屋内部をハの字に開き見せた格好。
いずれも彼ららしい、実在の家をコピーしたようなリアルな作り込み。下手居間。
コタツ兼用テーブルを真ん中、正面上半分にガラス引き窓（戸はトイレ以外？すべて
引き戸）。茶箪笥、ＴＶ、古いラジカセらと雑然とした生活用具が壁際あちこち。
中央、二間のガラス戸腰に玄関流し台らしい陰。上手四畳半にビールラック利用？の
ベットと小タンス。
お話。主人公青年のモノローグでつなぐ「どん底」へ至る顛末、愚かな獣な人間達の
「泥沼万歳」な愛憎劇。東北？の田舎町。借金を残して両親が自殺、額の多さに返済
する気力も失せた青年。見かねた中学時代の友人2人が借金返済（ここから異常）。
そんな甘えん坊男は農協勤め・35歳人妻と不倫中。旦那と軽くもめて、結局同棲に
なだれ込み。
それより前、元いじめられっ子の同級生・今は小金持ちの男が借金肩代わりを申し出
（これも異常）。脅迫されたか？、過去の意趣返しか？、はっきりせず。恩人のはず
なのに、同級生達に虐げられる小金持ちは時々逆切れ(無駄骨）。それもで恩返しの
つもりか、甘えん坊男は片思いの女性と家で出会えるよう段取り。もう一人は平和に
ラブ＆セックス。小金持ち男の相手は金で寝る女と成っており、愕然。それでもスケ
ベ心は別腹と、有料で頂いてまあ平和に収まり。
小金持ちが役員となっている会社へ、甘えん坊男は就職、農業にいそしみ。前向きで
よいけど、浮気心も前向き。金で寝る女を買っては、農協勤務女に代金を出させ。
同級生の彼女にも隙あらば、甘言と嘘をもって寝たい心。東京にいっていた同級生に
田舎ものと馬鹿にされたことあってか、仕事に嫌気がさして、退職。
借金は誰が払うで、友人達はまたもめ。小金持ち男の甘やかすことになるから×と
い忠告にも聞く耳持たない同級生達。逆に、おまえが払えと理不尽な責め苦にあい。
甘えん坊男はパチンコでもうけて返済を考えるも、返せるわけもなく、×。甘えん坊
男は金で寝る女とつるみ、農協勤務女はいまや単なる金づる。
疲れ果て寂しい心の農協勤務女は、虐げられ同胞の小金持ち男を誘惑。なるように
なってしまう。甘えん坊男は万策が付き、彼なりに「けじめ」をつけて、借金をどう
にかした（らしい）ところで冬となる。
借金肩代わりの同級生とその恋人が、借金返済に端を発した喧嘩から疎遠なのにつけ
こむ、甘えん坊男。甘言で一夜をちゃっかり共にする。恋人と連絡がつかず悩み顔の
同級生男は借金を払うため、新しいタイヤが買えずに冬道事故。心が揺れていた恋人
も迷いが晴れて、改めて甘えん坊男と同級生達の理不尽さには呆れ。
そんなどたばたの最中、駆け落ちしようとした小金持ち男と農協勤務女は当の事故を
発見。借金肩代わり同級生の命の恩人となり。しかし、そのことで浮気がばれ、甘え
ん坊男は激高。さらに追い打ち。退院してきた借金肩代わり同級生が怒鳴り込んで
くる。小金持ち男へお前はどこの生まれだ？、お前の汚い血を入れられた、1000万
（慰謝料を）払えと殴る蹴る。どうも小金持ちが虐げられてきたのは、被差別部落
出身のためらしい。これを聞いた農協勤務女は恋が醒め、嫌悪の表情を向ける始末。
理不尽この上ない生き地獄。その傍ら、隣室では甘えん坊男が借金取り男にバック
からがんがん犯され。「けじめ」は自分の体・アヌスで返すということだったのね。
同級生達は周知のように気にもかけず、自分の地獄の沙汰で忙しい。
最低な物語を最高の造り込みで魅せる。発展途上ポツドールの一つの完成形。今回は
「ドラマ」一本。舞台の裏表を前後で見せたりのセミドキュメントでなし。描写の
リアルさは徹頭徹尾貫かれ。まったくの現代口語（方言は故意に臭いが）は、すぎて
聞き取れないこともあるほど。青年団、五反田団より過剰。セックスと暴力シーンも
マジでリアル。と演劇のウソを廃した彼ららしいもの。
物語はあざといほどにつくりこまれ、リアルさからちと離れるが、その分ドラマ
ティックに仕上げ。リアルを志向しながら、物語の面白さも存分にみせてくれる、
三浦氏の巧みさに感心しちゃうねこ。役者は作品によく応え。骨身を削る本気をいれ
つ、以前より余裕を感じさせる演技がいい感じ。こんな舞台をみると、他の芝居が
オブラートが掛かった味気ないものに思えてくるねこ。次回が早くも楽しみ。
役者。体を売って生きているヤンキー娘役・安藤さん。オ◎ンコの臭いを気遣って、
流し台でじゃぶじゃぶと洗う、その無遠慮な優しさ。荒くれた言動の中、わずかに
見え隠れする甘えん坊青年への恋心。女優芝居を堪能するねこ。
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