[前頁] [ホーム] [一覧] [次頁]

 文学座「ぬけがら」

 @新宿 紀伊國屋サザンシアター(2007/5/8-17 11ステージ)
 http://www.kinokuniya.co.jp/05f/d_01/hall1index.html
 全指定 一般5500円 ユースチケット3800円 (25歳以下文学座のみ) 中高校生2500円
 (文学座のみ)

 作:佃典彦[劇団B級遊撃隊] 演出:松本祐子 美術:石井強司 照明:金英秀
 音響効果:藤田赤目 衣裳:出川淳子 舞台監督:神田真 宣伝デザイン:山下浩介
 制作:伊藤正道、中島健 票券:松田みず穂
 出演:
 若松泰弘:男(鈴木卓也)
 飯沼 慧:父1(鈴木卓二郎 84歳)
 鵜澤秀行:父2(60歳代)
 関 輝雄:父3(50歳代)
 高橋克明:父4(40歳代)
 佐藤 淳:父5(30歳代)
 柳橋朋典:父6(20歳代)

 山本郁子 :女1(鈴木美津子)
 太田志津香:女2(田中久恵)
 添田園子 :女3(鈴木景子)
 奥山美代子:女4(佐藤理沙)

 2007/5/11(金)晴 7:00-9:14PM(2'13) 中段下手 客席8割(400人)
 客層:老若男女、壮年よりに幅広く。男女半々。中年男性が目につき。
 客入れ:当日券、中段10数席。補助椅子なし、後方空席多数。折り込みチラシそれ
 なり。物販。パンフB5 800円 ほか。定時開演なので遅刻なきよう注意。
 カーテンコール1回1分。

 2005年5月文学座アトリエにて初演、岸田國士戯曲賞を得た舞台の再演。

 舞台。古ぼけた公団住宅。大きめのテーブルと冷蔵庫、食器箪笥がある8畳間。
 上手側に仏壇と遺影、お骨を納めた白箱。続き部屋に窓に面してベット、床に脱ぎ
 散らかした衣服。転じて下手、緑の鉄製ドア、板の間に洗濯機。

 お話。不倫相手が乗った車で人身事故を起こし免職、ショックで母親急死。浮気発覚
 で離婚を迫られ、父親はぼけ加速と、人生最悪の中年男。ある夜、トイレが入った
 父親が「脱皮」し、若返るのに遭遇。脱皮を繰り返すほどに若返る父親、より鮮やか
 に、リアルに語られていく母親と自分を巡る出来事と思い。

 喜々として面白く、しみじみと涙を誘う私小説の体。よくできたというか、面白すぎ
 本に引き込まれる2時間。シュールでスラップスティックな展開も芯を通して、笑い
 の内にもきちんと物語り、共感できる思いを胸に落としてく。抜け殻、人生の道程を
 意味のある物として残し、口調は辛口も人生を謳う。筋書きはアンハッピーも爽やか
 な後味があるのはそのためと思うねこ。

 演出は緻密でいて、鮮やか。できたプロの仕事印象。現代口語の佃戯曲を文学座
 老若面々の血肉として消化させ。役者個々のがんばりや作品・役柄への愛着が見て
 取れるようで好印象ねこ。

[月間一覧