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 風煉ダンス「泥リア」

 @仙川 調布市せんがわ劇場(2011/5/27-6/1 12ステージ)
 http://www.sengawa-gekijo.jp/
 全自由 一般 前売3500円 当日3800円 学生2000円 当日2300円

 作:林周一 演出:笠原真志 音楽:不破大輔(渋さ知らズ) 
 美術:青山健一、深川信也 衣装:大吉弘普、日高和子 照明:辻井太郎
 音響:北原慎一 舞台監督:後藤恭徳 制作:ヲザキ浩実、上山陽介
 出演:
 真那胡敬二:林太郎1
 飯田孝男 :林太郎2
 溝口明日美:少女(名前がない)

 宍倉暁子 :かおり(長女)
 今井美佐穂:しま子(次女)
 荒井クルミ:りな(三女)

 田中晶  :星太郎
 リアルマッスル泉:トシオ(星太郎の息子)
 春田奨  :マサオ(星太郎の息子)

 吉成淳一 :江戸川ミチヒコ(次女の夫)
 後藤恭徳 :大場(長女の夫)

 荒牧大道 :ドロ巻
 吉田佳世 :ドロ代
 林周一  :ドロ林

 2011/5/30(月)曇 7:38-9:43PM(2'04)中程後方 客席5割(40人)
 客層:20-30才代と中高年。おじさんおばさん結構。
 客入れ:整理券あったのかな。開場まもなく5、6人。開場奥行き一杯にファッション
 ショー・ランウェイな舞台。挟むよう、両側に椅子席2列。真ん中あたりの芝居が
 多いのでそれなりに。傘を倒さないよう、通路に物を置かないように個別に注意あり。
 折り込みチラシそれなり。パンフ A5 3ページ。配役、スタッフ、挨拶。物販なし。
 カーテンコール1回1分。

 久々の風煉ダンス。元自由劇場・真那古敬二、アングラ老舗発見の会・飯田孝男が
 出演。

 舞台。ファッションショー・ランウェイ。無地に方眼が描かれた床下や、劇場の
 素っ気ない無機質壁を一変する仕掛けあり。

 お話。「リア王」の悲劇と現代の社会問題をリンク。介護を誰がするかでもめる痴呆
 老人の妄想世界では「リア王」さながらの物語りが始まり、徘徊する彼を追ってきた
 義理の息子が巻き込まれてしまう。王家の圧政に犠牲になる庶民の姿は、40年前の
 戦争の記憶を呼び、大震災後の喪失感に繋がるが。

 今を生きる私たちの心情に沿った怒りと嘆きを、重層する劇的翻案に乗せて描く、
 意欲作。カチッと書かれた構成、登場人物のホンだな印象。震災後の世界を真正面
 見つめ、物語りに重ねていく。泥の中の記憶を掘り出す住人、見いだせない希望を
 託された名のない無邪気な少女 には胸が揺すぶられるねこ。

 原発や政治の問題提起はメタファーをはみ出すほどに生々しい。いいたいことは判る
 けど、うーん。リアは1役2人、乱れる心中を掛け合い漫才と描きたかったのか?、
 うーん。3姉妹を三頭の怪物にしたのは、巧いアイデアだと思うねこ。

 今まで観た風煉ダンスからすると、型にはまって窮屈そうな印象は受け。奔放な翻案
 に乗って、ここではない先へと暴れ出られると思うねこ。一方、音楽が物語りに
 よらず、終始ムーディに聞かせ、ここらは自由な印象ねこ。

 と書いてたら、林さんからメールがあり。役者全体が不調、硬い客席と、演出家から
 すると上出来とは言いがたい回だった、今は「目を見張るくらい芝居がかわった」
 とか。小劇場演劇、とくに古くからの劇団ではありがちなこととはいえ、うーん。
 ねこはもう観られないけど、これからの人は期待していいみたい。

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