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 かたつむりの会 第19回公演「もうひとりの飼主」

 @渋谷・ジァンジァン (1997/6/11-15 8ステージ) 全自由前売り当日3000
 作:別役実 演出:村井志摩子 出演:楠 侑子

 1997/6/14(土)晴れ 7:05-8:05PM 最前列より 客席9割(100人)
 客層:老若男女。おじさま、おばさま多し。客入れ:ゆるやかにほぼ満員。

 梅雨の季節、別役氏の新作をかける、かたつむりの会。今年は氏、初の1人芝居。
 舞台。雑然、くちかけたようでいて、生活が感じられる部屋。中央、臼汚れたテ
 ーブル、茶器、ティーバックをいれた紐付き箱(離れた場所から無意味に開閉可)
 奥、茂る木々、外に面した窓、台所と仕切ったカーテン。両袖の壁際。壊れた時
 計、椅子。食器棚。古色蒼然とした中、電気ポットとプッシュ電話に違和感。

 お話。姿の見えないねこ。餌をやる女1人。テーブルに3つのカップ。しきりに
 あなたと夫?同居人?に問いかけ。テーブルの封筒には人間の耳が。離れない
 異臭を気にする女。なんども掛かってくる電話:「あのねこはあなたの飼い猫じゃ
 ない」。すること、してきたことを狂気と正気の狭間に確認。ねこの飼い主は、
 別部屋の宗教勧誘員:台所、耳をそぎ落とされ、動かない男の。ねこもそこに
 動かないで。やがて外から人がやってくる。今はまだ。あなた、あなた。私は
 知ってしまったのよ。繰り返す、答えのない問いかけ・・。

 自分と会話し続ける無限孤独。それを自覚できず、完全に狂うこともできない
 酷さ、救いのなさ。リアルな顛末が恐かったねこ。凄みと厳しさある芝居なり。
 と、辛かったというとそうでもない味付けも。妙なおかしみあり。キャットフード
 をもったいつけて食べる、要領よく嘘電話するおばさんぶりとか。ほんでも、
 結構直球なんでこたえたねこ。

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