ＴＨＥ・ガジラ「温室の前」
＠下北沢 ザ・スズナリ (1997/7/5-16 14ステージ） 指定前売り当日4000自由3500
作：岸田國士 演出：鐘下辰男 美術：島 次郎
出演：千葉哲也、椿真由美、筒井真理子、片岡弘貴
1997/7/12(土)小雨 7:00ｰ9:00PM 前方より 客席8?割(100人）
客層：20〜30才代。高めより。男性客やや多めか。客入れ：スズナリ(3469-0511）
でも予約可能（ただし前日〜当日？）。２日前までは劇団にて。自由席って最前列
一列かしら。指定席でも舞台に近いので、そちらが良。あと、スナックの看板が取
れ掛かって危険（その旨歩道に表示有り）。スズナリ前を通るときは頭上注意。
舞台。一面の大きなガラス窓。その向こうに庭の温室が伺える洋室。きちんとテー
ブルを囲む籐椅子。上手に蓄音機。下手の机上にタイプライター、アールヌボーな
デスクスタンドと鏡台。その後ろにほとんど本がない書棚と振り子時計。舞台両袖
は水を張り、水滴がぽつりと音、水面が揺らぎ壁に投影。正面頭上には、紅い電灯
がぽつんと。
お話。世間から隠遁するように暮らしてきた兄妹（千葉、椿）。病弱な兄と自閉な
妹。そこに旧友（筒井、片岡）からの手紙、訪問という「大事件」が。今の生活を
変えられるものならば。差した日の光に向かう草花のように動き出し、訪問者との
交友を始めるが。
ままならないコドク。絶望を受け入れての救いなく、立ち向かうこともなき脆弱さ
ラスト、慈雨さえ届かない屋内＝自閉な２人の姿が悲しいねこ。岸田國士って、
こんな現代的なホンかいてたんだ。すごいなあ。陰影ある明かり◎。人の心の内を
補ってあまりあるって感じ。常にある紅い電球は天井・ガラスに映えて天上、にかか
り、狂気を誘う「赤い月」のよう。２人の自閉世界で点る温室の赤い電球は美しく
も怖い。何時壊れるかの緊迫感を伴い、生理に訴えてくる演出◎。でも、ねこは
少し疲れちゃった。萎えてるときみると辛いかも。
役者も高水準。狂気を描いた兄妹◎。千葉哲也さん。いつもと正反対な嫌悪をもよ
うさせる役。ねっとりと絡む視線。狂気がにじみでてくる演技が怖い。椿真由美さん。
全身で表現の熱演。小須田さんとの共演にも期待。筒井真理子さん。お人形な
外観に強い意志。もっと舞台に出て欲しいねこ。片岡弘貴さん。手堅さが役にあっ
てて○。
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