グローブ座カンパニー 子供のためのシェイクスピア「リア王」
＠新大久保・パナソニック・グローブ座 (1997/7/12-27 17ステージ）
前売り当日 指定4000、柱影席2000、3F自由2000
作：Ｗ・シェイクスピア 訳：小田島雄志 構成：田中浩司 演出：山崎清介
出演：小須田康人（リア） 伊沢磨紀（コーデリア、道化）
佐藤誓（ゴネリル、コーンウォール公爵） 植本潤（エドマンド）
間宮啓行（リーガン、オールバニ公爵） 彩乃木崇之（オズワルド、フランス王）
戸谷昌弘（グロスター伯爵） 明楽哲典（エドガー） 山崎清介（ケント、リア人形）
1997/7/25(金)曇り 7:05-9:15PM(休憩15） １Ｆ前方から 客席８割(550人)
客層：おねえさま達７割。子供連れの方々もちらほらと。
客入れ：柱の影席が値引き、親切。補助椅子、少し高めで観やすい。パンフが有
料化。薄い割によみではあり。子供向け挨拶がないの淋しい。折り込みパンフの
わかりやすいエンゲキと作品のお話、楽しみだったのに。
恒例夏休み公演も三年目。お祭りやお遊びな色合いは年毎に減り、ビターな味わ
い、ますますな印象。今回は大人中心な花金。東京はこんなもんだろうけど、こ
れからの地方公演だとそれでも文字どおり子供中心？。客席の反応が興味深いと
ころ。舞台。ほとんど素舞台。錆びたトタンの壁が二面。木の机と椅子。この組
み合わせで成る装置。簡素でかっくいい。
お話。今は平安、どうしようもなき悲しみさえ癒す死。な場所にあるリア。教え
おくれ、わたしはどうしたのか。リアの魂は人形に宿り、忠臣ケントととも振り
返る物語。かつて思慮深いリアもぼけ爺入って、短気ながんこもの。財産分けし
たとたんの子供らの冷淡。まあ、厄介者な口実あたえちゃってる、リアも自業自
得だけど。爺無き後はうふふな思惑背景もあったし。でもさ、外追い出すことは
ないよね。爺だし。嵐だし。忠臣ケントは、道化は、誤解で勘当されちゃった三
女は遠隔で、心配心配。リア爺は胸中の嵐に心耐えられず、壊れちゃう。みなは
救いを求め、三女がいる進駐仏軍のもとへ。一方、追い出し側の姉妹は邪恋な鞘
当て。妾腹故、思い遂げられないヤツ・エドモンドの野心な企てにまんまと。人
の幸福なんてゆるせんな、哀しい悪いヤツ。捕まえた、リアと三女に殺人指令。
でも、その企ても露見、今際の際のよき心も間に合わず。最愛の娘を眼前で亡く
したリア。には死が慈悲としてが残されるのみ。爺には辛すぎたんスね。慎むべ
きリアの死、その悲しみは皆が引き継ぐこと。閉じる悲しみの循環、その暗がり
にも人を思いやる心の微光が。それは緩やかに高まって。後、やっぱ、酷い目に
会う、エドガーとグロスター親子の挿話をダブらせ、共鳴させてくんだな。
ライブ感◎。素舞台で魅せてくれる役者芝居。お芝居が好きでよかったな楽しさ
目線、立ち振る舞いでの挑発、遊び。黒衣からの役柄の立ち上りや、死して戻る
の工夫。そのダンディで不可思議な趣◎。平易で明瞭、力強い台詞廻しが気持ち
いい。手拍子の音のリズム。事態の緊迫度、リアの衰える心拍を表したりは劇的
つうの。机を積んだり、次々連ねて玉座にしたりな、装置の工夫。グロスターが
ほんと崖＝積んだ机から飛んだのはびっくり。息飲むお客と舞台は一体。お芝居
ならではな心象表現なり。毒々しくもお茶目な女装男優のサービスも。と、わく
わくうっとりするよな、エンゲキ体験いろいろで◎。内容は渋いけど、こども、
もきっとその辺は感じるはず。小学生とかで体験できる子達が羨ましいねこ。
演出な工夫は他にもたくさん。リアに付き従い、慈しみと苦言を呈す道化と、愛情
を注ぐコーデリアの伊沢磨紀二役が感慨深い。饒舌と寡黙な外観な違いはあって
も、底流な思いは繋がっている。わかりやすくも深い配役。リアが死したコーデ
リアを背負うラスト冒頭。悲劇な顛末を示すだけじゃなく、愛情とすれ違いの
悲しみ、失われても残る思いの芝居であることを提示。これもなるほど。２時間
と長くて、ラストでお客疲れちゃってよく観ない対策かも。違うか。音楽はジャズ系、
あまやかで哀しい響きがいい。数曲使われた、パットメセニーの切な系の曲に
しみじみねこ。
役者。小須田さん。存在感ありあり。終始、ハイテンションは貴重なものみたよ
な。威厳つうか厳しい表情が舞台に重み与え◎。伊沢さん。キュート。明楽さん
大阪弁もいい味わい。半裸のガテンな逞しさ（デブ？）、立ち回りのかっくよさ
も○。植本さん。憎らしいのに、色気に抗しがたいな色悪。それだけじゃない、
表情もみせて○。山崎さん。ダンディ。でも、お遊びな山崎さんも観たかったね
こ。
今回の飯場でめしだ、３分でだシーン。「蜂の子」の話題。がせっかくの（大様
の？）ネタ振りも、ゲテモノ食いな話しに進展せず、ちぇっ。後は、シュワちゃん
は、なんであんな体がっしりしてるんだとか。
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