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 THE・ガジラ「女中たち Les Bonnes 」<下北沢演劇祭'99>

 @下北沢 ザ・スズナリ (1999/2/17-28 14ステージ)
 全指定前売り4000当日4500 シードチケット2800 (学生割引・問合せ先のみ)あり
 作:J・ジュネ 翻訳:渡辺守章 演出:鐘下辰男 美術:島次郎
 照明:中川隆一 音響:井上正弘(オフィス新音) 舞台監督:山岡均(THE ACT)
 ヘアメイク:藤沢久美 宣伝美術:西山昭彦 制作:綿貫 凛
 出演:
 石井ひとみ [新宿梁山泊]    :女中。ソランジュ
 井沢希旨子 [流山児★事務所] :女中。クレール
 伊藤景衣子 [つやげん企画]   :奥様

 1999/2/21(日)晴れ 2:00ー3:45(1'40) 後方より 客席満員(120人)
 客層:老若男女。20-30才代中心。男女半々。
 客入れ:最前列に桟敷1列、あと椅子席。後方で俯瞰するより、前で役者バトル観る
 のが○。今回はさらに濃いお屋敷(美術)の直中にいる雰囲気も味わえるだろうし。
 全椅子席なるも、前後が狭いのはいつもどおり。荷物預かりのアナウンスが親切。
 パンフ(小型A5版、500)。モノトーンの色使いが○。

 泥棒、男色家にして詩人、小説家なJジュネ、1948年作品。
 舞台。秘密の花園な一室。闇に浮かぶ花弁のような密やかな美しさ。美術◎。黒
 光りする床、アンバー色な白系の壁。正面、凸型に奥まった部分にブラインド付き
 両開きドア(バルコニーに通じ)。中央に天蓋付きの黒いダブルベット。調度には
 アールデコな曲線。シンメトリーに置かれたサイドテーブルと椅子。壁際に鏡台、
 クロゼット、化粧台、ライティングデスク、電気スタンド、燭台。客入れ時から甘
 い香りを放っていた花々・花瓶が沢山、その数20ほど。大きな花束のグラジオラス
 、バラ、水仙、ミモザ、きんぽうげ・・と。鏡も大小数多し。開演5分前などの合図は
 遠くに聞く、教会堂の鐘の音。この空間演出も○。

 お話。館の女主人に可愛がられながら、激しく彼女を憎む女中な姉妹。留守には
 互いに奥様と女中に扮しての「奥さまごっこ」。女中の罪を憎む「奥さま」、女中を
 なじる「奥さま」。奥さまがいっぱい、自己否定、自己破壊がいっぱい。いき場が
 無く追い詰められた女中は、奥さまを毒殺しようと芝居で企むが、いつも思いきる
 ことができず。今日もまた寸前で中止、かと思われたが。

 美術◎。スズナリの濃い雰囲気にもはまり。やさしさと美しさに包まれて、窒息し
 そうを体現して○。照明○。横、下からのスポット光<>全体照明をシャープに切
 り替。人物の有り様まで伺わせるような、陰影つくり○。難しいホンに役者健闘、
 格闘。姉妹が互いの役を交換したりでの自己否定どん詰まり世界。怒鳴り散らし、
 噛み付き合い、傷つけあう、金網デスマッチ。なんでそんなことを?と考え込んじ
 ゃうよな、その不条理。を女中な現実の内省もきちんと交えて取り組み。熱演なん
 だけど、不条理な有り様まではぴんとこず。よくわかんない人物をわかんないまま
 演じちゃった感じでもひとつ。醸す雰囲気を伴ってほしかったねこ(でも難しいな
 あ、これ。)