カトケン「2000年春の特別公演」 加藤健一事務所「煙が目にしみる」
＠下北沢 本多劇場(2000/3/1-20 23ステージ）
3/23＠パルテノン多摩 3/25＠IMAホール 3/27-29＠新神戸オリエンタル劇場
3/30-4/2＠近鉄小劇場 4/4-6京都府立府民ホール・アルティ 4/8＠アミュー立川
4/12＠亀有リリオホール
全指定 4,000円 当日4,300円 高校生2,500円（要学生証・当日のみ）
原案：鈴置洋孝 脚本：堤泰之 演出：久世龍之介 美術：石井強司
照明：五十嵐正夫 音響：松本昭 衣裳：加納豊美 ヘアメイク：馮啓孝
舞台監督：高橋春樹、青林天 制作：阿部悦子ほか チラシイラスト：山藤章二
出演：
岸野幸正[岸野組]：野々村浩介（故人。元高校野球部・熱血監督）
坂口芳貞[文学座]：北見栄治 （故人。浩介と共に火葬を待つ身。もてもておやじ）
加藤健一 ：野々村 桂 （骨太ばあさん。家族はぼけ初め！？と危惧）
一柳みる[劇団昴]：野々村礼子 （浩介の妻。よく気がつく人）
北村有起哉 ：野々村亮太（長男。大学五年生。放浪中で姿を現さない）
入交 恵 ：野々村早紀 （長女。ちょっと隠れ不良の高校生）
平田敦子 ：原田 泉 （浩介の従妹。ガンガンくる人）
新井康弘 ：原田正和 （泉の夫。間が悪いドジ亭主）
みのすけ[ナイロン100℃]：牧慎一郎（なぜか斎場にいるビデオ屋店長）
歌川椎子[じてキン] ：乾 幸恵 （北見の娘。タレント事務所社長）
神戸 浩：江沢 務 （斎場職員）
加藤 忍：瀬能あずさ （北見の年の離れた恋人）
2000/3/4(土)曇／雨 1:05-2:35PM(1'30) 前方より 客席ほぼ満員(390人)
客層：老若男女。おばさん多めでばらついた、アットホーム客席。
客入れ：今回、前売り完売。当日券のみ。通路前補助15と後方本席20ほど。開演
30分で半分ほど売り切れ。恒例の駅前情宣あり、カツゼツいいので目立つ呼び込み
なり。パンフ(A4 800円)。役者役柄毎コメント、インタビュー、お葬式豆知識、
キャラメルボックス・西川浩幸の稽古場レポートほか掲載。
久々の和物故か、特別と冠しての公演。原案の鈴置洋孝さん自身が出演される
（演出は堤さん）「元祖」公演が夏にあり（紀伊國屋サザンシアター）。見比べる
のも一興かと。→ http://www.place-net.co.jp/
舞台。春爛漫、の火葬場ロビー。中央の連なった窓ごしに満開の桜。屋根上まで
みせて、ほんと大振りで見事。壁は淡いブラウン、上下に置かれたテーブルと
モスグリーンのソファ。上手に地蔵の絵、ＴＶのある休憩所への廊下口。下手は
焼き場（炉前ホールとプレート）と玄関に向かう廊下口。他、済みにポット、茶碗
が置かれたワゴン、パンフレット置き場とか、それっぽく。
お話。春たけなわ。関東郊外の斎場。２家の火葬がおこなわれようとしている。
と、無人の待合室に白装束のおじさん２人。故人な２人は服装チェックしながら
お友達に。野々村家は妻と子、ぼけ入ってるばあさん、そして従妹とばたばた。
北見家は娘一人と参列者の少なさに思わずつい来たビデオ屋店長だけ。
お別れが済んで、ファイヤー。
やがて、あちー、とおじさん２人、すすだらけで転がり込んでくる。まいったねと
いいながら一服、思い出話。そこに野々村のおばあさんがやってくる。ごめんね、
お袋は長生きしなよ、と息子謝ると、怒りはじめるばあさん。まだわたしゃ死な
ないよ！、それよりおまえの格好は？。とまあ、ばあさん死んじゃった２人が
見えるらしい。これが奇妙な成り行きの事始めで…。
失って、心留める想い。「お父さん」２人の死を描き、改めて思わされる、その
存在。死は関わる人々の全てのもの、の台詞のよう、故人に関わるそれぞれの
あれこれ。市井な人のドラマが見る者毎の共感を呼ぶ、哀しく優しいウェルメイド
・プレイ。
ありがちな押しつけ、一人走りの感傷感動がないのに好感。ばらばらで勝手
気ままにしながら、どこか結びついている登場人物達がいい感じ。彼らの残され
た想いにいかされるお父さん。なんか、こんな死なら悪くないかも、と思ったり
する、生前は棚にあげて、ねこ。
舞台に悪戯な湿っぽさはなし。くっきりとメリハリ、明るい演出が久世さんらしい。
キャラは明確。主役級のベテラン役者達ぞろいで、それぞれの持ち味を巧みに
絡ませる。役者しばいに微笑みねこ。優しいけどダメ父役の岸野さん。暢気そう
で実行の人役の坂口さん。弱そうだけど、一本筋を通すお母さん役の一柳さん。
突っ張り型の攻めなるも優しさが覗く役の平田さん。やっぱり美味しい外し具合
で期待に応える神戸さん。気骨しっかり、飄々と自在なとこがお茶目なばあさん
役の加藤さん、とか。
［月間一覧］ |