唐組第25回公演「夜壺 マヌカンの手に触れる時、君は訪ねる人形の都へ」
＠新宿・花園神社境内紅テント(2000/4/29,30 5/6,7 6/10,11 6/17,18 8ステージ）
＠雑司ヶ谷鬼子母神 5/27,18 6/3,4
全自由前売り3200 当日3300
作・演出：唐十郎 作曲：安保由夫 宣伝美術：合田佐和子 舞台美術：劇団唐組
照明：劇団唐組照明部 音響：劇団唐組音響部
出演：
梶村ともみ ：織江（マヌカンの作りて、工房と人形を愛する）[新宿梁山泊]
堀本能礼 ：有霧（都清掃局員。マヌカンの手を助けたことで織江と知り合う）
辻孝彦 ：奈田所長（マヌカン工場の主。禮次郎の兄）
久保井研 ：禮次郎（マヌカン工場のやり手。わけあって、現在ホスト）
近藤結宥花 ：バランコ（禮次郎のファン、茶髪の）[新宿梁山泊]
藤井由紀 ：百合谷（マヌカン工場を去りがたい女）
稲荷卓央 ：英（元靴職人。現ホスト。独特の美学と偽の歯をもつ）
鳥山昌克 ：香戸利（ミラノ靴店企画部長。人形マニア）
唐十郎 ：白皮夫人（禮次郎のパトロン。ミラノ靴店重役）
大久保鷹 ：看護婦（キレイ好き）、分次郎（英のおっかけ。現ホスト）
中袴田克秀、石丸朋広、岩倉広樹、大垣高洋、赤松由美、青柳暁子、武田朋恵
2000/5/7(日)晴れ 7:05-9:15pm(2'00休10) 最前列より 客席満員(250？人)
客層：10代〜初老の方まで、幅広い老若男女。美人率高し。
客入れ：手際よく整列、訳知りに入場。今回、水物はなし、果物はあり。
人形を含め、曲線美な楽しみがあるので前方のがよくみえて○。
脱・カンテン堂（探偵さんね）な新作。断然役者・大久保鷹客演もナイスな今回。
ホフマン「黄金の壺」「砂男」を下敷き、ワイルド「ドリアングレイの肖像」を
絡ませて描く、人形の巡る物語。
舞台。ど真ん中にアーチ描いた重厚ドア。周囲煉瓦壁の残骸趣。左下にしょぼい
手洗いがちょこらんとあり。左右に置物棚、２、３段。マヌカン人形のパーツごろ
りん。バスト、手、太股と。その手前に白布で包まれたマヌカン２体。ちょろ覗く
足先がやたらセクシー。上手袖にドア、「奈田マヌカン」の反転文字がガラスに。
お話。マヌカンの手が清掃車に飲み込まれる寸前に救った都清掃局員・有霧。彼が
伏せる病院にマヌカン職人・織江は溲瓶をもって見舞う。なぜ溲瓶？。その訳を
聞く内、彼女が人形２体への愛情を知り、胸打たれる有霧。なんかいい感じに交感
する２人。さて、織江が勤めるマヌカン工場は左前。工場主はなけなしの知恵で
人形行商、おとうさんのスケベ心に訴え、するがにっちもさっちも。人形差し押さ
え、靴店が店買い取りの動きと南無三宝。ディスプレイの靴をマヌカンに履かせ、
共存共栄と知恵絞るのだが。
人形フェチに幻想の肉感、そのエロエロと哀感。動かぬ人形に愛情を注ぐ人の揺れ
動く思いを、荒くれと詩情をもって描く。淋しい願いな幻想が、冷たい人形をして
暖かな感触と化し、現実となる瞬間にわくわくねこ。演劇なうれしさ楽しさに微笑み
ねこ。木偶となり果てた「人形」に、それでも遙か願いを掛けるラスト、いつもの
即物的演出がなんともよくて、しみじみ。
なんっても、ラブリー・鷹。２役もこなし、好き勝手なほどに登場シーン多し。
ファンにはなにより嬉しい処。鼻下の「青」化粧もそこに留まらず。生えぎわ
とか、おみ足とかにも（最前列はみんな見えて◎）、隠しキャラ発見なお楽しみ。
ハートの蒙古斑あるお尻丸出し、いまかいまかと唐扮する夫人の「お突き（トイレ
つまりで使うスッポン棒で）」を待ち、執拗に突かれる場面◎。眼前でみられて、
なにより嬉しいねこ。何考えてるのかわかんないラブリーシーンの近年・白眉なり。
役者。鷹、上記。でも１０代？の子であのおやじ嫌、という哀しい感想漏れ聞き。
うーん、どうして？。梶村ともみ。颯爽、さわやか。言い放つ言葉のうれしさよ。
堂々の舞台女優ぶり。堀本能礼。多汗も最近は気にならない、熱演。藤井由紀。
もっと出番多くても。稲荷卓央。ハンサムなのにしょぼくて○。近藤結宥花。なんか
ふくよかに、その点女子高生ぽく。 唐十郎。やっぱ、白で決め。シャープっぽい
出で立ちで、おとぼけ自由自在、◎。
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