唐組「鯨（ゲイ）リチャード」
＠池袋 雑司ヶ谷鬼子母神特設紅テント(2000/10/26-29 4ステージ)
＠大阪10/13-15 ＠中野光座 10/7-9
全自由前売り3,200円 当日3,300円（独立した幼児以外の幼児は入場不可）
作・演出：唐十郎 構成：及部克人 宣伝美術：合田佐和子 作曲：大貫誉
舞台美術：劇団唐組 照明：照明部 音響：音響部 制作：制作部
出演：
稲荷卓央 ：田口 （もうひとりのリチャード）
堀本能礼 ：鯨カツ屋主人（田口がリチャードと呼ぶ男。白いドレスを隠している）
鳥山昌克 ：色白の紳士（夜の同人誌編集長。厚底靴収集家）
辻孝彦 ：中年男 （新宿西口のハイエナ）
中袴田克秀：甲冑の男（鎧をつけているジャンキー）
赤松由美 ：エリ （厚底靴を履く女）
藤井由紀 ：庵 （田口がアンと呼ぶ少女）
石丸朋広、岩倉弘樹ほか：その他、馬の五体（馬のパーツの五人）
唐十郎 ：馬の面の人（リチャードが逃がした馬の顔だけの人）
ほか
2000/10/29(日)小雨 7:05-8:40pm(30/休10/55) 前方より 客席超満員(250人)
客層：老若男女。掛け声、拍手もすらっとでるファン。
客入り：いつものようにきちんと整列させて、さっさと入場。詰め２，３回あるも
さほど窮屈でもなし。地面にござ敷きなので底冷えあり。物販。ポスター、著作本。
久々客演なしの今回。廃映画館な中野光座、観覧車がビル内にあるモダンな
梅田HEPホール、と場所趣向を変えてツアー。HEPのテント開けは観覧車が見える、
客席入口側に？、とか不明の興味あるねこ(だれか知らせて）。
舞台。色あせ、汚れた木製カウンターバーある店。上手にトイレ窓と手洗い。下手
に赤いのれん。なんかそぐわぬ、美術してる菱形窓をもつ引き戸。
お話。せむし姿勢、むさいヒゲ面に長髪の鯨カツ屋店主。知る者は鯨＝おかま＝
ゲイ・リチャード（三世）と呼ぶ。その彼に関心の男来訪。片思いの女性・庵
（いおり）＝アンと呼ぶ彼は、自分の恵まれない恋物語をリチャード三世と皇女
アンになぞらえて感情移入。ジャンキーである庵のため、ドラッグを隠した売人
の流星印のサンダルを奪ってしまう片思い男。は元締めの厚底靴収拾男にいたぶ
られる始末。折しも、カツ屋店主は立ち退きを迫られてて不遇一緒。物語の名馬、
その名をもつドラッグを呑み、儚くする女にあこがれるゲイの店主と、恋い焦が
れる片思い男。満たされない思い高じ、白いドレスをまとい女装、欲望のままに
鯨カツをむさぼり喰い、思いをはるかにするのだった。薬中毒蔓延の現実に淋し
い人達の想いをくみ取り、リチャード３世と重ねて描いてく物語。
ばか悲しい主人公達、が情けなくて○。華が少ない役者（失礼）の持ち味を活かした
しょぼしょぼさがいい感じ。世俗を詩的に昇華する台詞と、荒くれの場面のとり合
わせは、いつもながらに素敵。五分割馬の大騒ぎには思わず笑い。馬頭役・唐の
成りにそぐわぬ偉そうな態度にもまた。テント開け。ちゃぶ台を挟んで、カツを
むさぼり食う、純白ドレスの男二人。唐な馬が彼方に連れさってく。終演後、境内
に散らばるキャベツ、ぽつんとある丸いちゃぶ台がなんとも淋しくて○。
役者。靴収集家役・鳥山さん。熱演、持ち前の暑苦しさが役にあって○。片思い男
役、稲荷さん。二枚目半なとほほさ○。
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