演劇企画集団 THE・ガジラ 15周年記念公演「藪の中」
＠三軒茶屋 世田谷パブリックシアター(2002/7/12-22 14ステージ)
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/
全指定 S席前売り5000円 当日5500円 A席前売り3500円 当日4000円
Ｓｅｐｔ倶楽部会員S席4600円 世田谷区民割引4800円
原作：芥川龍之介（青空文庫 図書カード「藪の中」で読めますです。）
構成・脚本・演出：鐘下辰男 美術：島次郎
照明：中川隆一 音響：井上正弘[オフィス新音] 舞台監督：白石英輔
衣裳：前田文子 擬闘：渥美 博 宣伝美術：西山昭彦
製作：綿貫 凛 主催：演劇企画集団THE・ガジラ
共催：くりっく世田谷文化生活情報センター
出演：
内野聖陽（うちのまさあき）[文学座]：多襄丸（たじょうまる）
高橋惠子 ：真砂（まさご）
若松武史 ：武弘
小林勝也[文学座]：木樵り
藤井びん ：旅法師
海津義孝 ：翁
宮島 健 ：放免
2002/7/13(土)晴れ 7:05-9:01PM(1'55) 1F中段より 客席ほぼ満員(650人)
客層：20才代女性6、7割に老若男女。熱心なウッチーファンがたくさん。
客入れ：張り出し舞台、１Ｆ4列撤去でさらに近い客席。舞台が低めなので運が悪い
席だと、前列の影響あるかも。2,3fサイド席は見切れがあるためか、使用せず。
当日券不明（それなりにありそう）。補助席はなし。
折り込みパンフなし。物販。パンフ(A4変形 21ページ 800円）。演出方法、作品
解説。役者通しのリレー紹介。ガジラ上演記録。Ｔシャツ（黒、紺、赤 1900円)
ポスター(1000円)。ほか関係雑誌など販売。
アフタートーク ゲスト。14日 高畑淳子 21日 加納幸和。別の回の半券で入場可能。
ガジラ15周年。近年のＰ形式踏襲。古典原作に意欲的に臨んだ今回。
舞台。墨絵なモノトーン。大きく張り出し円形前傾舞台。後方上下に渡り廊下な
通路。高く円弧を描く、藪の背景画が取り巻き。
お話。藪から死体。その犯人の取り調べ。捕らわれた盗賊・多襄丸。妻な女を奪おう
と夫の前で犯した、と白状。しかし、殺しについては当事者の言い分異なり。真相は
まるで解らない。やがて、食い違う証言から
できた古典活性、パチパチ拍手ねこ。巧みな語り口な再構成。キーを握る女の証言を
ラスト、しかも「妻」固定（原作は夫＝死霊、女は出家して懺悔と明記）。現場検証
として理にかない、謎解きの展開を徹底、もり立てて◎。助けを求め、すがる女房
から目を背ける僧の場面をいれて、原作（懺悔）を伺わせたり、細部も上手し。
ギャラリー、言外の応酬追加（原作は１人語り）。泥沼万歳な男女を邪推する、
野次馬の下世話なお楽しみ。そんなギャラリーの無自覚な悪意と共に、むしろ誠心
な当事者男女を浮かばせ。立体的にして、スキャンダラスな今時の世相に重ねみせ、
興味津々と面白いねこ。
男女の物語に集約、強度大。当事者でずっぱり、常時男女三つどもえの恋の形。
原作の一人称台詞はそのままも、表情目線仕草で言外の反応付加し、脹らませ。
一筋縄でない愛憎表裏一体なエゴと関係性を醸しみせてて、うふふねこ。事実は
一つだが、真実は一つとは限らない。そう思える狂った歪みをいろいろな見方、
感じ方でふれられて面白いねこ。
役者。できる役者、ムーディー揃いで魅力強力。内野聖陽。エロくて、男気薫蒸、
くらくらねこ。「女」も転ぶわな、と納得。高橋惠子。狂気に近い、強き物言いに
ぞくぞくねこ。若松武史。抑制に覗く、歪んだ愛情の微笑み。静止から一転見せる
超人的動き。これまた痺れ。ギャラリーな人達。小市民な嫌らしさ、悲しさ、滑稽さ
を過不足なく描いて、好演。
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