前頁 ] ホーム ] 一覧 ] 次頁 ] 


 グローブ座カンパニー 子供のためのシェイクスピア「ヴェニスの商人」

 @新大久保・東京グローブ座(2002/7/17-28 13ステージ)
 http://www.tglobe.net/
 全指定 A席大人4500円 中学生以下3000円 B席2500円 
 RSC「ヴェニスの商人」とのセット13000円
  @北海道〜九州 全国22会場    

 作:W.シェイクスピア 翻訳:小田島雄志 構成:田中浩司
 演出:山崎清介 照明:山口暁 衣裳:池谷泉 音響:近藤達史
 演出補:小笠原響 衣裳製作:友部まり子 舞台監督:工藤静雄
 美術コーディネイト:岡本謙治 宣伝美術:市川きよあき事務所
 イラスト:奥原しんこ 制作:峰岸直子、澤村 潤
 企画製作:東京グローブ座 提供:松下電器 協力:日本航空
 出演:
 伊沢磨紀 :シャイロック(ユダヤの高利貸し)、
       ロレンゾー(バッサーニオの仲間。ジェシカと駆け落ち)
 木村多江 :ポーシャ(ベルモントに住む大金持ちの娘。バッサーニオの恋人)
 間宮啓行 :グラシアーノー(バッサーニオの友人)
 彩乃木崇之:ラーンスロット(シャイロックの召使い)、ヴェニスの公爵
 戸谷昌弘 :アントーニオ(ヴェニスの商人)
 明楽哲典 :バッサーニオ(その友人)
 原田砂穂 :ネリッサ(ポーシャの侍女)
 山谷典子 :ジェシカ(シャイロックの娘)
 山崎清介 :モロッコ大公、アラゴン大公、人形(テューバル、モロッコ大公の
       お付きの小大公)

 2002/7/21(日)晴 2:03-4:08PM(56/休15/50) 3Fより 客席ほぼ満員(600?人)
 客層:20-30才代中心。親子連れ4割位。女性過半数。
 客入れ:前売り完売。当日券詳細不明。開演直前入場で、イエローヘルメッツ(役者
 全員)のアカペラ・コンサートがあったか、不明。折り込みパンフなし。
 物販。パンフ(B5版 24ページ 800円) わかりやすい相関関係図、あらすじ収録。
 役者インタビュー。8年間の歴史や、内外役者、評論家の寄せる言葉を掲載。
 台本 B5版 1000円。ほか、小うちわ100円、人形などいつも通り。

 グローブ座休館、共にあったシリーズも8年目。来年は会えるのかしら。
 舞台。素舞台が信条かと思った舞台に、巨大岩盤。三層にしだいに高くなる壁は
 越しがたい隔たりなメタファーかしらん。

 お話。ベニスの商人アントーニオは親友のため、高利貸しシャイロックから金をか
 りる。返済の道を断たれ、苦しむが親友の妻ポーシャの一休さんな機転に救われる。

 ときほぐして、シリアスコメディ。わかりやすく楽しく、しかも考えさせるものに
 なってて流石。演出はすでに様式。黒コートでモブ役、全員で物語る進行。脱いで
 キャラが立ち上がるシンプル&スピーディ。クラッピングやメセニー音楽のテンポ
 良いドライブ感。刈り込まれてくっきりの物語、野球になぞらえたり横道に遊びの
 時間も、実は的を射たメッセージ、とか。今回はシェイクスピア作品が演じられた
 夜と劇場を語るオマージュな場面も挿入。しみじみ、ほんのりと暖かい感触○。

 人の愚かさ、悲しさを底にくっきりとみせ。単純な勧善懲悪ものとは別次元な仕上
 がり。自分勝手な人々ばかり、金の貸し借りに醜さ噴出。借金してさし上げるな
 高慢チキ VS 返せないなら復讐あるのみな哀しき暴走。解り合えないどーしよー
 もなさを、自己中心派ぶりに苦笑の内にも浮かばせ。そのダメ加減がとても人間的。
 キャラに血肉を通わせて、とりわけシャイロックに味わい。恋と友情、そして孤独の
 悲しさもまた。祝祭ムードの終盤の中、孤独の辛さを嘆くアントーニオにスポット。
 シャイロックの孤立と遠隔共鳴させ。胸におちる悲しさ○。また、法律をことさら強調。
 縛られた秩序から、アメリカを彷彿。人種宗教差別、今に変わらぬ、問題にうーん。
 
 役者。そもそも作品がそうだけど、主役2女優が勝ち。伊沢磨紀さん。入魂。
 真摯な演技◎。木村多江さん。すっとみば良くて、たじたじ。戸谷昌弘さん。
 いい人故の哀しさを見せて、好演。

月間一覧