＠駒場東大前 こまばアゴラ劇場(2004/10/12-17 8ステージ)
http://www.letre.co.jp/agora/index.html
全ほぼ自由(整理番号付) 予約当日共1500円
作・演出 前田司郎
照明：岩城保 宣伝美術：藤原未央子 イラスト：前田司郎
制作：端田新菜
出演：
兵藤公美[青年団]：高木一美
望月志津子 ：高木二葉
端田新菜[青年団]：高木三樹
後藤飛鳥 ：高木春菜
志賀廣太郎[青年団]：高木幸太郎
山本由佳[むっちりみえっぱり]：伊藤夕子
黒田大輔[THE SHAMPOO HAT] ：伊藤大介
奥田洋平[青年団] ：新山タカシ
2004/10/16(土)晴 3:37-5:02PM(1'24) 前方より 客席超満員(110人)
客層：20-30歳代中心、女性7割。コアな演劇ファン？。中高年客ちらほら。
客入れ：荷物預かり積極的にあり。開演定時20分前から10番ずつ呼び出して入場。
ベンチ2列、椅子席4列。舞台上上手にベンチ2列と、2Fにも客入れ。場内誘導は
常駐してこまめにあり。折り込みパンフ。A4 両面。配役と前田さんの挨拶、役者
たちの予定を各自肉筆にて掲載。物販。台本500円。
現代口語演劇 最先端の一つ、五反田団 最新作。京都で賞をもらったりと知名度
があがったせいか、超満員の盛況。もうぷらっと通りすがりにみることはできなそう。
舞台。まったくの素舞台。下手側中央に、病院なパイプベット１。傍らに文庫本？
やＭＤが載った小テーブル。背もたれあるなしの籐椅子が各１。上手開口が病室
など入り口。下手の奈落が自宅場面での階段相当。
お話。八百屋の4人姉妹。若草物語に想を得て離れ、4人とピアノを友達男子の設定
だけ残ったとか。三女は病弱。子供頃から入退院を繰り返し、ほとんどベット付近
生活。今は入院している。ピアノ好きだった母親が結構昔に蒸発。頑固ものの父親
と当時中学生だった長女で八百屋を切り盛り。ほどなく父親が倒れ、店をたたんで
しまう。
その後、長女は回復もしゅんとなってしまった父親と暮らしている。長女は希望の
仕事が見つからず苦労してるようだが、姉妹に愚痴をいわない。恋人からのプロ
ポーズは断り続けている。父と将来退院する三女を残して、家をでていけないと
考えているからだ。
末っ子の泣き虫だった四女は、家をでて地元で暮らしている。とても現実的な考え方
をする性格。時折病院へやってきては、毒舌と気遣いを振りまいていく。
次女は家をでて東京の学校へ行き、一人暮らし。さばかたというか、無自覚な無神経
さが玉に瑕な性格。ひょっこりと帰ってくる。よくわからないが、男関係でなんか
あったようだ。
子供の頃から姉妹と親しんできた（三女をふり？、次女にはふられ？）男性は時折
三女を見舞いにきている。彼はピアニストへの夢を捨てきれないでいる。とりわけ
、階下のピアノに母の存在を感じていた三女にとって、特別な存在でもある。
そんな背景を少しずつ仄めかしつ、三女を中心に、今と子供時代の出来事を描いて
いく。
マジ泣き。仕掛けなく地味(従来比)も、しみじみ滋味深くつくられた佳作。いつ
ものように最小限の舞台装置。暗転なく、シームレスに今（病室）と過去（実家の
2階）を往来。交錯はなし。変わる周囲と変わらないベットの三女の有様が切ない
風景。子供の喧嘩や泣き方が、大人が考えるそれでリアル。いやがおうにも、体験
を追想させられ。あふれる感情と、それを言葉にできないもどかしさ、とか。病気
な境遇をどうしようもできない三女の、もどかしさ、周囲の優しさという名の犠牲
心への罪悪感、すべてに抗いたい気持ち が共感せられ。
冒頭とラストに、理解されず号泣してしまう子供時代の三女を描き。子供だからと
しょうもないと笑っていた気持ちが、切なさと涙に転じ。私を忘れてほしい＝タイ
トルが改めて意味深。巧みで、なにより心のこもった作劇にやられちゃったねこ。
前田氏のしたり顔が見えるようで、ちと悔しくもあり。
と、切なさ全開げにとれるけど、悲壮感はなし。ぽんぽん飛び交う、殆どのしょう
もない会話はおかしみを生み、くすくす笑い絶えず。また、ちょっとした演出で
語らず、推し量らせるのも上手。子供時代の三女がお出かけを拒絶して、大騒ぎの
場面。にもかかわらず、穏やかに流れ続けるピアノに母親（ならば）の隔絶がみえ
るとか。ここら案配も巧みで、こんな若くして「珠玉の名作」みたいに仕上げて、
いいのかなあと思うほどの出来映えなり。
役者。こなれた演技で、キャラに生きてて◎。兵藤さん。「男らしい」長女役に
好感。。後藤飛鳥さん。100年後もおつきあいしたいよな、いいやつぶりがにじみ
出る。黒田さん。男のかわいさあり。志賀さん。今回、きつめのキャラでほよよ。
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