＠駒場東大前 こまばアゴラ劇場(2005/3/8-13 9ステージ）
http://www.letre.co.jp/agora/index.html
全ほぼ自由席 予約当日共1500円
作・演出 前田司郎
照明：岩城保 宣伝美術：藤原未央子 イラスト：前田司郎
制作：榎戸源胤、舘野完
出演：
黒田大輔[THE SHAMPOO HAT] ：男
渡辺香奈[青年団] ：女
大島怜也[PLUSTIC PLASTICS] ：兄
端田新菜[青年団] ：妹
望月志津子 ：先生
中川幸子 ：神
前田司郎 ：店員
2005/3/13(日)曇 6:06-7:25PM(1'19) 下手サイド席より 客席超満員(90?人)
客層：20-30歳代中心に幅広く。男性過半数。
客入れ：角が正面、二面に客席。通常客席の上手にベンチ2椅子4、下手にベンチ3
椅子2。対角奥が見やすいと誘導あり。足を切った椅子を当劇場で初見、前方に
ベンチが多い下手ではやや観がたい時あり。荷物預かりは積極的にあり。客席誘導
は随時、見届けず放置した場合があったのは残念。折り込みパンフ。A4両面。
配役、長い挨拶、予定を手書き掲載。来年3月にスキャンダラスな作品上演とか。
端田さんの北海道旅行予定が羨ましい。物販。台本500円。
舞台。角地に舞台、2個のブランコ。それだけのシンプル。
お話。記憶を取り出し、キャベツに移した?男は茫然自失。その妻の呼びかけにも
要領を得ない。妻自身、頭に虫がいてどんどん記憶を失っている。思い出がない男
と思い出に空洞がある女。二人のところへ、あやしい人たちがやってくる。
ダンサー(自称二人の息子）と先生。生まれたてで瀕死の重傷を負わされたダンサ
ーの妹。人を見下した態度で、でも孤独に不安を抱く、強大な力をもつという神。
男は神に、妻という女の虫退治を頼むが、段取り悪く失敗。妻は世界と同じくらい
に巨大化して、姿が見えなくなってしまう。妻の中に取り込まれた男に妻から
呼び声。それは彼女の記憶を取り込んだ青虫の声。男のキャベツ、記憶の中にすむ
青虫、妻からの別れの言葉に、男はただ泣きながら葉を向くのだった。
醜い世界の絶望と残された希望。儚さがしみじみ沁みて涙するねこ。シュールで
ちと不気味（そこがコミカルでもあるけど）な登場人物と物語は「作家のリアルな
世界」なんらろと思い。人の無自覚な悪意や暴力が溢れ、神は偉そうなだけで実行
力ないなど、救いなき世界をドライにさらげに浮かばせ。
忘却は生き続けるための手だてとよく言い。ここではほとんどを失った、自分を
滅した状態でなにがあるんだろと問いかけていく。家族が男女が究極の絶望の内にも
、苦しみの涙の内に、思い通じ合おう温みをほのかに感じるねこ。というか、そう
信じたい自分に気づかされ、観劇後もしみじみと余韻。
前回の家族ドラマは異色、今回も寓話と趣は違うけど、らしさがでた佳作と思うねこ。
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