＠上野 東京国立博物館 日本庭園 特設能舞台(2005/11/1-13 12ステージ)11/7休
http://www.tnm.go.jp/jp/
全自由(整理番号付。東京国立博物館平常展入場券付）
エリアA 前売5300円 当日5500円 エリアB 前売4300円 当日4500円
ユースチケット(25歳以下) 2500円
原作：シェイクスピア 謡曲台本：平川祐弘 演出：宮城聰
間狂言：小田島雄志訳による
照明：沢田祐二 空間設計：田中友章 衣裳：高橋佳代
衣装仮面製作：堀中貴子ほか 演奏構成：棚川寛子 バンドミストレス；寺内亜矢子
音響：AZTEC ヘアメイク：梶田京子 小道具：後藤敦子 舞台監督：小谷武
演出助手：大西彩香 宣伝美術：青木祐輔 宣伝画：櫻井美幸 制作：大石多佳子
出演： mover／speaker 前シテ サイプラスの里のイタリア女 美加理 ／杉山夏美 ツレ１ 寺内亜矢子／たきいみき ツレ２ 片岡佐知子／鈴木陽代 ツレ３ 池田真紀子／布施安寿香 ワキ ヴェネチアから来た巡礼 本多麻紀 地謡 阿部一徳 ：オセロー 吉植荘一郎：ブラバンショー 中野真希 ：公爵 大高浩一 ：イアーゴ 大道無門優也：キャシオー 鈴木陽代、たきいみき、布施安寿香、杉山夏美、高澤理恵 囃子方 寺内亜矢子 加藤幸夫 ：ロダリーゴ 片岡佐知子 池田真紀子 後シテ 美加理：デズデモーナ
2005/11/12(土)晴 7:10-8:41PM(1'29) 中段中央 客席超満員(280？人)
客層：20-30歳代最多に幅広く、女性8割。
客入れ：博物館入り口にて、サド公爵夫人＠本館と本公演へそれぞれ誘導。
一旦受け付けて、パンフと使い捨てカイロをもらい。無料ロッカーとトイレは
建物内。A,Bブロックごと、プラカードをもった係員について整列(〜80)。
開演定時15分前に一列になって入場。ドーム状の屋根付き客席、Bブロックは
ベンチシート24×10ほど。4人で使う膝掛け毛布支給。後半冷えてきたので
ありがたし。なお、シートにクッションはなし。Bブロックはたぶん最後尾と
両脇。 折り込みパンフ A4縦降りページ。演出家からの長文、キャスト、
役者掲載。物販なし。 カーテンコール2回3分。
徳川将軍家の菩提寺・寛永寺の元庭園、その池上に能舞台を設え。オセロを妻デズ
デモーナの霊の思い出物語として翻案。ちなみ、11月は庭園開放中、散策でき。
会場、舞台。池端上に高く舞台。紅葉の森の中、対岸にライトアップされた茶室・
転合庵が浮かんだり。客席直近にベニヤ素地、□5mの能舞台＋下手森の中まで橋。
上手に地謡（じうたい）なコーラス５×２列、正面後方にパーカッションな囃子方。
橋の後方にスクリーン、台詞な謡を字幕と投影。ほか囃子方の後ろにも小スクリーン
、こちらはポイント台詞を強調投影。
お話。原作。ムーア人の将軍オセロ。部下イアーゴのたくらみにかかり、妻デズデモ
ーナの貞節を疑い殺害。後日真相を知り、自殺してしまう。
翻案。複式夢幻能・前半。前シテ・オスマントルコに占領されたヴェネチア。巡礼僧
は、奴隷に身を堕とした女の１人にデズデモーナの霊が憑依していることがわかる。
間狂言。霊は退場。仮面の一座が、巡礼僧へオセロの悲劇を物語る。後半。生前の姿
となって、霊は現れる。イアーゴとその計略にはまるオセロの一部始終が演じられる
それは霊の追想。ついに成仏し、修行僧は夢から醒める。
よくわかるオセロ、わかりやすいお能演出。野外趣向。闇の大きさ、対岸の距離感ら
心の底にどことな迫るものあり。音楽。地謡は多声で雑踏やら、重奏で心理を歌った
り。時には狂言に加わったりと八面六臂。半透明のビニール上下衣裳が夢幻的。
役者転じて奏者のパーカッションのアタックは、役柄の心情と重なるよう。前半は
お家芸の人間浄瑠璃な言動分離。後半は一致まじりに、生の感触＝真意をより
強く印象づけ。お能とク・ナウカの手練手管を巧みにとり混ぜた、演出効果◎。
「直球なラブストーリー」を多面的に描き。前半、隷属されている女性と巡礼僧から
オスマントルコの脅威、ムーア人への憎しみや偏見が語られ。イアーゴの動機に
裏付け。間狂言で物語をダイジェスト。そして後半。デズデモーナの霊が語る（謡う）
オセロとの悲劇的な、しかし確かな愛の結びつき。ワイドショーしてる物語の扇情的な
部分の灰汁を抜き、透明で滋養に満ちた愛の物語として供し。切なくも暖かい後味に
しみじみ感じ入るねこ。深い読み込みと、大胆な能形式の活用にさすがと感心ねこ。
役者。力と技のぶつかり合いに手応えしっかり。美加理。能面な中、感情がフラッシュ
して鮮烈。本多麻紀。毅然した様が印象。
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