＠大阪なんば 精華小劇場(2005/12/9-11 4ステージ)
http://www.seikatheatre.net/
全自由 前売・予約2300円 当日2500円 中高生1500円
作・演出：大竹野正典 舞台監督：塚本修 舞台美術：武川康治 照明：林鈴美
音響：大西博樹 小道具：秋月雁 宣伝美術：高岡孝充 制作：番長会議
精華演劇祭Vol.2参加
参考文献 佐木隆三「引き裂かれた家族」 作中引用詩 草野心平「オ母サン」
出演：
川田陽子 ：レイコ
戎屋海老 ：ホカオ（レイコの愛人）
イシダトウショウ：カツヒコ（レイコの夫） 或いは影
石川真士 ：タナベ（スナックのマスター） 或いは影
藤井美保 ：スズコ（スナックのママ） 或いは影
後藤小寿枝 ：ヨシモト（レイコの知り合い） 或いは影
2005/12/9(金)晴 7:38-9:33PM(1'55) 最前列より 客席6割(70人)
客層：老若男女。まんべんなく広がった年齢層、男性過半数？。
客入れ：整理券配布。東京より寒い今日など、劇場内待ち合わせがありがたし。
雛壇７に千鳥配置椅子席の通常客席。平台左右での芝居がちょっとあり、やや引い
てみた方がいいかも。もち、がつんと受けとめたいなら、前方中央が○。
開演前に暖房を切ること（上着を着ていれば大丈夫)、トイレ念押し確認、携帯を
切れない人はマナーのサイレントモード願いなどあり。 折り込みチラシ それ
なり厚さ。折り込みパンフ 変形A3三つ折り。あいさつ、写真と相関絵模様つき
配役、スタッフ。 物販。ビデオ、DVD。購入の目安として、パンフに一覧をのせ
てほしいねこ。 カーテンコール1回。
愛人関係にあった男女が、多額の保険金を目当てに、夫,二男を92,98年に殺害、03年
死刑を求刑された凶悪事件をモチーフ。
舞台。極シンプル。平台にテーブルと椅子替わりのボックス。後方に暗闇、綱で吊ら
れたガラスの浮き球１０が吊られ。
お話。愛と金銭欲にまみれ複雑に絡まる人間関係。やがて畜生道へ落ちていく男女
の修羅の人生。病弱な資産家の姑が逝き、まんまと相続した形の夫。しかし、職人
仕事はやめず、家には金をいれず、妻に内緒でギャンブル、浮気。その浮気が原因で
、相手の夫を離婚の憂き目にあわせるも、友人関係はやめず。さらに、自分の妻を
その男（妻に横恋慕していると知りつつ）のバーへ働きに行かせる。寝取った借りを
返すつもりらしい。常道を逸した扱いに憤る妻は、店で自称古美術商の男と出会う。
羽振りがよく、紳士的な男にひかれていく、ヒーロー願望の妻。しかし、彼もまた
悪党、妻は後戻りのできない修羅へ落ちていくのだった。
獣性をむき出し、一線を越えた人々に絶句。知らなくともいい世界、壮絶な負のパワ
ーに圧倒され。漁灯でイカを捉える光景を海のホタルと称する。しかし、イカは灯り
ではなく、引き寄せられる魚につられて捕獲されてしまうのだという。その愚かしさ
、醜さと、本能のもつどうしようもなさは、欲と金ボケの登場人物にも重なり。残酷
なほどに滑稽で、哀しすぎ、たまらない気持ちになるねこ。さらに妻が抱えている
「すべてが怠くなり、どうでもよくなる」という疾患。その麻痺感覚は、善悪や生死
に鈍感になっていく昨今を連想せられて、うーむねこ。
作劇は力強く正統派。虚飾や無駄のない端正な台詞、客観視を交え理性的に描かれた
物語。役者芝居は妻役の川田さん始め、役柄に寄り添い、誠実しごく。定評ある音楽
使いの上手さは健在。夢幻なトロイメライ、シャンソン（聞かせてよ愛の言葉を）を
子への情愛、人生への憧れとして、遠く響かせ。修羅に流れる、僅かな潤いが逆説に
痛ましく、涙するねこ。そして、背景の闇の存在感。登場人物がぎらつくほどに、
ねっとりと濃い感触を増すように感じられて○。
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