＠下北沢 ザ・スズナリ(2005/12/9-18 14ステージ)
http://www.honda-geki.com/suzunari.html
全指定 前売3500円 当日3800円
＠大阪 芸術創造館 12/21-24 5ステージ
作・演出：青木豪 照明：清水利恭 美術：田中敏恵 舞台監督：筒井昭善
効果：都築茂一 宣伝美術：高橋歩、志賀玲子 宣伝写真：中西隆良
制作：菊池八恵 アドバイザー：嶌津信勝 企画制作：グリング
アフタートークゲスト 12/14徳永京子、12/21岩崎正裕
出演：
中野英樹 ：星野茂（兄）
永滝元太郎[劇団M.O.P]：星野保（弟・美容師）
萩原利映 ：星野暁子（その妻・美容師）
鈴木歩己 ：桐山敬（花屋）
峯村リエ[ナイロン100℃]：桐山充恵（その姉）
谷川昭一朗：大嶽祐太朗（不動産屋）
黒川薫[010534J]：鴨下進（駅員）
内田慈：小川真理子（暁子の妹）
笹野鈴々音[風琴工房]：時田百合（鴨下の幼なじみ）
杉山文雄：神保友昭（テレビ制作会社の男）
2005/12/18(日)晴 1:13-3:18PM(2'02) 最前方より 客席満員（120人）
客層：20-30歳代中心、中年層も結構。男女半々。
客入れ：当日券あり。ベンチ桟敷2、ベンチ1、雛壇にパイプ椅子9列。桟敷には
手荷物になるので、折り込みチラシをおかない配慮あり。折り込みパンフ。B5
3ページ 挨拶、配役、予定掲載。次回公演 来年12/20-24＠紀伊國屋ホール。
物販。上演台本1000円。前回公演DVD。 カーテンコール1回3分。
日常風景を丹念に描く、ウェルメイドな会話劇で、ONEOR8、モダンスイマーズと並び
注目を集めているグリング＝青木豪最新作。初の大阪公演あり。
舞台。で、芸術創造館よりは間口が狭いスズナリに、リアルな地方の理髪店設営。
半地下らしく、正面窓に外の階段一部がみえ。その上手に入口階段が隠れた格好で
あり。上手半分がベンチ、テーブルの待合い場所。近場の駅の待合い客にコーヒー
(200円）を供する喫茶も片手間営業中。下手半分手前にシンプルな床屋椅子２、
壁の棚にタオルや飾り物、ウクレレがおかれ。後方、靴を脱いで母屋入り口。
冷蔵庫や茶器、壁には店主夫婦の趣味・ダイビング海中写真が沢山。
下手から2階部屋への階段一部がみえ。地味も落ち着いた柄の壁紙と床、とこどこ
花や飾りをおき、お店への愛着を感じさせ。
お話。中世の水軍に因み、祭りが行われる地方都市。その支度する商店街の人達
がたまり場としている美容室は、先代を数ヶ月前に亡くし、今は二男夫婦が切り盛り。
長男は店を継ぐことはなく、司法試験に挑むが挫折、都会で塾の講師をしている。
喪主が長男でなかったことなど、ご近所が噂話をしていたところ、突然当人が
帰ってくる。祭りのためとも思えず、真意をはかりかねる夫婦であったが…。
奪い、奪われるものの機微を描き、地味も滋味ある一幕劇。前作「カリフォルニア」
と呼応する人物設定に関心ねこ。海賊とは、平気で人の自由を奪うモノのこと。
自由は大切なモノと読み替えてもいい。奪い、奪われることに平気ではいられない
市井の人々。価値観やものの見方の違いそれぞれに、心の揺れを丁寧に綴る。
故郷や家族を犠牲にして進学や立身、やむなく被介護、悪意のある噂、自死や殺人
による死別、また異性の歓心など、日常の略奪行為。それを被った者の悲喜こもごも
を、巧みなエピソードの重奏で物語っていく。何気ない会話の行き交い、目線や仕草
の交感でする手練手管は、小憎らしくなるほどに冴え。
帰ってきた美容師兄と、彼の幼なじみで取り残された花屋娘を主軸に、ともすれば、
甘辛人情芝居に堕ち勝ち。外の殺人ら事件を持ち込み、緊迫感ともえん罪に絡む
醜さ怖さを付して、深く掘り下げ。兄が弾く名曲ムーンリバーは美しい、しかし外の
月の河畔では事件が起きているのだ。死に絡み、「カルフォルニア」同様、その
粘った感触の持込は、好き嫌いが別れるかも。すったもんだしながら、ラストは
いい話で気持ちよく終え、その手練手管は以下同文。
役者。どちらかというと舌足らずな台詞を補完する役者芝居、はさりげに雄弁。
そんな人達がそんな風にして、舞台で生きている、いずれも好演で楽しいところ。
美容師兄・中野さん（元南河内万歳一座、企画発起人とか）。安眠できてないだろう
な、孤独と不安をうかがわせるムーディぶり◎。
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