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 グリング 第17回公演「吸血鬼」

 @渋谷 青山円形劇場(2009/3/5-11 9ステージ)
 http://www.aoyama.org/
 全指定 前売4300円 当日4800円
 
 脚本・演出:青木豪 照明:清水利恭 美術:田中敏恵 舞台監督:筒井昭善
 効果:青木タクヘイ 効果オペレーター:吉岡栄利子 音楽:DubRIN'=峯岸信太郎
 演出助手:松倉良子 演出部:伊倉真理恵 衣装・ヘアメイク:栗原由佳
 宣伝美術:高橋歩 宣伝写真:中西隆良 舞台写真:鏡田伸幸
 制作:菊池八恵 企画制作・主催:グリング
 出演:
 高橋理恵子:藤村恭子(広告代理店OL) [演劇集団円]
 中野英樹 :藤村一馬(その兄)
 平田敦子 :藤村佳恵(その妻)

 みのすけ :山中博史(チンドン屋の親方) [ナイロン100℃]
 萩原利映 :山中明美(その妻)
 遠藤隆太 :郡司雄太(チンドン屋の見習)

 杉山文雄 :菊池顕 (脚本家)
 安藤聖  :桜井のり子(女優の卵)
 辰己智秋 :川野辺祥一(菊池のマネージャー) [ブラジル]

 2009/3/8(日)曇 3:06-4:47PM(1'40)アパートより中段 客席満員(240人)
 客層:20-30才代中心に幅広く、男女半々。
 客入れ:当日券不明。中央と2ブロックで前方後円墳な舞台。ブロック側際まで
 客席設置して、やや見難し。折り込みチラシ タウンページに極厚3cm 輪ゴム
 止め。パンフ B5 3ページ。挨拶、配役、スタッフ、予定。次回公演。12月
 「jam」再演@東京芸術劇場小ホール。 物販、上演台本1000円。
 カーテンコール1回1分。

 1年超ぶりの劇団新作、初の円形劇場。
 舞台。クリーム色の一面、のっぺりした調度とサイケな装飾のアパート。小道具は
 すべてターコイズブルー。前方後円墳型。円形部に平台を囲んで柱と箱。公園、
 スナック、事務所など、組み合わせて展開。正面に2階建てアパートの階段と
 外壁。ぼろアパート設定、壁はサイケな模様が渦巻き。

 お話。渋谷、とあるアパートで一暮らしのOLが死んでいるのが見つかる。学生
 時代、元恋人だったドラマ作家は自殺が信じられず、犯人捜しを始める。新作が
 書けない作家には吸血鬼が血を求めるような切望感も伴い。やがて、広告代理店で
 活躍していた彼女の挫折と、荒れた実態が明らかとなっていく

 ミステリー仕立てもしっかり人間ドラマ。リアルな日常を丹念に積み、ありふれた
 人々の転落を、鋭くも切なく描く持ち味変わらず。今回、いつになく幻想的な仕掛
 けを加え、実験的。後半、OLと作家の視点と転落する物語が入れ替わり。一体、
 誰の回想、妄想、夢なのか?、不確かとなり。デビット・リンチの映画「マニホ
 ランド・ドライブ」も彷彿。不明故、誰でも起こりえる人生の分かれ道とも思え、
 センチメンタルな郷愁を呼び。トリッキーも、主人公2人が互いに気遣う関係は
 変わらず、嗚呼青春のリグレットなり。美術も冒険、リアルな造り込みから抽象へ
 と。シンプルな箱を組み合わせて、あれこれ変化。

 役者。奇をてらわず、奥深く表現。OL役高橋さんが、普段の会話や仕草に心情を
 滲ませて、切なさが胸に落ち。何役かこなす、みのすけ。良い加減に浮いてて○。
 

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