メジャーリーグ制作 「８人で探す リア王」
＠池袋・サンシャイン劇場 (1999/5/21-30 13ステージ) Ｓ席8000 Ａ席5500
作：ウィリアム・シェイクスピア 訳：松岡和子 演出・構成：鴨下信一
美術：中越司 衣裳：原まさみ 照明：勝柴次郎 音響：高橋巌
ヘアメイク：片山昌子 演出助手：松本祐子 舞台監督：鈴木慎介
企画：劇書房 制作：メジャーリーグ
配役：
白石加代子 ：リア王、コーディリア
池畑慎之介 ：グロスター、道化
デビット伊東：ケント、コーンウォール、オールバニー、フランス王
植本潤［花組芝居］：オズワルド、他たくさん
合田雅吏 ：エドガー
宝井誠明 ：エドマンド
裕木奈江 ：ゴネリル
菊池麻衣子 ：リーガン
1999/5/29(土)晴れ 1:05ｰ3:40PM（75/休15/65)1F後方より 客席８割(600？人)
客層：おばさま多し。あとは20ｰ30才代女性、おじさん、家族連れととりどり。
客入れ：当日券は端末で選択して購入。後方、両袖に空きあり。パンフ(1200)。
演出・鴨下さんの企画・演出意図に関するロングインタビューほか掲載。終演後、
劇場前は当日券？招待券？待ちの40,50人列。そんなに人気ある公演なのかしら、
高額チケットなのに。
意外とお話が知られていない「リア王」。説明的なありきたりな様式を取り去って
コンテンポラリーな視点で上演しよう企画。設定。演劇ゼミの面々がイギリスの廃
墟な野外劇場な庭園で朗読会を開催するというもの。ピクニック風なそこでは、出
待ちの「先生。生徒」な役者は終始いわば板付き。本来舞台にいないはずの人物、
役者の反応が期待されたりする。野外ならでわの嵐などの「偶然の天然の効果」や
小道具も盛り込み。長時間に及ぶ台本は、刈り込まれてダイジェスト風にされ、少
人数ゆえ１人多役で上演。
お話。３人の娘をもつリア王は長女ゴネリルと次女リーガンの甘言にのり、領地を
与えるが裏切られる。フランス王妃となった三女コーディリアは父親の救済に向う
が敗れて絞殺され、リアは悲嘆の内に死んでいく。長女と次女が男を取り合って、
どろどろ、忠臣グロスターの悲劇を挿入して、絶望な破滅の顛末を描いていく。
リア王とグロスターの親子関係二本立てでくっきりしてわかりやすい舞台。役者が
前面、雑味なしに役が立ちあがるシンプルできっちりとした演技、演出が気持ちい
いねこ。リアとコーディリア（白石）、グロスターと道化（池畑）が１人二役。は
あーん！？と思えど、世間知らず組と世知長けた組、従属関係とか得心できる意外
性あり。面白い趣向と思うねこ。軸となる２人を初めとして、デビット伊藤、植本
潤ももうくるくると役替わり。巧みで器用な役者芝居に受ける場内。酷い場面でも
沈ませず、芝居ならでわの面白さがあって楽しいねこ。凄みとユーモア共に濃い白
石、池畑と、裕木、菊池ら脇のクールな演技のバランス○。刈り込んだ本でちゃき
ちゃきと進行。一方、出待ち役者はリラックスした様をみせていい感じ。
いろいろやってるけど、「リア王」本来の味わいは変わらず。原作大事の姿勢に好
感。反面、もっといじってくれてもとも思うねこ。特になぜか眠気をさそう前半の
展開とか。
役者。白石さん。怪物な支配力で独り舞台かと思うところしばしば。さすが。池畑
さん。男でも女でもない独特の癖のある声。自在な遊び心ある演技がキューティ。
デビット伊藤さん。男気なすっきりさに好感。植本さん。よく動いてお茶目。裕木
さん。かわいげな顔でいやーな感じを醸す、冷たい感触ある演技○。
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