南河内万歳一座 サマーアクションシリーズ「なつざんしょ… 〜夏残暑〜」
＠下北沢 ザ・スズナリ(2000/7/11-16 7ステージ) ＠大阪7/2-8
全自由 前売3,500円 当日4,000円
作・演出：内藤裕敬 舞台監督：土岐正造 美術：加藤登美子 照明：桐山元一
音響：填野雅嗣 音楽：藤田辰也 大道具：加藤祐子、吉田淳
小道具：吉川智尉、重定礼子 衣裳：高本章子 宣伝美術：長谷川義史
専属トレーナー針／骨接ぎ・野本 制作：松下安良 製作：南河内万歳一座
出演：
松苗伸彦 ：目白（入社三年目に迷う営業サラリーマン）
荒谷清水 ：屋台のオヤジ・実は駿河湾のシャチと呼ばれた漁師
重定礼子 ：美人姉妹・姉フク子
中津美幸 ：美人姉妹・妹セイ子
前田晃男 ：海江田？（目白の同僚）
安宅慶太 ：浜？（目白の同僚）
内藤裕敬 ：営業部長・駿河湾の白鯨と呼ばれた漁師（詐称）、婦長鈴木
吉田淳 ：営業課長・駿河湾の人魚とよばれた海女（詐称）
河野洋一郎：竜宮丸・漁労長
鴫鈴女 ：主婦鈴木、臨時レストランの女主人
松下安良 ：漁業協同組合の組合長
木村基秀 ：アロハ鈴木・サラ金の取り立て人
原謙二郎 ：サラ金の若い男
三浦隆志 ：竜宮丸・機関士？
福重友 ：竜宮丸・通信士
高木幸子 ：漁業協同組合の経理
三浦由紀子：主任鈴木：売り場のおばちゃん、議員鈴木
（以下、役柄と顔一致せず、不明。もっと役者いたような。）
林夏樹
坂本葉月
尾山恵美
面高真琴
藤原和美
皆川あゆみ
木村涼子
岡ひとみ
野引多絵子
2000/7/16(日)晴れ 3:15-5:15pm(2'00) 前方より 客席超満員(160人)
客層：20才代後半以降、若干高めの年齢中心に幅広く。女性過半数。
客入れ：役者自身が客入れはいつもどおり。居酒屋な大声で誘導して、爽快。
場外、きちんと４列整列、前売り９人ずつ入場。荷物預かりあり。背もたれを
とって、座布団二枚の段々畑桟敷。前後が狭いので体育座り、ちと辛し。
センター寄りによいしょ詰め、慣れた手際で２回あり。
折り込みパンフ。なし？、配役不明。物販。台本(800?円)。ト書きがほとんど
なし。演出と役者芝居でいかに膨らませてるか、わかり。Ｔシャツ（1,500円）
控えめなかわいいもので普段も着られそう。
旗揚げ２０周年、記念に来年は一年休養とか。いう訳で今世紀最後の新作な今回。
舞台。白木のおでん屋台、囲みでベンチシート。天ぷら、さしみ、おでん…、と
１１品目。うーん、盛夏に冷えたビールとおでんの組み合わせもいいかも。周囲は
高架の下かコンクリート壁、ポスターのはがし後、落書きと殺風景。
お話。夕暮れ時に営業サラリーマン達、３０名を越す大人数。恒例の激励会とか。
上司がくるまでぼやきも出るわな、この不景気。女性とおぼしき一団はひげのＯＬ
ならぬヒゲのサラリーマン。これぞ、真の男女雇用均等ってそれ違うでしょ。目白と
同僚は若いのに似合わず、逆に今時に合って厳しい現実にため息。いっそ幻であっ
てくれればと。「幻の夏」を追いたい焦がれる目白の前に屋台のオヤジ、夏を買っ
てきてくれ、一万円差し出したろうと。へ？、記憶喪失、いぶかる目白の眼前「美人
姉妹」登場。目白から頼まれた人達らしい。
買ってきたお釣りと１００円。へへ？、と思うまもなく町内の一団乱入、文句いい
はじめ。聞けば、宝くじを掟破りに勝手に選んで買ったのがこの姉妹。なるほど、
宝くじ、それは夏の幻、なんか違うけど。さらに聞けば、お約束に訳あり姉妹。
縁故のカツオ漁船が資金繰り着かず、廃船の危機。宝くじならぬ、沖に沈む宝船を
サルベージの企て。是非とも、屋台のオヤジ、いやさ一部をかつて引き上げたと
噂の「駿河湾のシャチ」に助けをと請い願い。浮き草な話しにはのらないとオヤジ
つっけんどん、ところが若いサラリーマン二人はのりのり、目白は懐疑的。リストラ
控えた部課長を巻き込んで盛り上がり、が一部まで。
二部は港町で金貸し、組合相手に大ばくち。伝説のサルベージ野郎を演じてまんま
と詐欺成功の漁船員、屋台オヤジと元部課長。でも、船にのらねえか、の誘いに
躊躇の目白。彼が選んだのは、夏の幻＝宝くじ。東京帰って、成績ふるわず、
宝くじは外れ。思い出すのはあの漁船＝あっちの夏のこと。ああ、悔恨。と残暑に
朦朧とする目の前に、屋台のおやじ、そして美人姉妹があの時のように現れて…。
輝く夏な夢に小心な希求。サラリーマンなら泪ものの慎ましさ。じんわりと切なく
も暖かい気持ちねこ。宝探しといっても、せいぜいおでんの鍋に沈んでいるかも
な宝物をサルベージ。魚のなれの果てな練り物に、彼方外洋な夢を感じ取ったり
して、切なすぎ。夢を見るには見切れちゃって×、シビアな今の現実を宝探しな
狂騒の中にくっきり浮かばせる。まだ信じられた８０年代のロマンな熱気を過ぎ
、虚ろな９０年代に所在不明の家族、父親を描いた南河内。その作品経過もあて
はまり、感慨ねこ。
大人数で大にぎわい。活気あふれまくり、大音声の舞台。喧しく、汗飛び交い、
空中殺法プロレス技も行き交い、肉弾戦。とわいえ、モブはきっちりと演出され
、無駄に熱くなく○。荒くれと詩情が同居した本にますます唐十郎の子の感。
辛い現実を踏まえつ、「夏」なあこがれを求めてやまない若い主人公。だめさを
自覚しつつの姿に信じられるものあり。ありげに夢に頼り、昇華させることを
しない作品に好感ねこ。次回作に期待ますます。
役者。おじさんがいい味わい。荒谷清水・屋台のオヤジ。鍛えた体のしなやかな
動き、切れる口跡、とほほ笑い忘れず。ほほえみねこ。河野洋一郎。やさぐれと
お茶目の同居が○。
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