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モダンスイマーズ 第六回公演「五十嵐伝 〜五十嵐ハ燃エテイルカ〜」
＠中野ザ・ポケット（2004/2/5-8 5ステージ）
http://www005.upp.so-net.ne.jp/thepocket/index.html
指定 前売り2500円 当日2800円 自由席は不明
作・演出：蓬莱竜太 舞台美術：伊達一成 照明：松本由美
音響：今西 工［山北舞台音響］ 制作：モダンスイマーズ
出演：
津村知与支[モダンスイマーズ]：五十嵐（ＴＷＣ新入部員）
佐藤拓之 [双数姉妹］ ：奥寺（ＴＷＣ代表 看板レスラー）
小椋 毅 ：日野（ＴＷＣマッチメイカー）
中谷健智［HUSTLEMANIA］ ：佐田（ＴＷＣ看板レスラー）
西條義将[モダンスイマーズ] ：大久保（ＴＷＣ悪役レスラー 金髪）
古山憲太郎[モダンスイマーズ]：阿久津（ＴＷＣ悪役レスラー）
高橋康則［マーク義理人情］ ：新沼（ＴＷＣ覆面レスラー）
成瀬 功［マーク義理人情］ ：岩尾（剣道部）
田口朋子 ：谷（ＴＷＣ女性レスラー）
加藤亜矢子［モンゴルパーマ］：朝岡（ＴＷＣマネージャ）
高橋麻理［扉座］ ：君島（先生）
瀬戸口のり子 ：柳（広報）
六分一沙良 ：リカ（広報 新人）
なかしまみゆき［エム・アールクリエイティブ］：茜
2004/2/7(土)晴 2:08-4:06PM(1'57) 前方より 客席超満員(190?人)
客層：20才代中心に家族的な老若男女。年齢を問わず、カップル多め。男女半々。
客入れ：全椅子席。自由席は前後3列(満員)。挟まれて雛壇に指定席（Ｄ〜Ｌ列）。
通路席は後方横に1列（後から来たお客用？）。壁に列と並び番号を掲示して親切。
斜に置かれた舞台、中央〜上手よりが見やすいかも。定時3分押しでプロレス会場
趣向の注意アナウンスあり。8分押しで開演。 折り込みパンフ。B5 3ページ。
長めの挨拶、配役、スタッフ、役者予定掲載。 次回公演の掲載なし、今公演の
番外編（だっけ）＠OFFOFFシアターとか挨拶。
初見。出身や来歴など不明（ＨＰなし）。
舞台。リアルにつくられた木造の大学体育会系部室が斜に置かれ。上手。窓に白テー
プの「ＴＷＣプロレス」が裏からみえ。そばの桜が四季の移ろいをうかがわせ。
窓上にレスラーや集合写真、脇にロッカー、机。壁の隙間にプロレスの興行ポスター
奥隅にトロフィーらを置いた棚。正面の引き戸をはさんで、下手。奥角にコンクリー
トの流し台、手拭とか干され。手前にベンチプレス機。部屋の真中に白いマット、
脇に二段積みのビールケースはリングポールの見立て。
お話。大学のプロレス同好会。実力派レスラーを二枚看板に、コミックマッチも忘れ
ない充実のマッチプレイで学内試合は盛況。なれど、エースがプロに引き抜かれたり
、流血ざたの過激プレイもマンネリであったり、問題ぽつぽつ。疑問を呈する指導
教師とマッチメイカーの軋轢もそろそろ。そんなところに突然、新入希望。マスクを
持ち歩くほどのタイガーマスク・マニアで、感心するほど「弱い」彼の名は五十嵐。
弱さだけでなく、段取りや雑用、あろうことか部室までの道も覚えられない。熱意は
あるんだけど。困った彼にもデビュー戦、が困ったことにどうにもお約束の勝ちに
もっていけない。あえて強豪と対戦、健闘空しく破れるのシナリオとしたのだが。
（以下、ねたばれ。末尾に続き）
泣かされちゃった。設定と技巧を効かした、あざとさは判る。でも、こんだけ気持ち
よく泣かしてくれるならいいかなと。脚本と演出はとても丁寧で細かい。脇役が
付けたしでなく、それぞれにいる訳が頷けるほど。大学サークル内外の関係性を
しっかり描きこんで、異端の五十嵐がなんなのかを浮かばせる。プロレス場面はシリ
アス、コミックとも、肉体技を大まじめに使って手抜きなく、好感。全体、シリアス
、おばかの場面バランスも手馴れて巧い。ONEOR8、グリングら、最近台頭の若手巧者
劇団のひとつと言え。
五十嵐の設定や発覚後の展開はありえないかもなとこあり。それでも、胸を打つのは
作劇と役者陣が心をこめて臨んでいるからと思うねこ。と、文字にすると陳腐だけど
切なくて、やさしく、爽やかなウェルメイドプレイで次回作が楽しみになったねこ。
役者。そつなく巧みにこなしてる印象。逆に突出がないのが残念。矢沢永吉好きの
一見こわ持て代表役・佐藤拓之が持ち前の男くささを渋く醸して○。
（お話の続き）
蓋をを開けてみれば、あろうことか、大奮闘。ていうかシナリオを忘れ、われも忘れて
、狂乱プレイ。観客は大興奮。プロレスのセオリーを外れた試合に先生や先輩は
渋い顔。
そんなところに、若い女性が飛び込んでくる。五十嵐の妹。兄は病気、プロレス
ができる体ではないと連れ帰ろうとする。聞けば、前向性健忘症（映画メメントの
主人公と一緒）。入部する前月に頭を打ち、それ以前の記憶はあるのに新しく覚える
ことができなくなった、メモしないと何もわからない。家業の書道教室を継ぐだけが
残された人生、そう思うとたまらず、好きなプロレスを自らやりたく、入部したという。
エースが事故で出場できず、新機軸がない今、マッチメイカーに五十嵐は起死回生
のチャンス。本人の熱意や憎めない人柄もあって、五十嵐の試合を目玉とする
ことに決定。弱い新人も一躍人気者、本人は覚えられない段取りやらをメモして
健気に健闘。痛々しくて見てられないと、こぼす先輩もではじめるけど。
ともかくメモする熱心さは泣かせるほど。そんな五十嵐に女性マネージャーは好感を
抱いてる風。春の入部当時、彼女に書いてもらった地図を夏になった今も使ってると
感謝する五十嵐。2人、なんかいい感じ。
そんなこんなで晩秋。五十嵐の妹が再びやってくる。症状があきらかに酷くなっている。
もうプロレスは無理。退部必至、先生や先輩は症状悪化と聞いては、もう試合を
させるわけにはいかない。潮時。五十嵐がセメントマッチ（真剣勝負）と思い込んで
いる試合もシナリオ通り、強くなったと思ってたら大きな勘違い。真実を告げられて
五十嵐はショック。しかし、試合に出たい気持ちは変わらず、先輩に勝ったら出場と
挑んでくる。口でいってもわからない彼をこてんぱんにする先輩。でも、五十嵐は
負けても負けても諦めない、これには一同呆れはて。引退試合をやってあげることと
する。
試合の前、五十嵐は思いをよせるマネージャーに地図のお礼、そして告白をしようと
する。でも、お礼は３回目、先輩が好きなマネージャへの告白（と失恋）はもう２回
あったと、涙声で謝る当の本人から教えられる。こんな大事なことも覚えられない、
かといってメモに残すのは辛すぎてできない。メモを床に投げ捨て、五十嵐はうなだ
れてしまう。
そして試合。五十嵐は真剣勝負を（マネージャーが好きな）先輩に頼み、気持ちよい
位のまけっぷりで終了。退部の日。「闘魂」と墨書して、さっぱりした顔。こんな簡単
なことだったんだ。出て行こうとするところを先輩呼び止め。タイガーマスクの
デビュー戦を覚えているか？。事故の前だから記憶鮮明。部員たちで対戦相手、
レフリー、実況やら役割分担、はなむけに五十嵐の心の糧の試合を再現する。
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