＠下北沢 OFFOFFシアター（2004/8/3-8 9ステージ）
http://www.honda-geki.com/offoff.html
全自由(整理番号付) 前売2500円 当日2800円 8/m2000均一
作・演出：蓬莱竜太
舞台美術：伊達一成 照明：松本由美 音響：今西 工［山北舞台音響］
宣伝美術：小原敏博 制作：神野和美 http://www.japan-pr.com/habanera/
出演：
小椋 毅 ：松崎／マツザキ
津村知与支[モダンスイマーズ] ：秋山／デンパ
亀井俊彦 [東京ファールチップ]：辻本／シロオビ
柿丸美智恵[毛皮族] ：木内／マンガ
野本充一郎[ＯＮＥＯＲ８] ：真鍋／カロリー
西條義将 [モダンスイマーズ] ：椎名／シイナ
2004/8/7（土）曇 7:07-8:27PM(1'20) 最前方より 客席満員（90人）
客層：20-30才代中心、男性過半数。ロッカー系にムーディな人少々。
客入れ：開場5分遅れ、すでに結構埋まり。桟敷１ベンチ１パイプ椅子５列。
舞台が下手よりなので、奥の方が見易し。折り込みパンフ。B5 3ページ。
長めの挨拶、配役、スタッフ、予定。次回公演。来年2/8-13＠中野ザ・ポケット
少人数規模の番外公演とか。
舞台。狭いアパートの窓際の一室。上手隅の机に無線機、壁に日本地図。ほか、
ハードＳＦなメカのイラスト。後ろの壁際になんか小箱の山、カラーボックスに
「コブラ」とかコミックス、デビルマンとかフィギュア。ぱらぱらとコレクター
未満に置かれた四畳半。下手の「あしたのジョー」ポスターが貼られた引き戸から
隣室（秋山同居人の松崎部屋）。転じて、下手窓際奥から上手側に玄関設定。
開いた段ボールが無造作に置かれていたり、なんか雑然。
お話。ワンルームマンション,304というから三階？。仕切った四畳半。無線機やら
メカを前に携帯電話を分解してる男、床に置かれたＴＶ前でゲームに夢中な体育会
系男、プリンを食べながら良くしゃべる金髪の男。戸板に背をかけ足をなげだして
青年マンガ週刊誌を読む女。金髪の愚痴、自分たちの怪しい仕事、正体がしれない
ボス・松崎のこと。どうも仕事とは、裏社会のもの。バイト程度でお手伝いな関わ
り、松崎と彼らは高校同級生だったらしい。聞いていない風で聞いている彼らは、
およそ社交的にはみえない一匹狼、というか引きこもり？（特にデンパこと秋山）
ボス・松崎登場。煙草が異常に嫌いらしく、うっかり吸った臭いに気づき。一同
びびり。新しい仕事は有閑マダムの話し相手。割が良すぎる仕事を疑う金髪。
なにも聞くな、知らない方がええと関西弁もこわもてな松崎。体育会系の男が仲間
を抜けたい、普通に働きたいと宣言。仲間は動揺するが、でるもの拒まずとクール
でさばけた松崎。松崎は秋山が探してきた映画ＤＶＤに素直に感謝、根は優しい面
もみせ。
いったん帰った松崎が血相を変えて戻ってくる。クールな彼に似合わない激高ぶり
「鞄」をいれ、コインロッカーの鍵を指定場所に置く仕事でトラブル。指定場所に
鍵が無かった、謝るとかではすまないやばい状況。？？に問いつめていくと、秋山
が犯人。「鞄」の中を見てしまい、良心の呵責か臆したのか、仕事を投げてしまっ
たのだ。なんで中をみたんじゃと、憤りと絶望感から秋山を殴りながら、打ちひし
がれる松崎。
松崎の兄貴分・椎名が居場所を突き詰めてやってくる。鞄がどうこうの問題では
ない、落とし前をどうつけるかだ。松崎の携帯改造の内職などから自分から逃げ
ようとしてことを知り、椎名は憤怒。腹違いの実兄である椎名は悲惨な少年時代と
「事件」を語り始める。もはや逃れ得ぬ関係であることを思い知らせた上、金で
なんとかすると、弟・松崎に金策を命令。
自分で何とかするからと、チーム解散を命ずる松崎。逃げるようにまず金髪。
分け前を足しと差し出すも拒まれ、体育会系がでていく。会計担当でもある女も
持ち金全額を差し出そうするが、自分への色気ならば無用と勘ぐってか（あるいは
図星か）松崎は拒否。女は馬鹿野郎と憤りつつ、帰り。最後は同居人の秋山。
架空人格で無線世界に生きる秋山を、現実に生きろと叱咤激励、自分は絶対負け
ないと、出て行くため荷物をまとめる松崎。でがけに秋山が気に入っていたという
シャツを置き土産に渡し。彼の強さ、裏にみえる痛みを知るものの優しさに触れ、
秋山は号泣しながら、自閉の道具・メカを打ち捨てるのだった。
殺伐とした中、滲む情感に涙させられる小さなノワール。儚い青春物「五十嵐伝」
より、ドライでシビアな世界。引いちゃう内容も、役者の丁々発止がより楽しめて
○な少人数。ストレートプレイとして造りこみは上等。上演1時間20分と短くも、
充実感は凡庸な長編を凌ぎ。語らずともわかる端的な会話。登場人物のそれぞれが
活かされ、有機的に絡まる物語。人物がただのコマでなく、情感豊かに描かれてて
、しみじみしみるねこ。今回はちんぴら松崎の気持ちに感情移入。脆くも強く、
シビアも優しい。真情をだせない境遇と実は不器用（ごくまじめ）な人となり。
観劇後も、今後の行方が思わされ、尾を引いたねこ。
役者。役柄をきちんと演じ、作演に応え。松崎役の小椋さんの他、やり手婆に賢く
もすれからしな役、柿丸さんが印象に残ったねこ。
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