野田地図「ローリング・ストーン」
＠渋谷・シアター・コクーン(1998/4/4-5/2 32ステージ）
前売り当日共S7000 A5000 コクーンシート3000
作・演出：野田秀樹 美術：堀尾幸男 照明：小川幾雄 衣装：浜井弘治
出演：野田秀樹、阿部サダヲ、安藤洋子、一谷真由美、入絵加奈子、植本潤、
及森玲子、恩田括、加藤貴子、キムラ緑子、草野徹、佐伯新、坂田今日子、
進藤則夫、鈴木浩司、貴山侑哉、多田慶子、田中智寿、田中利花、冨樫真、
永森英二、西川忠志、羽野晶紀、平沢智、船田千詠、松村武、水谷誠伺、
宮下今日子、矢沢誠、八嶋智人
1998/4/14(火)雨 7:05-9:00PM ２Ｆ席前方から 客席９割(700？人)
客層：幼女連れの親子、中高校生、勤め人、初老なおじさんおばさん。とてもいい
感じの幅広さ。制服高校生50人ほどが一団で2FとM2Fに。演劇鑑賞教室かしらん。
客入れ：立ち見客は10?人ほど。当日券の発券状況は不明。
舞台。磨かれた木目を思わせる床と壁。上下中央に四角い奈落。その空間がさまざ
まに使われる演出。後方壁一面に足がかりな突起あり。役者が駆け昇ったり、ポー
ズつけ、形をつくったり。野田さんの猿のような動きも、ちょっと見られるお楽し
みあり。天井からは落ち物で度肝を抜き、神の目な？人物像を吊り降ろしたり。
役者の衣装は二つの国で色合いとデザイン違い。わかりやすい。丁稚みたいなのが
かわいらしくて○。
お話。とりどりに川辺に住む人々。やがて川を分かち国境ができる。虐げられた過
去をもつ女王マカリ（キムラ）、慈しみの中育った女王ブリュヌオー（羽野）。自
らを愛するものを守るためやがて敵対。ブリュヌオーを見初めた敵対国の王？（だ
れだっけ）。ブリュヌオーのフタゴという姉（多田）と勘違いとわいえ和議の結婚
しかし当然のようにそれは不幸な婚姻。姉が持つ、妹への憎しみとマカリのブリュ
ヌオーへの憎しみから、姉は消されてしまう。それが終わらない戦争、永遠の復讐
劇の始まり。ほんの一握り憎悪が大渦となり、いわれなき人々が巻き込まれてゆく
自らも数奇な運命をたどる、川辺の石（野田）のイノセンスな視点を取り混ぜなが
ら、その様を描いてゆく。
理性を越えた復讐衝動、哀しみの連鎖。それが決して終わらないと知る絶望、それ
でも前に歩き続ける人々の意志の物語。前半はキチャッテル野田演劇、後半は人な
哀しみのドラマ。メタファーと言葉遊びいろいろ。野田エンゲキの魅力がちょろち
ょろと楽しいねこ。イシ半ばに倒れた捨てイシな人達。哀しみに抗し、高みを望む
イシ（かしら）。ロダンはそれまで飾りだった彫刻に感情と生命を吹き込んだ、19
世紀の大したやつ。石のように無為な人々を鼓舞し、石な人々に意志を与える役（
かしら）。意志を持ち「考える人」達はズボンを脱いで、便所な塔に座すのねとか
大勢の役者が登場。あくまで肉体を主とした表現は、今回モブでいろいろ工夫。舞
台も壁と奈落で立体感付加。奈落からぱあっと広がり展開する優美、平野に散開、
行進、駆け抜けたりとか、とりどりリズム、壁に人が形つくる聖堂など造形してる
造形。時折見られる、シンメトリイな配置や動きはきれい、だし敵対し交わらない
ことを象徴してるよう。布は今回も活躍。石が囚われ、奈落に吸い込まれる渦巻き
な動きとか、はあーと見とれるねこ。２Ｆから俯瞰したせいか、もっと広がりある
シーケンシャルな動き、ＭＧＭのミュージカル・レビューとわいわないけど、あっても
いいのにと思ったねこ。
役者。それぞれのキャラをそのまま活かしてる、素材主義。光る役者はそのまま魅
力が伝わって○。全体の印象は過ぎない優等生。こいつうと思わせるほどに目茶に
仕掛けてもいいのにな。侘びと寂がなきゃ、はじける体っしょ、残るのは。羽野さん。
自信故か一段と放つ輝き◎。爪を隠した猫なキュートで攻撃的な姿に見とれるねこ。
キムラさん。お下劣な言葉にも全力投球な生気あり。気迫伝わり◎。もうちと余裕
ほしけれど、役にはあっててうーん。多田さん。内面に深く掘り下げ、人の業な暗闇
を静かに見つめる巧みさ○。植本さん。マコトちゃんヘアも○な愛らしさ動きに華が
あり○。阿部さん。いつもどおりなんで驚くねこ。もっと暴れてもいいんじゃ。
八嶋さん。つっこみの攻撃性と覇気がコクーンでも映えて、頼もしい。加藤さん。
かわいい声と佇まい。田中さん。ゴスペルな情感に訴える堂々とした歌いっぷり○。
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