第12回青山演劇フェスティバル〜悪の演劇 1998〜
ナイロン100℃ SIDE SESSION SPECIAL「偶然の悪夢」
＠渋谷・青山円形劇場 (1998/10/21-29 11ステージ) 全指定前売り4000当日4300
原作：ギュンター・アイヒ 作・演出：ケラリーノ・サンドロヴィッチ
照明：関口祐二 音響：水越佳一 舞台美術：加藤ちか 衣装：三大寺志保美
宣伝美術：フクシマミキ 制作：江藤かおる
出演：下記
1998/10/25(日)晴れ 7:05-9:10PM(2'00) ロビー反対側前方より 客席満員(390人)
客層：とりどり。20-30才代中心、やや高め年齢かな。女性過半数。
客入れ：パンフ(値段失念）手ごろな変形Ａ５サイズ。表紙が太田蛍一のイラスト
全頁袋とじみたいになっているのはなぜ。役者の夢判断や資料、を掲載。巻末の広
告が小劇場ぽい。
50年ほど前のドイツの放送劇を原作。ケラには思い入れがある作家のらしい。全６
本の内半分をそうしたオムニバス。花組芝居（植本）、元ブリキの自発団（山下）
、元・少年王者舘（石丸）、元オンシアター自由劇場（内田）の客演をいれて。
舞台。完全円形。四方に通路。アクアマリン地にブルー水玉模様の濃い配色の床。
前後上方に大型スクリーン。
お話。とりどり味わいの悪夢、つうか不可思議・何が何でですかあ世界。
・第一の夢「列車」 原作：アイヒ
なぜか連れ去られ、走り続ける貨物列車内で暮らす家族。外を覗いたことで変化が。
・第二の夢「友達」 作・演出：ケラ
遠くに旅する姉妹に友人が不可思議変身動物をプレゼント。実のところそれは。
・第三の夢「治療」 原作：アイヒ
病気の主人の治療薬は若々しい・・、愛憎絡んで泥沼万歳な展開に。
・第四の夢「停留所」作・演出：ケラ
子供の声に呼ばれ、リンがさまよい込む黄泉の国？。悪夢らしい悪夢なお話。
・第五の夢「死」 作・演出：ケラ
自分の死後、息子夫婦の自分になすこと、自らの体の顛末を夢想する男。
・第六の夢「敵」 原作：アイヒ
夜半に幸せ家族を襲う影な敵。行き場なし。
嫌なというより悪意、悪夢のブラックな味わいの快作。ナイロンは毎回違う作品が
見られて楽しいねこ。創り手が面白がってるのも感じられるし。笑いなしに古典の
丹精さを残しながら、現代口語会話の軽やかさを＋、いい感じに仕上げて◎。
悪夢だからしつこい、もうええちゅうのにな満腹感ありな６本構成はうなずけるところ。
シュールな「列車」（ナイロンがせんでもな普通芝居なれど）で始まり、「友達」の
いまどき会話で潜む悪意をリアルに共感させ、抑えたトーンに炙り出すよにエロさを
生理的に感じさせる「治療」から、ただ不条理な「停留所」、クールな「死」、寓話な
「敵」まで。冒頭とラストに追われる家族が登場するなど繋がりながら、カーテンコール
で逆回しに戻るかと思いきや、「友達」の動物を舞台に残してオシマイ。リアルの中に
得体の知れなさをおき去る巧みな構成が○。ほとんど素舞台にバス停やら記号装置
を置くだけ、照明で切り分けがスマート。
ブラックな味わいのなか、若手の台頭成長が明るく喜ばしい。安心して観られたね
こ。すっかり看板・大倉孝二。身につかない保険屋、子供やら演技がおかしくて○
山下千景。変わらない、すっとした味わい○。
キャスト
・・・・・・「列車」・「友達」・「治療」「停留所」・・「死」・・・・「敵」
みのすけ・・・・・・・・・・・・・・・・・夫・・・・・男１息子・・・・父
峯村リエ・・・老婦人・・・・・・・婦人・・母・・・・・女１妻
長田奈麻・・・・・・・・・・・・・妻・・・女
大倉孝二・・・・・・・・・・・・・夫・・・ビレー・・・男４保険屋
小林高鹿・・・・・・・・・・・・・主人・・学生・・・・男６医学生
安沢千草・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女３医学生・・・母
澤田由紀子・・・・・ユリヨ・・・・・・・・女学生１・・・・・・・・・・エルジー
新谷真弓・・・・・・セルマ(姉)・・子供・・妹
大山鍋則・・・・・・ヨーナス(弟)・・・・・・・・・・・男５バイト学生
山下千景・・・・・・・・・・・・・・・・・リン・・・・女４隣の主婦・・隣の女
内田紳一郎・・老人・・・・・・・・・・・・父・・・・・男２管理人・・・隣の男
石丸だいこ・・子供・・・・・・・・・・・・子供・・・・子供・・・・・・ボッブ
市川英美・・・・・・男・・・・・・・・・・教授・・・・男７教授・・・・市長
かないまりこ・・・・メイ・・・・・女中・・女学生２・・女２バイト学生・フレッド
戸波咲恵・・・婦人・カーレン
植本潤・・・・男・・・・・・・・・・・・・教師・・・・男３研究員 ナレーション 朝こうたろう
[青山演劇フェスティバル]
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