前頁 ] ホーム ] 一覧 ] 次頁 ] 


 二兎社 公演29「新・明暗」

 @三軒茶屋 シアタートラム(2002/10/5-24 24ステージ)
  10/6 ポストトーク 木野花、永井愛
 http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/
  @亀有 かめありリリオホール 11/5 1ステージ
 全指定 4500円 学割3000円 託児サービス(全日)2000円

 作・演出:永井愛 美術:大田創 照明:齋藤茂男 音響:市来邦比古
 衣装:竹原典子 舞台監督:大山慎一 演出助手:吉村 悟
 宣伝美術 松吉太郎  宣伝写真:高梨光司 舞台写真:林渓泉
 制作:弘雅美、安藤ゆか[二兎社]、松井憲太郎[世田谷パブリックシアター]
 出演:
 佐々木蔵之介   :津田由雄(商社マン)
 山本郁子[文学座]:延子(由雄の妻)

 木野 花      :吉川夫人(由雄の上司の妻)、
               露子(アパレルメーカー社長と称する女)
 下総源太朗[燐光群]:小林(由雄の旧友)、医者
 小山萌子        :秀子(由雄の妹)、継子(延子の妹)、温泉宿の女中

 山本龍二[青年座] :庄太郎(秀子の夫)、酒場の店主、ギャルソン、
                   天道(アパレルメーカー社長)
 中村方隆      :岡本(延子の父、食肉会社重役)、先生(酒場の客)、
               寒凪(墓碑銘の書家)
 土屋良太      :トメ吉(酒場の客)、三好(継子の見合い相手)、
                原(貧乏画家・小林の友人)、温泉宿の番頭

 2002/10/16(月祝)晴 2:04-5:11PM(1'21/休16/1'28) 後方より 客席超満員(230人)
 客層:老若男女。若い女性と中年女性が最多。おじさんも結構。子供連れも。
 客入れ:当日券。20枚ほどの本席(後方と最後尾に追加)と、バー式のトラムシート18
 (今回は2名のみで空席多)。開場時でまだ当日券・本席分があった模様。
 本日、カーテンコール三回、大成功。
 折り込みパンフ。いつものA5小冊子。次回公演。来年10月、荻家の三姉妹@パブリック
 シアター 再演。新キャストに渡辺えり子にて。
 物販。戯曲本多数。最近恒例のお楽しみもの、販売あり。

 年1お楽しみ公演。漱石の死で未完となった小説の続きを、永井愛流に補完の試み。
 舞台。黒のモノトーン。ジグソーパズルのピースを打ち抜いたみたい、モザイク壁。
 中央回り舞台。ちゃきちゃき装置持ち込み。後方は2階通路と左右袖に階段を置き。
 
 お話。まだ新婚?の津田夫婦を取り巻く平穏な日常、の中の暗い人間関係を描く。
 亭主は無自覚に裏表あり、おかみさんは理由もなく疑心暗鬼。怪しいけど、今が良け
 れば、と過ごしてきたけれど。

 巧者・永井愛、面目躍如の快作。3時間があっという間の興味津々。男女の機微を
 うがちまくり。前半、騙し騙され、信じ疑うな表裏を二転三転しつつ、結びついてる
 夫婦を描き。それぞれの視点視線が空中交差する面白さ◎。後半〜終盤、しだい夫・
 津田の無謀な冒険に収束。原作って、夫・津田が主人公?と思うほどに。女って…
 かわいい…でも魔物、男って…悪狐…でもかわいいな面白さをみせ。結構、はらはら
 させられ、オチにニヤリ笑いねこ。

 平易な言葉とくっきりとした会話で、私たちの日常の陰影を炙り出して、さすが。
 個々、心当たりもまた意味深な観劇後感、というところ。明るさの中、寂寥感が漂う
 モーツァルト音楽、モザイクで見え隠れ美術も、芝居に嵌って◎。まさに、ウェル
 メイドプレイと思うねこ。

 役者。蔵之介さん。プライドが高くても小心、無自覚な小悪党ぶり。人の小ささ、
 醜さを巧く演じて◎。山本さん。明るく、ほとよいコメディアンヌぶりが○。
 木野花さん。欲望を怪しく覗かせつ、派手な演技で嫌みならず、笑劇。登場が
 お楽しみねこ。

月間一覧