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 蜷川幸雄演出 「桜の園」シアターコクーン・オンレパートリー2003

 @渋谷 シアターコクーン(2003/1/8-26 23ステージ)
 http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/
 全指定 前売り当日とも S席8000円 A席6000円 コクーンシート4500円

 作:アントン・チェーホフ 翻訳:小田島雄志 演出:蜷川幸雄
 美術:中越司 照明:原田保 衣裳:小峰リリー 音響:井上正弘
 舞台監督:明石伸一 技術監督:眞野純 演出助手:石丸さち子
 制作:加藤真規、大宮夏子
 出演:
 麻実れい :ラネーフスカヤ(女主人)
 京野ことみ:アーニャ(その娘)
 牧瀬里穂 :ワーリャ(その養女)

 菅野菜保之:ガーエフ(その兄)
 香川照之 :ロパーヒン(商人)
 高橋洋  :トロフィーモフ(元・家庭教師)
 飯田邦博 :ピーシチク(地主)
 毬谷友子 :シャルロッタ(家庭教師)
 佐藤誓  :エピホードフ(事務員)
 西尾まり :ドニャーシャ(小間使い)
 森塚敏  :フィールス(老僕)
 中山 幸 :ヤーシャ(使用人)

 名取幸政 :浮浪者
 塚本幸男 :駅長
 伊東千啓 :郵便局長
 栗田愛巳、松坂早苗、坪井理奈、和氣理恵、加瀬竜美、小豆畑雅一、石岡剛
      :パーティの人々
 小林チロ :犬

 2003/1/18(土)晴 7:06-9:46PM(1'13/休15/1'08) 1F中段より 客席8割(600人)
 客層:老若男女、家族のように幅広く。女性過半数。
 客入れ:当日券詳細不明。2F空席多数。客入れ〜冒頭、舞台奥の搬入口をあけてる
 のでやや寒し。折り込みパンフなし。物販。パンフ(A4 24ページ 1300円)おまけで
 蜷川幸雄×会田誠 対談収録。

 「かもめ」(99)「三人姉妹」(00)に続く演出作品。当初、劇場内劇場のプランが
 変更、通常版での上演となり。

 舞台。モノトーンな白の世界。調度は白一色、椅子が一杯(21人様分)。壁際、
 木製の幅広椅子、間に満開の桜の枝が生けられ。上手中程にベンチ、壁際に高い本棚
 、手前にサモワールをのせたテーブル。下手中程に椅子とテーブル。手前にベット状
 椅子。奥にマキストーブ。正面の壁はグレー一色、扉な開口が4(だっけ)、上方に
 明かり取り窓な開口あり。客席通路は庭設定、降りての芝居も多々あり。

 お話。ラネーフスカヤ夫人の広大な領地の売買から、新興ブルジョアと斜陽貴族の
 有様を対照して描いていく。

 とても明晰。丁寧に細やかに、慧眼をもって見通し、全てを見せていく。ダメ人間の
 有様を得体の知れないもので止めず、豊かな人間味を添えて深く味付け。知情意が
 丁寧で活力ある演技から溢れ、登場人物のなり立ちとその訳をくっきりと描いていく
 ビジュアルの爆発をもって見せてきた従来から道具を持ちかえ、太筆から丸ペンへ
 とか、語り口は変化。より知的で繊細、さらにスピーディ。蜷川・進化形の一つと
 言えるかも。

 スタッフワーク○。白一色の部屋に注ぐ白光。多数のライト、巨大なムービングライ
 ト10灯以上による、濃淡ある繊細な「白」をほへーとみるねこ。正面の壁を庭に
 面した窓とも、舞踏会の会場との出入口扉とも、巧みに利用して○。

 役者。ラネーフスカヤ役・麻実れい。逞しくも儚ない「女」の起伏を丁寧に演じ。
 生来の「女優」っぷりが貴族演技を引き立て、愛らしくも堂々として◎。ロパーヒン
 役・香川照之。優しい心をもった野人。熱気を放射しながらのギラギラした演技○。

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