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 庭劇団ペニノ「ダークマスター」

 @駒場東大前 こまばアゴラ劇場(2006/1/12-22 16ステージ)
 http://www.komaba-agora.com/
 全自由(整理番号付き) 前売当日3000円 平日昼ギャザ 3000円→底値1800円

 原作:狩撫麻礼 画:泉晴紀 (株)エンターブレイン「オトナの漫画」所収
 脚本・演出:タニノクロウ 演出助手:佐山和泉 舞台監督:矢島健
 舞台美術:田中敏恵 音響:小野美樹、川口典成 照明:今西理恵
 宣伝美術:野崎浩司 写真撮影:田中亜紀 チラシ画:泉晴紀
 映像:玉置潤一郎 票券管理:河口麻衣 制作:野平久志 制作協力:三好佐智子
 企画製作:PUZZ WORKS 協力:株式会社エンターブレイン、スロウライダー
 主催:(有)アゴラ企画、こまばアゴラ劇場
 出演:
 マメ山田 :マスター
 久保井研[劇団唐組] :男
 瀬口タエコ :店員
 横畠愛希子[マンションマンション] :女
 白鳥義明 :ヤクザ 兄
 山崎秀樹 :ヤクザ 弟
 田中寿直 :兵
 渡辺卓也 :兵2
 客 :古川傑、荒悠平、清水寛幸、池辺健太、津野将輝、深江裕子、山田一彰

 2006/1/15(日)雪 2:11-3:41PM(1'30) 後方中央 客席超満員(110人)
 客層:20-30歳代中心、男性6,7割。単独客多め。
 客入れ:98年以来の大雪とか。スタッフの手になる雪だるまがお迎え、終演後に
 豚汁サービス(暖まり感謝)。荷物、コート預かり積極的。整理番号順に呼び出して
 入場。A(ぴあ?)ばかり呼び出し、B(支援会員とe+?)は最後。どうなの?。
 悪天候のせいか、客の出足遅めも結局超満員。電車遅れを考慮し、開演10分押し。
 雛壇に全ベンチ7列×16。「全景」をみるには後方のが○。座席置きのFMラジオは
 2人で一台(L/R)、開演直前にテストと説明あり。 折り込みチラシ厚め、ゴム
 止め希望。折り込みパンフ A4 3ページ。配役、スタッフ、予定掲載。次回公演。
 9/15-20@スズナリ「アンダーグラウンド」。物販。シアターガイド(半額)
 カーテンコール1回1分。

  2003年(駅前劇場 ねこ未見)舞台再演。映画「オールドボーイ」原作の狩撫麻礼と
 、ガロ出身漫画家・泉晴紀のヘビーなコンビ1995年作。今回、平日マチネ客
 掘り起こしのため、客数に比例して返金するシステム「昼ギャザ」採用。満員にて
 1200円返金を達成したとか。

 舞台。とてもリアルに造り込まれた、薄汚れた小さな食堂。ナポリタン700円、コロ
 ッケ定食750円、オムライス800円、サーロインステーキ1000円…高いのか?安い
 のか?。上手に入口扉、ブラインド窓、隅上にテレビ。中央、コの字のカウンターに
 赤い丸椅子7。上手奥にレジ、下手に汚れた給水器。下手、玉すだれ入口から二階
 設定。コンクリート壁のトイレ、手洗い場。モップや食材段ボールがおかれ。壁には
 野球選手の雑誌切り抜きが貼られ。

 お話。失業中のサラリーマンが、三日ぶり(本人弁)の食事に入った「キッチン
 長島」。接客態度は悪いが料理の味は悪くないマスターは、男を自分替わりに雇うと
 一方的に命令。FMラジオを渡し、2階からカメラをみて料理の仕方を指示すると
 いう。将来のあてもなく、やむなくコックになる男。これが思いの外繁盛、ありえねえ
 ことに売り上げ月600万とうなぎ登りだが、男の意気は下がり、精神が壊れてしまい…。

 趣向。お客にFMラジオを渡し、男と一緒にマスターの指示を聞くことになる。
 ぼっさりみてらんないよう、舞台とガチンコ状態とするためかしらん。時間経緯とも
 場面転換、定評ある選曲は、演歌、ドナドナ、ジューンバエズ、シナトラ。舞台に添い
 また逆説に嵌って魅力。いつも補足説明する電光掲示はイヤホン外しの指示のみ。

 理屈抜きの面白さ。異能、異世界と出会う楽しみ。気合いの入った装置、誠実な役者
 芝居も好ましく、ねこがみたペニノ最高作。油断好適と、そんな言葉ないけどな不意
 をつく謎めきの数々。マスター指示に混じる得体の知れないものとのやりとり、客を
 飲み込んだきり出さないトイレ…。不条理な出来事が不連続に発生しつつも、舞台は
 一気に進行。見入らずには居られない、まるで悪夢のよう。映画ならデビットリンチ
 作品というところか。巨大な力(マスター、トイレなど)と弱き人間(男と観客)の
 悲しい関係が底にあり。普遍性がちゃっかりあるもの、ポイント高し。

 装置がまた夢をみるよう。日常のリアルを徹底して造りこみ、ため不条理感をいや
 増し。食堂装置のレプリカが上部に出現、屋台崩しとなる終盤。壊れた男のイメージ
 をがっつり体感させる、80年代演劇な気合いの入り方に拍手ねこ。

 役者。異才を適所に活用して小憎らしい。久保井さん。冷静に役に対しながら、憑かれた
 ような熱を欠かさない演技○。マメ山田さん。アゴラの小空間で見られて嬉しい。反骨と
 ユーモアを兼ね備えた大人芝居を楽しむねこ。

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