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 蜷川幸雄演出 シス・カンパニー/Bunkamura 騒音歌舞伎(ロックミュージカル)「ボクの四谷怪談」

 @渋谷 シアターコクーン(2012/09/17-10/14 32ステージ)
 http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/
 全指定 S9500円 A7500円 コクーンシート5000円 当日中2階立見3500円
 2階立見2500円
  @大阪 森ノ宮ピロティホール 6ステージ

 脚本・作詞:橋本治 演出:蜷川幸雄 音楽:鈴木慶一
 美術:中越司 照明:勝柴次朗 音響:井上正弘 衣裳:前田文子 ヘアメイク:河村陽子
 振付:池島優 振付:尾上菊之丞 音楽補:池上知嘉子 演出補:井上尊晶
 舞台監督:芳谷研 演出助手:大河内直子、塩原由香理
 演出部:小岩井卓哉、三木椰佳、田中政秀、渡邉圭悟、吉見裕司、桂川裕行、
 潰野貴彦、足立充章、鈴木美幸 歌唱指導・稽古場ピアノ:伊藤靖浩
 参加ミュージシャン:エレキギター.アコースティツクギター、バンジョー、ラップ
 スティール: 高田漣 ヴァイオリン、トランペット:武川雅寛
 録音・プログラミング・ギター:鈴木慶一 録音・トラックダウン:松田正博
 音楽制作:野田美佐子 宣伝美術:TUGBOAT 2
 プログラムアートディレクション:平田好 プロデューサー:加藤真規、松井珠美
 制作:金子紘子 劇場舞台技術:野中昭二 票券:岡野昌恵
 シス・カンパニー プロデューサー:北村明子
 企画・製作・東京公演主催:シス・カンパニー/Bunkamura
 出演:
 佐藤隆太:民谷伊右衛門(当世蒼白青年)
 小出恵介:佐藤与茂七(悲憤公害青年)
 勝地涼 :直助権兵衛(無残薄倖少年)
 栗山千明:お袖(可憐同棲少女)
 三浦涼介:次郎吉(天晴淫乱少年)
 谷村美月:お梅(恐怖早熟少女)
 尾上松也:お岩(怪奇正体不明)

 麻実れい:お熊
 勝村政信:伊藤喜兵衛
 瑳川哲朗:四谷左門、男B
 青山達三:仏野孫兵衛
 梅沢昌代:小仏小平の母
 市川夏江:老女A
 大石継太:宅悦

 明星真由美:第二のお岩
 峯村リエ:お色
 新谷真弓:お花

 清家栄一:法乗院の所化
 塚本幸男:男A
 新川揺人:男C
 佐野あい:女子大生B
 隼太  :奥田庄三郎
 松田慎也:藤八
 周本絵梨香:女子大生A
 内田健司:工事人夫

 2012/09/17(祝月)晴 6:30-10:03PM(68/休16/48/休13/64)2F上手 客席超満員(740人)
 客層:20-30歳代を中心に女性7,8割。着物美人少々。
 客入れ:当日券立見は5,6人。折り込みチラシそれなり。パンフ A4 1枚に配役、
 スタッフ。物販。パンフ A4 1300円。9:59PM終演 カーテンコール4分演出込み2回。
 もう幕は上がらないとテロップがでた後、幕を押し上げて登場。やんやの拍手。

 橋本治の未発表戯曲、「桃尻娘」前夜な1976年作品とか。当時読んでいた蜷川幸雄が
 復古上演。
 舞台。額縁舞台、枠は線状電飾で彩られ。上空にレーザー光線広がり。家屋持ち込み式、
 廻りもし。場面と歌詞は井上ひさしよろしく電光掲示され。

 お話。殿様の過ちが元で浪人の身となった民谷伊右衛門。面相が崩れる奇病で闘病中
 の妻・お岩(第2のお岩)を抱え、傘売り商売。ぱっとしない彼にお岩の妹・お袖の
 婚約者・佐藤与茂七、仇討ちを志すエリートリーマン、はこってりと発破をかける。
 そんな伊右衛門の前に少女・お梅が突然現れ、人気ラジオDJの父・伊藤喜兵衛を
 使って結婚を迫る。既婚と聞いて元々その気もない父は即時中止、だが非常識で
 わがままな娘は思いきれない。

 本歌取しつつ、アナーキーに転調してて唖然呆然。「僕」の「怪談」とした意外な
 展開にはうーみと唸るねこ。ジーンズにスーツにと昭和な現代の出で立ち、職業
 ラジオDJなど原作当時の業界人にアレンジ。なれど、鶴屋南北原作の因業な絡まり
 は律儀に残し。なんだけど、お岩殺害のサスペンスがないパラレルワールドとして
 仰天。ため、民谷伊右衛門(当世蒼白少年)は別世界お岩からいわれのない祟りを
 うけるという、まさに怪談。さらに幽霊の正体が自意識に絡むという展開で意表を
 突く。

 さほど個々人にスポット当てた人物は、売春の殺しのゲイのと多様に曲者。それも、
 食っていくため、自分であるためにと、健気懸命で時代を超えて胸に迫るものあり。
 これをエイトビートのシンプルなロックナンバーにのせて熱く、また青春ドラマ常道
 センチメンタルにのせて切なく描き。一方、さまよう老人やホームレスを常駐させて
 若者達や過ぎ去った夢と相対化、今の演劇として苦い隠し味とし。

 ラストはすべてを飲み込み、渾然一体とマスゲームと化し。みんな死んでみんな
 生きている、生きてりゃなんとかなるさと唄い騒ぐ、純粋祭り模様に訳がわかないが
 思い切りのよさに感動するねこ。

 役者。若者と大人役のテイストがそのままに好対照。とりわけて大人役の役者陣が
 多芸多才、ちょっとない濃さと厚みで美味しく満腹ねこ。特筆は尾上松也。歌舞伎
 芝居はもちろんかっちりの上、こんなできるのねな甘い歌声と面立ちで魅了。ファン
 を増やしそう。

 
 


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