流山児★事務所「ピカレスク南北」
＠下北沢・本多劇場 (1995/12/16-28 16ステージ） 前売5000,当日5300
原作：鶴屋南北 脚本：山本清多 演出：流山児祥
出演：榎木孝明、篠井英介、塩野谷正幸、北村魚、山下千景、
若杉宏二、高田恵篤、海津義孝、三松明人、新納敏正、悪源太義平 ほか
1995/12/21(木)2:00-4:00PM 晴 中段上手より 客席９割（350人）
能書。「東海道四谷怪談」(1825)＝「忠臣蔵」＋「四谷怪談」趣向で大当たり
取った南北。その後出したのが今回の元、「盟三五大切（かみかけてさんごた
いせつ）」。お岩は出る、民也伊右衛門は盗賊、で不破数右衛門は苦労人。
ポイントは、庶民の人気者・不破を悪逆非道なやつにしちゃったとこ。女に狂
って、間違いとは言え大量殺人、揚句に母親の目の前で、赤子ごろし。ブーイ
ングと思いきや、これまた大当たり。リアルな人物像が、江戸っ子に受け止め
られた訳ね。
お話。御用金取られて、浪人身の不破（榎木孝明）。あと返済百両。そんな折
、売れっ子芸者・小万（篠井英介）と深い中。鍋釜売って郭資金。しょうがね
えなあ。ところが、小万には情夫・三五郎（塩野谷正幸）あり。不破の百両に
目を付けて、一芝居の悪いやつ。実はこの男、勘当の身。父の主筋（不破なん
だけど、偽名＋面識レスで三五郎それとわかんない）のため、百両工面。手柄
にて勘当とき、晴れて小万と祝言の腹。かくして、すれ違いが生んだ悲劇の始
まり始まり。
前半現代風遊びで軽く、後半原作よりで重く。前半、衣装は黒衣にジャケット
だけとか。悪いやつはチンピラのそれ。くだけた台詞。でも元は崩さず。流山
児芝居、持ち味のうさん臭さ、野暮さもはまって面白い。○。
後半、長屋も衣装も歌舞伎な、しつらえ。金：万札->小判とか。台詞も気持ち
？芝居がかり。これでも、かの悪辣ぶりだけど、どこか滑稽、人間味あって○
な展開。ブリキ自発団、山下千景が終始進行役。幕間で背景説明や歌。トラン
ペット、和太鼓の鳴り物、演奏で討ち入り、殺陣。盛り上がり。
なにより中心の役者３人、○。本も彼ら中心でわかりやすい。榎木さん：呑気
ぎみのいい人から無表情の鬼に変化。読めない本心も不気味でぞくり。篠井さ
ん：清々したお色気、○。芝居がかりもまたいい感じ。塩野谷さん：大胆と小
心同居具合が○。彼も本心？？で、面白し。
夜は結構空席あり。篠井ファンはいずこに。平日昼でも混んでるのね。おかみ
さん方、多いが故か。
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