演劇企画集団６６　木に花咲く

　＠渋谷・ジァンジァン　(1997/4/17-21 7ステージ)　全自由前売り当日2800
　作：別役実　演出：古林逸郎
　出演：常田富士男、かねうちのぶこ、佐々木立子、宮田明、大森啓祠郎　他全10名

　1997/4/19(土)晴れ　3:00ｰ4:40PM　最前列より　客席超満員(130人座布団席15)
　客層：老若男女。老夫人から若い女性まで美人率高し。
　客入れ：老夫人が座布団席に。席譲るタイミングのがしちゃった。ちと後悔。

　先日の戯曲100本記念上演、今年の青山演劇フェスは、ずばり「別役実の世界」。
　ちょっとしたブーム。これでファン増えれば○。30年に渡り、氏の作品を取り上げて
　きたという６６。たとえば、円などの上演よりもっと濃いというか、世界を直感させて
　くれる集団と観てて思うねこ。

　舞台。満開の桜がどんと中央。その手前に畳。上手にはドアとなるタンス。
　お話。いきばない憎悪・いじめを受ける孫。傍観する外と彼の内をすべて見て取
　り、孫を擁護する祖母。孫が受け入れてきた憎悪は許容値を越え、拠り所である
　祖母と自身へと向かう。

　憎悪と攻撃性、人が抱える不条理故の悲劇。その哀しさを淡々と描く。前回の
　ような奇抜な設定（浮浪者殺人機など）はなし。ブラックユーモアは影潜めた、
　シリアスさ。冒頭とラストの「盆踊り」の不可思議なおかしさに気分転換。今回は
　ちと違和感あったけど。

　常田富士男◎。涅槃の境地の内に、人としての苦しみが覗く。どうしようもない
　悲しみを抑制した演技で描いて◎。泣けないくらい哀しかったねこ。桜散る夜の
　舞台にとけ込むような存在感もすばらしい。