燐光群「漱石とヘルン」
＠新宿・紀伊國屋サザンシアター (1997/11/6-16 10ステージ)
全指定前売り4200当日4500
作・演出：坂手洋二 舞台美術：加藤ちか 出演：川中健次郎、佐野史郎、
吉添文子、大西孝洋、下総源太郎、千田ひろし、加地竜也、山田勝紀、高野旺子
吉田智久、鴨川てんし、丸岡祥宏、黒田明美、岸田修治、石川真希、中坪由起子
樋尾麻衣子、有村真奈美、江口敦子、富田三千代、柿澤宏子、久保志乃ぶ
1997/11/15(土)晴れ 7:05-9:30PM 中段上手から 客席８割
客層：老若男女。いつもよりおばさまが多いような。客入れ：劇団係員が常駐して
適時誘導。パンフ(500円)の場内販売あり、狭いロビーで買うより便利で○。
燐光群１５周年記念。ゲストを迎えて、最近のスタンダード連作ハーンもの上演。
舞台。シリーズの符丁ものな四角い雛壇。どこか能舞台風。上手下手奧に、袖まで
の通路。下手脇に高い机、上手脇に寸居。他は闇。
お話。熊本、東京、ロンドン。神経症な性格と豊かな妄想癖！？をもつ知られざる
夏目漱石と取り巻く人々の関係。同じよな性格のハーンとのニアミスな遭遇を想像
力（推理力も）と、現代から遠景した視点をもって描く。
ねこには透明人間だった漱石が実体化。終生忘れえぬ亡くなった兄嫁との恋と、妻
とのお義理な関係。終生の友、正岡子規との結びつき。こんな苦しげな人生を負っ
ていたのね、ふーん。兄嫁メタファーな白百合の香りに惑い、手鏡の残像に導かれ
入る、幻想世界な後半が◎。とりわけ花の香り、その妖しく甘美な生理に訴えるイ
メージ○。亡くなった子規のもと時空を越え、自転車で迎えに行く場面。その不思
議な暖かみも印象に残るねこ。逢瀬に至るまでの描き方が納得できる丹念さな2.5H
でも、直接関わらないガジェット人物（寺田、虚子とか）はなくてもよさそな。
対のイメージ○。漱石とハーン、双方の忘れ得ぬ女性達、リール姉妹、舞台の構造
など、シンメトリーを成すそれら。重なり現れる構図が美しい。
役者。燐光群レギュラーの安定した演技。対して、佐野史朗の時にエキセントリッ
クさが面白い。全体、サザンで後方だと表情？？、スズナリで見たかったねこ。
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