reset-N ver.10「knob」
＠西荻WENZスタジオ(1999/11/19-23 8ステージ)
作・演出：夏井孝裕 舞台監督：小野八着[Jet Stream] 照明：高山隆夫[ブライト]
音響：吉村明子、夏井孝裕 衣装：バシャ椿 演出助手：河合亮三
写真：御嶽亜由美 宣伝美術：篠永洋[taketomo] 制作：萩原敦子 製作：タービン
出演：登場順（役名、役柄後日掲載）
再演('98-3) 今回
＠ウエストエンドS
木村真有子・・・・・・・・・・高木珠里
山本尚明・・・・・・・・・・・→
町田カナ・・・・・・・・・・・→
久保田芳之・・・・・・・・・・柏原直人[双数姉妹]
岡田望[青島レコード]・・・・・鶴牧万里[TBプラネット]
平野祐正・・・・・・・・・・・久保田芳之
木立隆雅[tsumazuki no ishi]・北川圭介
1999/11/19（金)晴れ 7:00ｰ8:40pm(1'40) 最前列より 客席8割(100？)
客層：20-30才代中心。女性過半数。男女カップル多い印象。平田オリザ氏やみた
ことある役者さんなど演劇関係者がちらほらの客席。
客入れ：長方形舞台の長短２辺に客席。正面が見易いと誘導あり、親切。距離を
置いた立ち位置が多いので、後ろから俯瞰したほうがいいかも（前は前のよさある
けど）舞台に転がったＴＶビデオ上では、迫ってくる男がプラカードで携帯注意。
気づかない人いるかも(鳴らす非常識な人もいなかったけど）。パンフに役名なし、
再演('98)と一緒、演出の都合とか。
日本劇作家協会新人賞作、三演。今回1Fにギャラリーあるビル地下に劇場。
オープンスペース平床のかなり部分を舞台に使用。長方形の２辺に階段状客席。
コンクリート打ち放し壁。換気ダクト、配電盤、電線官などむき出し。下手奥に
唯一出入口、対角、客席側に２本ワイヤは窓の設定。床は一面白いＡ４紙敷き詰め。
地球儀、消火器、ＴＶ、大きな旅行カバン。客入れ時から役者がキャンバスもって
きたりと種々出入りとそんな場所であることを演出。
お話。中止になったテーマパーク。廃ビルの一室。出入りする人達のどこにもいけ
ない悪夢な顛末。かつてＳＭ行為に分かり易い充足を得た男女は、いまや純粋プレ
イに満たされない日々。それはよもやの優しさに感じる距離のせい。通わない愛情
に自己崩壊すれすれの女を理解できない男なカップルあり。女の行方不明に自殺を
恐れながら、Ｍ女に疎外感、Ｓ男に嫌悪感な会話する残された男。母親への思慕の
念強くも、疎外され頭のねじが外れた男と、彼のお守りにうんざりしているバイト男。
そして、ＳＭ行為第三者。細い糸で繋がれた凧が揺らぎながら絡まり、ぽつん
ぽつんと離ればなれになるよな、関係不全関係が展開。
女は望みつづけるも満たされず、男はとほーにくれてむかつく。そんな、とっても
日常的な危うさをくっきり細やかに炙りだす。アブノーマルな設定はリセットな
手段。日常の雑多な事柄を消し去るための。例えば、ＳＭは受け渡しするものが
はっきりしてる行為。そこに緊縛に手心とか、純粋になりきれない揺れを生じさせ
る。愛して嫌悪しての二面性など理解うんぬんはおいて、明確に現われる不安定さ。
複雑な人間関係をモデルケースのようにストレートに表現でき、巧みと思うねこ。
というのは女性中心。精神世界を興味深く伺わせて○。でも男性、とりわけねじが
外れた男と第三者、が直情で興がない。この世界では。ねじ・・は前回second版
ではもっと丹念に病のほどが描かれてたようだけど・・。今回は暴力つう不条理の
印だけ印象。その分、ＳＭカップルと取り残され男の比重が増し、すっきりしたけど。
うーん、バランス難しそう。
空間の置き方は変わらず魅力。立ち位置の即物的な距離感◎。離れたくないのに、
近寄れないな。口語のぽつぽつと断片的な会話、黙する場面も、すきま風はあまり
吹かず充足。細かな役者芝居の甲斐あり。すっと挿入される音楽、単色の照明は
劇的、といって過ぎずスタイリッシュ。かっこよし。劇中台詞にもあったけど、
茶化すことをしない真摯さに好感。でも、みんな受けとめるには集中力要。週末
会社帰りのせいか疲れ、意識が遠のいたりしたねこ。なんかすんません状態。
役者。町田カナ。アブノーマル嗜好も「常識」わきまえた女性キャラ。自分の危うさを
見つられる聡明さが伺えて魅力。
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