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 ラックシステム No.5「お祝い」

 @下北沢 ザ・スズナリ(2001/5/25-30 7ステージ)
 @大阪 OMS(5/15-20)
 全自由 前売3800円 当日4000円
  
 作・演出:わかぎゑふ[リリパット・ アーミー] 演出助手:ハヤシ犬似郎
 舞台美術:岡一代[池田意匠事務所] 大道具制作:アーティスティックポイント
 舞台監督:唐崎修 照明:柴田寛司[スタッフステーション]
 音響効果:宮崎孝幸(スタッフステーション)音楽協力:中村葉
 衣裳:上橋恵美子、桑原理恵 小道具:西尾崇
 宣伝美術:竹内和 制作:(有)中島らも事務所
 協賛:Procter&Gamble Far East, Inc.
 出演:

                初演(未見 00/06) 今回
 岡崎陽介(船場の若旦那)  :中井重文      桂米吉[米朝一門噺家]
 亜紀  (陽介の女房)   :千田訓子      ←
 島村優平(陽介の友人 遊び人):朝深大介     ←
 晶(オカマのあきら)さん  :酒井高陽[M.O.P.]  川下大洋 [Piper]
 寺田(従業員)       :橋田雄一郎[転球劇場]←
 吉岡(従業員)       :及川直紀      ←
 お絹(従業員)       :中道裕子[らく-がき] ←
 
 登美子姉さん        :李昌齢       わかぎゑふ
 小茂田記者(婦人新聞記者) :大北悦子      わかぎゑふ
 若月めぐみ(有名女優)   :久野麻子      わかぎゑふ
 ナンシー富岡(進駐軍医療団員):田嶋ミラノ    生田朗子
 大谷役の役者        :西尾崇       コング桑田
 警官            :?         コング桑田
 ロイ・アーネスト(進駐軍軍医):?        コング桑田
 晴香(陽介の妹)      :?         尾崎美樹
 躍る少女          :?         尾崎美樹
 中国人少女         :?         尾崎美樹
 晴香(陽介の娘)      :?         尾崎美樹
 上等兵           :?         西尾崇
 新入社員          :?         西尾崇
 

 2001/5/26(土)晴 2:06-4:08PM(2'02) 最前列より 客席満員(170人)
 客層:20-30才代善男善女中心に幅広い年齢層。
 客入れ:ファンクラブ(30人)優先入場。荷物預かり積極的。ゆるめの桟敷2列。
 後椅子席。客入れMCはでかい声のコング桑田氏、大いに沸く客席。パンフ即売
 ほか(終演後、夫婦役2人でサイン会)。折り込みパンフ。配役、予告、物販
 案内。パンフ(A5 1200円) ストーリー詳細、写真と再演へのコメントつき役者
 紹介掲載。くじ付きポストカード(250円)。終演後のちくわの乱れ投げに参加
 できる権利が当たるとか。シアターTVのカメラ収録あり(放送日不明)

 昨年大好評の舞台。当日券にリトライするも、一枚もだせず、に泪を飲んだねこ
 には待望の再演。とりどり役者を集めての初演から少数精鋭、主役役者の退団で
 急遽代役と変更ありとのこと。

 舞台。こぢんまりとした古風な町家。慎みもって和洋折衷、大正ロマン。ガラス
 引き戸に紗のカーテン。その上に「高級寝具 月島株式会社〜」と墨書の内看板、
 男女雛人形の額、誰ぞの達筆な書面。手前に瀟洒なテーブルと椅子。下手壁に
 小黒板。転じて上手、一団高く猫の額な畳の間。大黒帳もあるよな老舗帳場。
 その下は古めいた調度物置。壁一面は渋い木製棚、引き出し。上にまねき猫やら
 奥の母屋に続く廊下に「明るい家庭には平和が宿る」の額。頭上に神棚。
 
 お話。昭和十年代、大阪北区。老舗布団屋の分家。西洋人向けの布団を売ろうかな
 な実験店。任せられたのは若旦那・陽介。ある日、陽介の妹が初潮の知らせ、喜び
 勇んで赤飯やら、準備にてんやわや。も一気暗転、妹が交通事故で死んだいうと
 信じがたい凶報。初潮を男の子にからかわれ。それで車道に飛び出したのだという
 男女差別、偏見が妹を殺したも同然と、陽介一念発起。供養の生理用品開発・販売
 に商売替え。陽介の熱意は果たして男女の、世間の壁をやぶれるのか。戦中戦後を
 通し、実話なエピソードも挟んでの奮闘記。

 歯切れよい、ウェルメイドプレイ。ときどきサービス!?の過剰演技はあれど、
 遊びとシリアスのバランス○。シリーズ共通の定点カメラ手法。玄関口で移り変わ
 る年月をさらりと台詞、衣装に織り交ぜて巧み。才ある人のエンタメの上手。

 生理用品の開発調査がため、女装しトイレでサンプル収集、しらず(知っていても
 ?)変態扱いの苦労とか、笑えるエピソードあれこれ。実話らしいこれらを取り混
 ぜながら、主眼は歴史でなく、あくまで人とその想い。デフォルメすぎキャラあれ
 ど生気あふるる人物像、年齢を感じさせない演出、も相乗して魅力。娘の初潮祝い
 に赤飯の封印が解かれるラストが感動的。長くてあっという間の苦労の末、報いと
 祝いが重なる至福。舞台と客席のうれし涙の共感、はカーテンカールの力強い拍手
 に伺え。

 役者。桂米吉さん。端正な面立ち、柔和な関西弁の物腰のよさ。口跡もくっきり
 して心地よし。ちょっと生硬な演技も、愚直な若旦那訳にはまって○。今回の
 立役者なり。わかぎさん。あだなそぶり、口は悪いが心根優しい年増ねえさんを
 堂々と。若作り女優役と、鯖読み年齢同じな符丁遊びに笑い。


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